私の顔を見るなり怒鳴り散らしてきたYさん。
あまりの露骨な態度にこちらも臨戦態勢だ。
フロアの職員たちが、何事かと集まってきた。
状況を知っている職員が、他職員に持ち場に戻るように諭す。
構わずギャーギャー怒鳴り散らすYさん。
とりあえず話しかけてみるが、Yさんは話し合う気が皆無。
私が口を開くと、
「あんたが来ると変に思われるから早く帰れよ!!」
「仕事?ちゃんとやっとるに決まっとるだろうがあ!!!」
と、こちらの言葉をさえぎるように怒鳴り散らす。
障害があるとはいえ、社会人としては最低の行為だ。
ここが福祉施設だったら、
怒鳴り返してやるところだ。
殴ってきたって上等だよ。

しかしここは就職先の職場。
もっとスマートに解決せねばなるまい。
とりあえず現場から離れ、主任と相談。
改めて後日訪問したが、やはりYさんの態度は変わらなかった。
Yさんは、出身の福祉施設でも似たようなことを繰り返していた。
それをもとにYさんの考えを推測すると、
ジョブコーチが訪問してくるということは、自分に何か問題があるということだ。
職場や元の福祉施設にそれを知られたくない。
もう来させないようにしたい。
怒鳴ればもう来なくなるだろう。
そんなところか。
自己防衛のつもりが実際は自分の首を絞めてるだけだが、そこは知的障害故のハンディ。
さて、Yさんを黙らせるにはどうすれば良いか。
Yさんは序列意識が強い。
これを利用しよう。
決めたアプローチは、
本人同席のもとで担当者会議をすること。
出席者は、
職場からは、管理者、生活相談員、主任。
出身施設からは、所長、サービス管理責任者、担当職員。
それからジョブコーチとして私。
偉い人達を含め総勢7人でYさんを囲む。
これでいこう。
会議を実施した結果、
うまくいった。
Yさん、借りてきた猫状態。
会議では、主任への言動を改めること、
私が今後もジョブコーチとして訪問すること、
これまで同様の行動をとったら辞めていただくこと、
が決まった。
Yさんにとっては厳しいかも結論かもしれないが、
知的障害があると、理屈ではなく身をもって体験しないとわからないことも多い。
その後は、私の支援を受け入れる姿勢になり、
主任の指示も聞くようになった。
とりあえず、ジョブコーチ支援の目的達成。
一言言わせてもらうならば、
福祉施設にいるときに、直すべき課題はしっかり直しておいてくれ。
福祉施設職員よ、頼む。
そうでないと、ジョブコーチの負担は大きい。
福祉施設では通用しても、一般社会では通用しないことはある。
そのギャップを埋めることが福祉施設には求められる。
もちろん、職場側も障害に関する理解を深めることは当然だ。
その架け橋となるジョブコーチ。
今後ますます重要になることは間違いない。