時計をみると、もう22時を過ぎていました。


帰ってからご飯はおろか、まだ何も飲んでいませんでした。


とりあえず冷蔵庫からお茶を取り出して、それを飲んだら、少し気分が落ち着きました。


テレビが無くなった静かな部屋。


しばらくすると家のチャイムが鳴ったので、出ると夫ではなく、お義母さんの声。


驚いて、とっさにスマホの録音ボタンを押してから、玄関のドアを開けました。


『夜にごめんね。』


と言いながら、


お義母さん、夫、夫の姉、弟と4人でぞろぞろ部屋に入ってきました。



いや、お義母さんはわかるけど、兄弟必要か・・?



とは思ったものの、4対1になって座りました。


お義母さんが話し始めました。




『お金を勝手に持っていってごめんね。私がこの子に持ってこいって指示したの。
でもね、まるで泥棒みたいに言われる筋合いはないから。』




と言われました。
私は、ここで負けてはいけないと思って、



『でも、2人で貯めたお金ですよね?持っていくのは良いですけど、どうして持ち出す時に声をかけてくれなかったんだろうって思います。』


と強く言いました。
すると、


『だからこうやって謝ってるでしょ?』


なんでそんなに偉そうなんだよ!
と心の中でツッコミを入れながら夫を見ると、まるで他人事、といった感じで遠くの床を眺めていました。


『結婚のお祝いのお金もこの中に入ってるの?何に使ったの?』


と聞かれました。


『内祝いで使った以外、他で使ってません。』


と返事しましたが、納得がいっていない様子です。


あなたの息子が家に6万円しか入れてくれないから、貯金なんてほぼ出来てないんだよ。


とイラッとしたのですが、話には関係ないので黙っていました。
明日も仕事だから、お金を返して早く帰ってくれよ。と思っていました。


そしてお金を折半していると、


『今月家に入れたお金も、もちろん折半するわよね?!』


と言われたので、財布の中の1万数千円も折半しました。




もう帰るのかな?と思っていると、





『あのね、言わせてもらうけど、不倫される方にも原因があると思うの。』






と、突然のパワーワード。笑



『は・・?』


多分すごい間抜けな顔で返事していたと思います。



『いや、私もされたからこそわかるけどね、うちの息子だけが悪い訳じゃないって言いたいのよ。』




『まぁ、それは・・・はい。わかりますよ。』



と答えました。




『それと、嫌いな女友達と連絡を取り合ってるのが許せないって言ってたけど、この子にとっては大事な友達なの。』



と、ここにきて不倫の話ではなく、女友達論争を始めました。


これについては私も思うことがあったので、


『はい、それはわかります。ただ、連絡を取り合ってるのが許せないと言うよりは、いつも私に嘘をついて遊びに行って、結局友達がSNSに写真を載せるからバレてるんですよね・・・』

『それで何回も喧嘩して、ついに連絡先も消すと約束してくれたのに、それすらも"嘘"だったことを責めています。私からしたら、何を信じたらいいの?ってなりますよね。』




『・・・・・』



しばし沈黙が流れました。




『まぁ、この子が悪いっていうのもわかってるけど、やっぱり自分の子は可愛い。』




え、何の話・・!?



と叫びたかったのですが、そんな雰囲気でもなかったので堪えました。



『あなたも将来があるだろうし、わかっておいて欲しくてね。』


と聞いて、あぁなるほどな、と思いました。
なんとなく言いたいことはわかりました。




『わかりました、ありがとうございます。夜遅くに申し訳ございませんでした。』




と言ったら、満足した様子で4人で帰って行きました。








皆が帰った後に1人で考えました。



そうか〜

私には子どもがいないから、親側の気持ちがわからないんだな。

やっぱり自分の息子ってそんなに可愛いものなのか、いいなぁ・・・。


と思いました。


それと同時に、もしも将来、私に息子が出来ても、



『浮気される方にも原因がある』なんて、絶対誰にも言わないようにしよう。



と強く決意しました。


自分でも本当はわかっているのです。
平日、クタクタになった日には、
『明日にして欲しい』とゲームだったり夫のお願いを先延ばしにしたこともありました。
原因が1つも思い当たらない訳じゃない。


だからこそ他人にそれを言われるのは、『あなたが悪いのよ』と責められているような感じがしてすごく嫌でした。

せめて、『こうなってしまったことに心当たりはあるの?』とかオブラートに包んでくれよ。


と思った夜でした。