創薬メモ

創薬メモ

創薬化学、有機化学、有機合成について書き進めていきます。

 

研究活動を行う上で、我々は「大量の外国語文献を読む必要性」に迫られる。

現状では、そのほとんどが英語であるわけだが、

英語が母国語でない人間にとって、これが研究上の一つのハードルとなる。

 

自身の専門分野の文献を読む場合は、それほど苦労をすることはないと思う。

論文形式はいつも同じだし、語彙に慣れるのも時間の問題である。

内容に関する難易度の問題はあるが、それは努力と思考で補うことができる。

論文内容に感動したり、驚いたりすることはあっても、頭を抱えることは少ないわけである。

 

一方で、それが "境界領域" に属する文献であったり、

"全くの非専門分野" の文献だったりする場合には、

読解において種々の困難が生じることが多い。

 

現代においては、自身の専門性を深化するために、

他分野の文献を読む必要性に迫られることが多い。

 

最近のメディシナルケミストの事情を鑑みると、

対象となるのは、医学系論文であったり、生物系論文であったり、

機械学習・計算化学・IoT・RPAの論文であったりと、そんな調子ではないかと思う。

そして、非専門分野の文献を読む場合、専門用語の多様性が障害になることが多い。

 

例えば、有機化学を専門にしている自分が、

COVID-19 関連の文献を読んでみると、

慣れてくるまでは下記のような有様である。

 

High rates of 30-day mortality in patients with cirrhosis and COVID-19 (2020/6/8)

DOI: 10.1016/j.jhep.2020.06.001

 

SARS-CoV-2 の Respiratory って何だっけ? 

・・・ああ、呼吸(器官)のことか。

 

cirrhotic って何だっけ?

・・・ああ、肝硬変のことか。

 

immunocompromised って、何だっけ?

・・・ああ、免疫無防備状態のことか。

 

decompensation ???

・・・ああ、代償不全か。心臓の話?

 

acute hepatic encephalopathy ???

・・・ああ、急性肝性脳症か。ヤバイと昏睡に陥るやつ?

 

何が言いたいかというと、紙辞書を片手に奮闘していたら、日が暮れてしまうという話である。

ある専門領域における常識は、別の専門領域で常識とはならない。

これは、専門知識のみならず、専門用語でも同じである。

 

もちろん、「読める」と「分かる」はイコールではない。

日本語で書かれていようとも、分からないものは分からない。

文献を正しく読むためには、「専門知識」や「経験」が重要になる。

とはいえ、外国語や専門用語の多様性が、読解をより困難にしている現実はあると思う。

 

自分は文献に書かれている知識、結論、研究背景、議論の流れ、

ファクト、データ、分析手法、著者の展望・世界観などに興味があるのであって、

英語そのものに興味があるわけではない(これは人によるかもしれないが)。

 

また、重要視していることは、文献内容の理解である。

書かれている言語自体は、大した問題ではない。

必要であるならば、ドイツ語であろうと、フランス語であろうと、

ロシア語であろうと、中国語であろうと、エスペラント語であろうと、

読まなければならないわけである。

 

そして、文献の形式も、学術論文、特許、技術資料、

海外製薬企業のIR・中期経営計画書、研究者のブログ・SNS など、実に多種多用である。

読みたいものは、いつだって山のようにある。英語で躓いている暇などない。

 

さて近年、IT 技術や機械翻訳の発展により、外国語学習が急速に身近になりつつある。

自分の子供の頃と比較すると、まさに「隔世の感あり」という印象を受ける。

パソコンやスマホが、我々の生活スタイルを変えたように、

英語学習や文献読解の方法も、時代の変化に応じて、改善していく必要があると思う。

 

他国の研究者の見識に触れることは、意義のあることだし、何より楽しい。

「英語が苦手」という理由だけで、文献読解から遠ざかるのは、実に勿体ないことである。

 

以下では、英語を読む際に使えるツールについて紹介する。

 

1. 英辞郎(DVD版) 「語彙力の拡張」

 

 

英辞郎の初版が発売されたのは、2002年3月12日である。

本製品の起源については、1980年代にまで遡るという話である。

数十年の年月をかけて進化した、「英文読解の強力な支援ツール」という位置づけであろう。

 

2020年に発売された第11版では、収録語彙数が217万語を突破した。

実際に使ってみると、科学英語やビジネス英語を含めて、

非常に広範囲な語彙が収録されていることが分かる。

 

便利なのは、

 

・クリップボードへのコピーによる検索

・ホップアップ検索ウィンドウ

 

である。

 

前者は、PDFやWEBページ上において、英単語を選択&コピーすることで、

単語の意味を "ホップアップ表示する" というものである。

ショートカットキーを用いれば、スムーズに日本語訳を表示できる。

 

例えば、下記論文のアブストラクトで使用すると、

以下の画像のような感じで表示される。

 

High rates of 30-day mortality in patients with cirrhosis and COVID-19 (2020/6/8)

DOI: 10.1016/j.jhep.2020.06.001

 

 

 

cirrhosis が「肝硬変」を意味する言葉だと、

英文を読みながらその場で確認できる。

 

後者の「ホップアップ検索ウィンドウ」は、英文をまるごとウィンドウ内にコピーして使う。

こちらの場合、カーソルを合わせるだけで、単語の日本語訳が表示される。

使ってみると、熟語や句動詞についても、広範に対応可能であることが分かる。

全く非専門の文献でも、ストレスなく読むことができる場合が多い。

 

しかし、我々が日々、英語文献をいろいろ読んでいると、

「英辞郎でも収録されていない英単語」というものに遭遇することになる。

これを自分で登録することも簡単で、結果として、辞書を進化させることができる。

 

新型コロナウイルス関連の報道でよく出てくる

「SARS」という言葉はすでに登録済みであった。

これは、「severe acute respiratory syndrome」の略で、

「重症急性呼吸器症候群」という意味である。

 

一方で、

 

「SARS-CoV-2」

「COVID-19」

「Severe acute respiratory syndrome coronavirus 2」

 

などの語彙は、英辞郎内に登録されてはいなかった。(当たり前ですが)

 

これらについても、自ら訳語を定義すれば、

以降は他の英単語と同様に、ホップアップで表示されるようになる。

 

便利なのは、日本語訳表示のところに "リンク" を貼れる点である。

解説ページへのリンクでも貼っておけば、専門用語の概念理解にも役立つ。

「日本語訳を知る = 理解できた」とはならないわけで、これも重宝する機能である。

 

以下は、「SARS-CoV-2」という語彙に関する登録例である。

Wikipedia へのリンクを一緒に貼っており、クリック一つで飛ぶことができる。

SARS-CoV-2 の日本語訳を知るだけでなく、言葉の定義や概念も一緒に勉強する。

こんな感じで、英辞郎を自分好みにアレンジすることは容易である。

 

 

また、自然科学の英語では、

複数の単語が連なって、一つの概念を表す言葉になる場合も多い。

要するに連語(Collocation)のことである。

 

連語の一部を構成する単語は登録されているが、

連語全体としては登録されていないケースも結構ある。

連語に遭遇した場合、マメに登録しておくと、次第に便利になっていく。

 

coronavirus disease 2019 (COVID-19)

Severe acute respiratory syndrome coronavirus 2 (SARS-CoV-2)

 

など。

 

英辞郎の一つの効用は、何度も同じ単語をホップアップ表示しているうちに、

「勝手にその英単語を暗記してしまう」という点である。

特定の専門分野における重要単語は、やはり何度も出てくる。

 

英単語を一度で覚えるのは無理であるが、

何度も表示させているうちに、自然と脳の長期記憶へと移行する。

英辞郎を使い続けることで、自身の単語力の向上も期待できるわけである。

 

さて、「クリップボードへのコピーによる検索」は非常に便利ではあるが、

選択 → コピーという "2動作" が必要であり、

ここはさらに改善できるポイントなのではないかと思う。

 

以下のソフトは、マウスオーバーの機能を高めたフリーソフトである。

個人的には、一つの完成系なのではないかと思っている。(マウスオーバー辞書として)

 

マウスオーバーで瞬時に和訳 Chrome拡張の英和辞書「Mouse Dictionary」がめっちゃ便利

 

こちらの場合、単語にカーソルを合わせるだけで、英単語の意味が超高速で表示される。

(英辞郎のホップアップ機能がこのクラスになったら、ほとんど最強ではないだろうか?)

 

英辞郎には、以下のような「WEBサービス」もある。

 

英辞郎 on the WEB Pro

 

PCにインストールするDVD版は、

ネット環境を必要とせず、単語のホップアップも軽快である。

自分は結局、WEB版を使用しておらず、今のところはDVD版のみを使っている。

 

値段としては、3000円くらい。

こんな高機能なソフトが安価な価格帯で買えてしまう。本当に素晴らしいことだと思う。

大学生になった新入生も、PCと一緒に英辞郎を購入して、各自インストールしておくと良い。

これだけで、学術論文が身近になるというのなら、安い先行投資ではないだろうか。

 

同様の機能を持つソフトとして、他には「Weblioポップアップ英和辞典」がある。

こちらも科学英語に強いソフトであるが、

自分のケースでは、PDFと相性が悪いことが多々あった。

語彙量、歴史の長さ、信頼性が高いということで、自分は英辞郎を選択している。

 

2. 機械翻訳 「自然言語処理に関する最新技術の活用」

 

機械翻訳の精度向上、自動字幕化技術の進展、音声同時翻訳の可能性。

自然言語処理分野の発展は、日進月歩であり、驚くばかりである。

AI や IT 関連分野の研究成果については、我々も柔軟に取り入れていくべきである。

 

第四次産業革命, AI, IoT, RPA, 5G などなど、様々な業界用語が飛び交っている。

いずれも、無視して聞き流すことができないほど、高い将来性を内包していると思っている。

 

これらの技術体系を具体的に導入することで、

どのようなメリット・デメリットが生じるか?

現状ではなかなか見通しづらいところがある。

とはいえ、試行錯誤を通じて、自身の生産性向上を実現できるよう、

努力を継続していきたいものである。

 

「英語文献の読解」という領域に関して言えば、

機械翻訳の研究成果が、実用的な形で適用可能である。

 

定評のあるサービスとしては、

「Google翻訳」や「DeepL翻訳」が挙げられる。

 

Google 翻訳

DeepL翻訳

 

要するに、

 

「英文をぶち込めば、それなりの日本語になって返ってくる」

「英語に限らず、中国語でも、韓国語でも、フランス語でも、他の言語でもイケてしまう」

 

という、とんでもない代物である。

 

「昔のエキサイト翻訳」の水準を知っている人は、

現代の機械翻訳技術がどれくらい進歩したかは、

すぐに実感できるのではないかと思う。

 

ここでは、ジョージ・ホワイトサイズ教授によって執筆された著名な論文、

「Whitesides group:論文の書き方」の第1章、

「科学論文とは何か? (What is a Scientific Paper ?)」を題材にして、

機械翻訳の "現在の到達点" を確認してみることにする。

 

Whitesides' Group: Writing a Paper (2004)

DOI: 10.1002/adma.200400767

 

※非常に有名な論文なので、原文でぜひご一読ください

 

正確な日本語訳については、下記を参照。

Whitesides's Group: Writing a paper / Chem-Station

 

■ 原文 (Ref: DOI: 10.1002/adma.200400767)

 

1. What is a Scientific Paper?

A paper is an organized description of hypotheses, data and conclusions, intended to instruct the reader.  Papers are a central part of research. If your research does not generate papers, it might just as well not have been done. "Interesting and unpublished" is equivalent to "non-existent".

Realize that your objective in research is to formulate and test hypotheses, to draw conclusions from these tests, and to teach these conclusions to others. Your objective is not to "collect data". 

A paper is not just an archival device for storing a completed research program; it is also a structure for planning your research in progress. If you clearly understand the purpose and form of a paper, it can be immensely useful to you in organizing and conducting your research. A good outline for the paper is also a good plan for the research program. You should write and rewrite these plans/outlines throughout the course of the research. At the beginning, you will have mostly plan; at the end, mostly outline. The continuous effort to understand, analyze, summarize, and reformulate hypotheses on paper will be immensely more efficient for you than a process in which you collect data and only start to organize them when their collection is "complete".

What is a Scientific Paper? の論旨を要約すると、

 

① 

論文とは、仮説・データ・結論を体系立てて整理し、

読者に伝えることを目的とした文書のことである。

 

② 

論文は、科学研究の中心的な位置を占める。

論文化されていない研究は、何も成していないのと同義である。

(興味深い研究でも未発表ならば、それは "存在しない研究" である)

 

③ 

研究の目的とは、

 

・仮説を系統立てて検証し、結論を導くこと

・得られた結論を(論文を通じて)他者に伝えること

 

→ データの収集は、研究の目的ではない

 

論文は完結したプログラム(プロジェクト)の単なる記録媒体ではない。

進行中の研究を設計する上での「指針」にもなる。

論文の優れたアウトラインは、優れた研究計画書でもある。

 

研究計画とアウトラインは、研究活動を通じて、何度も書き直される。

(最初はほとんどが研究計画で、最後に完全なアウトラインが創造される)

 

「理解」「分析」「要約」「仮説の再構築」を、

研究活動の中で継続的に行いつつ、その結果を論文として執筆すべきである。

 

(すべてのデータを収集し終わってから、論文を執筆し始めるより、遥かに生産的)

 

という感じだと思う。

 

ここでは、上記の情報が、きちんと読み取れるか否かが問題である。

さて、「Google 翻訳」と「DeepL 翻訳」は、どんな調子かというと、

 

■ Google翻訳を用いた機械翻訳 (2020年6月時点)

 

1. 科学論文とは何ですか?

論文は、読者に指示することを目的とした仮説、データ、および結論の体系的な説明です。

論文は研究の中心的な部分です。

研究で論文が生成されない場合は、それが行われていない可能性もあります。 

「興味深く未発表」は「存在しない」と同等です。

研究の目的は、仮説を立ててテストし、これらのテストから結論を導き出し、

これらの結論を他の人に教えることであることを認識してください。

あなたの目的は「データを収集する」ことではありません。

論文は、完成した研究プログラムを保存するための単なる保管装置ではありません。

また、進行中の研究を計画するための構造でもあります。

論文の目的と形式を明確に理解していれば、研究の整理と実施に非常に役立ちます。

論文の良いアウトラインは、研究プログラムの良い計画でもあります。

これらの計画/概要は、調査の過程全体を通じて作成し、書き直す必要があります。

最初は、ほとんど計画を立てます。最後に、ほとんどがアウトラインです。

仮説を紙の上で理解、分析、要約、再定式化する継続的な取り組みは、データを収集し、

収集が「完了」したときにのみデータの整理を開始するプロセスよりもはるかに効率的です。

■ DeepL翻訳を用いた機械翻訳 (2020年6月時点)

 

1. 科学論文とは?

論文とは、仮説、データ、結論を整理して記述したもので、

読者に指示を与えることを目的としています。  

論文は研究の中心的な部分です。

もしあなたの研究が論文を生まないのであれば、

その研究は行われていないのと同じことかもしれません。

"興味深くて未発表 "というのは、"存在しない "ということと同じです。

研究におけるあなたの目的は、仮説を立てて検証し、その検証から結論を導き、

その結論を他の人に教えることであることを認識してください。

あなたの目的は「データを集める」ことではありません。 

論文は、完成した研究プログラムを保存するための保存装置であるだけでなく、

進行中の研究を計画するための構造物でもあります。

論文の目的と形式を明確に理解していれば、研究を整理して実施する際に非常に役立ちます。

論文の良いアウトラインは、研究計画を立てるための良い計画書でもあります。

これらの計画/アウトラインは、研究の過程を通して書き、書き直していく必要があります。

最初はほとんどが計画書で、最後はほとんどがアウトラインです。

紙の上で仮説を理解し、分析し、要約し、再構成するための継続的な努力は、

データを収集し、その収集が「完了」したときにのみ整理を始めるというプロセスよりも、

あなたにとって計り知れないほど効率的なものになるでしょう。

 

Google翻訳やDeepL翻訳のアウトプットを見て、

どのような感想を持つだろうか?

 

以下は、個人的な感想。

 

①話の流れはだいたい正しいと思うが、細かい訳語はまだ不満

 

例を挙げると、例えば、instruct を「指示」と訳している。

たしかに「指示」という言葉には、「物事をそれと指し示す」という意味があるが、

「こうせよと指図する」というニュアンスもあるので、なんとなく違和感を感じる。

個人的には、文脈の流れ的に、普通に「伝える」で良い気がする。

 

archival device は「保管装置」と訳されているが、

文脈的には「記録媒体」と訳した方が自然だと思う。

 

「著者の主張に配慮した上で、適切な訳語を選択する」

人間による翻訳ならば、そのようになると思う。

一方で、機械翻訳の場合は「直訳」というか、

「最も多用される翻訳例」を当てはめる感じになっている。

 

AI は「人間が共有するパラダイム」を理解して、翻訳をしているわけではない。

これは原理上、仕方のないことではあるが、今後はこの辺りが改善されると面白いと思う。

 

②「The continuous effort to understand, analyze, summarize, and reformulate hypotheses on paper ~」

 

「understand」「analyze」「summarize」「reformulate」が、

均等に hypotheses にかかっている。これもちょっと気になった。

 

Google翻訳

→ 仮説を紙の上で理解、分析、要約、再定式化する継続的な取り組み

 

DeepL翻訳

→ 紙の上で仮説を理解し、分析し、要約し、再構成するための継続的な努力

 

我々がここで「理解・分析・要約」すべきなのは、

 

・仮説・データ・結論を体系立てて整理するプロセス全体

・研究活動を通じて何度も書き直される研究計画とアウトライン

 

についてであって、仮説は要素の一つに過ぎない。

「reformulate hypotheses(仮説の再構成)」で一つの言葉ではないかと思う。

 

(「理解」「分析」「要約」「仮説の再構成」 に関する継続的な努力 

  → その結果を論文化する)

 

③Google翻訳とDeepL翻訳の比較

 

2つを比較すると、DeepL翻訳の方がより自然だという印象を受けた。

(DeepL翻訳は、口語的な表現に強いという印象を個人的には受ける)

 

とはいえ、これはケースバイケースであり、

Google 翻訳の方が自然だと感じる場合もある。

学習データに依存する部分でもあると思う。

一概には言えないのかもしれない。

 

将来的に、「翻訳の自然さ」がどこまで改善されるか?

これは、個人的にも注目している点である。

 

・機械翻訳の功罪

 

外国語で書かれた文献を日本語に翻訳する上で、機械翻訳は非常に便利である。

翻訳精度も日に日に向上しており、次第に実用的なツールになりつつある。

 

ただ、機械翻訳は便利すぎるがゆえに、使い方を間違えると、

自身の英語力向上の機会を喪失することになりかねない。

日本語訳のアウトプットしか見ない習慣はリスクを伴う。

 

また、より本質的な問題として、

 

「機械翻訳により創出された日本語訳を読むことは、

  原著論文を読む経験と等価になりうるのか?」

 

という問いがある。

 

機械翻訳は単なるプログラムであり、翻訳に人間(専門家)は介在していない。

そもそも、「論文を読む」という行為は、

「著者が自ら執筆した原著論文を直接読む」という "個人的な体験" である。

翻訳されたものを読むだけでは、根源的なリスクが生じることになる。

(一次情報ではなく、情報仲介者を介した二次情報の享受が主体となるため)

それが機械翻訳によって創出された翻訳であるなら、

なおさら問題ではないかと、自分には感じられるわけである。

 

ホワイトサイズ教授も指摘しているように、

 

「論文とは、仮説・データ・結論を体系立てて整理し、

 読者に伝えることを目的とした文書」

 

のことである。著者の意図が正しく伝わらなければ意味がない。

 

とはいえ、機械翻訳された日本語を通読した後、

改めて英語の本文に当たると、理解がスムーズになるという事実はある。

「原著論文至上主義」を堅持した上で、対訳的なアプローチで機械翻訳を活用するならば、

リスクを回避しつつ、テクノロジーの便益を得ることは可能であると思う。

 

また、自身が英文を書いたり、英作文の勉強をしたり時にも、

機械翻訳の技術は、非常に有益であると思う。

Google翻訳は高速で対訳が生成されるので特に有益である。

もちろんこれは、英語だけでなく、他の言語に対しても適用可能である。

 

結局のところ、道具は "使い方次第" である。

欠点ばかり指摘して頭から否定してかかる態度、

手放しに絶賛する態度は、いずれも誤りなのだと思う。

 

東芝、オンライン授業を字幕化 AI活用、慶応・法政大で実験 (2020/6/10)

 

 

近年では「音声を自動で字幕化する技術」も実用化されつつある。

 
音声を文章化することができれば、それを機械翻訳することも容易であろう。

機械翻訳された文章をさらに音声化すれば、それはすでに「同時通訳」なのである。

「機械的な音声は気に入らない」というなら、イントネーションを機械学習させれば良い。

 

機械翻訳技術が今後、どのような進化を遂げ、

社会の中でどのような位置を占めることになるのかは分からない。

ただ、凄まじい勢いで発展している分野であることは確かである。

動向を注視しつつ、有益なものについては、

自身の仕事に積極的に取り込む姿勢が大事だと思う。

 

3. 語源学 「言語に内在する伝統の可視化」

 

言葉には、伝統が内包されている。

言葉の理解を深めるには、言語の成立過程(歴史)を学ぶのが効果的である。

これを実現する上で、語源学に基づくアプローチは大変有益である。

 

例えば、以下のようなサイトが利用できる。

 

Online Etymology Dictionary

https://www.etymonline.com/

 

ここで「Science / (自然)科学」という言葉の語源について見てみよう。

 

Science

https://www.etymonline.com/word/science#etymonline_v_22918

 

Science という言葉はラテン語の「scientia」から来ており、

これは本来は「知識」を意味する言葉である。

さらに起源を辿ると、インド・ヨーロッパ祖語(Proto-Indo-European, PIE)である、

「skē̆i-」 に到達する。これは、「分割・切断」を意味する言葉である。

 

つまり、語源から見た "サイエンスの本質" とは、

 

「あるものを分離し、区別すること」

 

ということができるのではないかと思う。

 

ある対象から何かを分離し、それに対して固有の意味づけを行い、

他と区別することができたのなら、それは「サイエンスの本流」ということなのだろう。

 

有機合成においても 、

 

「新規化合物の単離精製 → 構造決定 → 物性測定 → (知識の創造)」

 

というプロセスがあるが、これも、

語源的に見たサイエンスの本質とよく合致するものだと自分には感じられる。

 

Google検索でも、調べたい単語と一緒に 

"Etymology" という単語を入力して検索すると、

語源に関する情報が表示されることが多い。

 

 

 

 

語源を参照することで、単なる訳語とは異なる「時間的な側面」が見えてくる。

この方法論は、言語に内在する「伝統」「歴史」「時間軸」を明らかにする。

英語だけでなく、他の言語にも適用可能である。

もちろんこれにより、日本語の理解も深まる。

(日本語の場合は、漢字の成り立ちなどの観点もあるが)

 

テクノロジーの急速の発展は、往々にして、我々から歴史感覚を奪い去るものである。

技術が急速に発展する昨今だからこそ、言葉に内在する伝統を再認識する必要がある。

 

4. 最後に(学術論文の重要性)

 

今回の新型コロナウイルス騒動により、

学術論文の重要性を再認識した研究者は多いと思う。

 

・新型コロナウイルスに有効な既存薬の候補(ドラッグリポジショニングの可能性)

・各候補薬の臨床報告、コスト/ベネフィットに関する知見の集積

・SARS-CoV-2 の構造・基本プロファイル・感染メカニズム・感染のタイムスパン

・ウイルスの起源

・重症化のメカニズム・基礎疾患との関連

・新薬のための研究開発ロジックの提案

 

 

例として、5つほど紹介すると、

 

Remdesivir and chloroquine effectively inhibit the recently emerged novel coronavirus (2019-nCoV) in vitro (2020/2/4)

 

in Vitro データ。

(この論文が出た当時、ギリアドのレムデシビル以外は望み薄だと、自分は思っていました)

 

The proximal origin of SARS-CoV-2 (2020/3/17)

 

新型コロナウイルスの起源に関する議論。

 

Structure of the SARS-CoV-2 spike receptor-binding domain bound to the ACE2 receptor (2020/3/30)

 

ACE2に結合したSARS-CoV-2のスパイクタンパク質の受容体結合ドメイン(RBD)のX線構造解析。

 

Genomewide Association Study of Severe Covid-19 with Respiratory Failure (2020/6/17)

 

血液型によるリスクの相違。

 

Saliva is more sensitive for SARS-CoV-2 detection in COVID-19 patients than nasopharyngeal swabs (2020/4/22)

 

鼻咽頭スワブより、唾液の方が検出感度が良い? (プレプリント)

 

 

などがある。(面白い論文、重要論文が山ほどあって困ってしまう状況)

 

多くのマスコミ報道がなされ、様々な情報が錯綜した数か月であったが、

SARS-CoV-2 に関する新情報の起源には、

いつも学術論文があり、自然科学者の貢献があった。

恐ろしい速度で学術論文が執筆され、

「驚きの新事実」が毎日のように発表される状況が続いた。

 

問題だったのは、公表される重要情報の大半が「英語文献」であったことである。

日本語の文献、マスコミ報道、専門家による解説も追従するわけであるが、

一定のタイムラグというか、情報の遅れを感じずにはいられなかった。

曲解やプロパガンダの拡散が、誤解につながったというケースもあったように思う。

 

「英語文献を読めないことが、感染リスクや社会的リスクの増大に直結する」

実はここ数か月、そういう状況にあったのである。(まだ終わってないけれど)

 

今回のような「世界規模の感染拡大」という状況に陥った場合でも、

これまで紹介した方法を用いることで、英語に苦手意識のある人でも、

学術論文から「直接情報を取得すること」が可能になると思う。

査読済みの学術論文、プレプリント、総説などから信頼できる情報を自ら得ることで、

単なる噂話に惑わされることなく、意思決定の妥当性を高めることは十分可能である。

 

・英語学習は不要になるのか?

 

機械翻訳技術は、今後も進化し続けると思う。

そうなるとたぶん、「外国語学習・不要論」なるものが出てくると思う。

 

個人的には、外国語学習が不要になることは、ありえないと思っている。

 

以下は、ゲーテの言葉である。

 

Wer fremde Sprachen nicht kennt, weiß nichts von seiner eigenen.

(外国語を知らない者は、自国語についても無知である)


――― ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ

 

機械翻訳が発展し、知識の運用にAIが活用される流れになるほど、

「外国語を学ぶ目的の重要性」「読解力の重要性」が高まるのではないか?

 

重要なのは、「我々はなぜ、外国語を学ぶのか?」という問いである。

そして、AI が「パラダイムを理解できない」という特性については、

「"人間の知識労働" と "AIによる情報創出" の差別化」を志向する上で、

一つの鍵になると思われる。

 

外国語を学ばないがゆえに、自国語にも無知な人間が、

高い読解力を発揮することなど可能なのだろうか?

そして、読解力を持たない人間が、知識労働において、

AI との差別化を実現することなど可能なのだろうか?

 

これらは、知識労働を生業とする我々研究者にとっても、

決して無関係な話ではないのである。

 

結局のところ、テクノロジーがいくら進化しようとも、それを扱う人間次第なのだと思う。

工夫すべきはいつも我々であり、それは「英語文献の読解」についても同じである。

 

 

知識は人の中にある。


――― ピーター・ドラッカー

 

 

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(※随時、追加 & 整理)

 【試薬名 // CAS番号】

 

・Dess-Martin Oxidation

 

Dess-Martin Periodinane // 87413-09-0

 

 

デス・マーチン酸化 Dess-Martin Oxidation

Dess-Martin Oxidation - Organic Chemistry Portal

 

穏和な条件で進行し、適用範囲も広い。

素晴らしい酸化剤。近年では、普通に市販されている。

ファーストチョイス?

 

後処理は「チオ硫酸ナトリウム/炭酸水素ナトリウムの混合水溶液」でクエンチすると良い。

 

・TPAP Oxidation

 

TPAP // 114615-82-6

 

 

4-Methylmorpholine N-Oxide (NMO) // 7529-22-8

 

 

TPAP(レイ・グリフィス)酸化 TPAP (Ley-Griffith)Oxidation

 

・AZADO Oxidation

 

2-Hydroxy-2-azaadamantane (AZADOL) // 1155843-79-0

 

 

nor-AZADO // 55286-19-6

 

 

Ref【特別講座】新規高活性アルコール酸化触媒 Nor-AZADO の有用性

 

有機ニトロキシルラジカルの反応性制御に基づく効率的アルコール空気酸化反応の開発 (2013)

DOI: 10.5059/yukigoseikyokaishi.71.515

 

Discovery and Exploitation of AZADO: The Highly Active Catalyst for Alcohol Oxidation (2013)

DOI: 10.1248/cpb.c13-00456

 

【特別講座】新規高活性アルコール酸化触媒 Nor-AZADO の有用性 (2013)

 

・pre-MIBSK Oxidation

 

Potassium 2-Iodo-5-methylbenzenesulfonate (pre-MIBSK) // 1093215-92-9

 

 

Oxone // 37222-66-5

 

2-Iodoxy-5-Methylbenzenesulfonic Acid-Catalyzed Selective Oxidation of 4-Bromobenzyl Alcohol to 4-Bromobenzaldehyde or 4-Bromobenzoic Acid with Oxone (2012)

DOI: 10.15227/orgsyn.089.0105

 

安全!触媒量でOK!IBX, デス-マーチン試薬に代わる酸化触媒 【和光純薬ニュース 11月8日号】

 

・MnO2

 

Manganese dioxide // 1313-13-9

 

 

後処理が濾過だけで済む場合が多い(不均一系の酸化)。

試薬コストも安いので、これで綺麗に進行すれば楽。

別条件で酸化している場合でも、

小スケールで一度、いくかどうか試してみると良い。

 

マンガン酸バリウムを使うことも可能。

 

Barium Manganate // 7787-35-1

 

 

・Swern Oxidation

 

ジメチルスルフィドの悪臭が問題となるが、

長鎖のスルホキシドを用いることで軽減することが可能。

 

Dodecyl Methyl Sulfoxide // 3079-30-9 

 

 

現在では「古典的な酸化反応」という位置付けだと思われるが、

非常に低コストであり、選択肢の一つとして知っておく必要がある。

 

スワーン酸化 Swern Oxidation

 

その他、類似の人名反応が複数知られている。

 

フィッツナー・モファット酸化 Pfitzner-Moffatt Oxidation

パリック・デーリング酸化 Parikh-Doering Oxidation

アルブライト・ゴールドマン酸化 Albright-Goldman Oxidation

コーリー・キム酸化 Corey-Kim Oxidation

 

Pfitzner-Moffatt Oxidation は、使いやすい印象。

DCCの代わりに、EDCを用いれば後処理が楽。

ただ、メチルチオメチルエーテル化が副反応で起きる場合がある。

 

Parikh-Doering Oxidation も、安くて使いやすい。

 

Pyridine - Sulfur Trioxide Complex // 26412-87-3

 

・PDC/PCC oxidation

 

PDC (Cornforth Reagent) // 20039-37-6

 

 

※中性条件

 

PCC // 26299-14-9

 

 

※酸性条件

 

有機合成の歴史において重要な酸化反応だが、

6価クロムに毒性があるため、有用性は限定的になりつつあると思う。

廃液を処理する際も注意が必要。反応溶液にセライトを加えることが多い。

 

PCC/PDC酸化 PCC/PDC Oxidation

 

※関連する人名反応

 

ジョーンズ酸化 Jones Oxidation

サレット・コリンズ酸化 Sarett-Collins Oxidation

 

・Other

 

Aluminum Isopropoxide // 555-31-7 

 

 

第二級アルコールの酸化に使える。

 

オッペナウアー酸化 Oppenauer Oxidation

 

アルコールを共存させると還元反応になる。面白い試薬。

 

メーヤワイン・ポンドルフ・ヴァーレイ還元 Meerwein-Ponndorf-Verley (MPV) Reduction

 

----(未整理)

 

NaClO2 // 7758-19-2
2-Methyl-2-butene // 513-35-9 
NaH2PO4 // 7558-80-7

 

ピニック(クラウス)酸化 Pinnick(Kraus) Oxidation

 

アルデヒドをカルボン酸に酸化できる反応。

 

RuCl3 // 10049-08-8 

NaIO4 // 7790-28-5

 

四酸化ルテニウム Ruthenium Tetroxide (RuO4)

Ruthenium(III-VII) compounds

 

Na2WO4 · 2H2O // 10213-10-2

(H2O2 aq. と共に、スルフィド酸化などに使う)

過酸化水素を用いるクリーンで実用的な酸化技術 / 佐藤一彦

 

OsO4 // 20816-12-0

NMO // 7529-22-8

 

四酸化オスミウムは毒性があるので注意。

NMOを再酸化剤(共酸化剤)に用いると、触媒量に減らせる(Upjohn 法)

 

CAN // 16774-21-3

 

KMnO4 // 7722-64-7

 

(NH4)6Mo7O24 // 12054-85-2

 

トロスト酸化 Trost Oxidation

 

PIFA // 2712-78-9

 

IBX // 61717-82-6

 

mCPBA // 937-14-4
H2O2 // 7722-84-1

 

SeO2 // 7446-08-4

 

---


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(※随時、追加 & 整理)

 

【試薬名 // CAS番号】

 

Trimethylsilyldiazomethane // 18107-18-1

 

 

TMSCl // 75-77-4 

 

 

Trimethyl orthoformate // 149-73-5

 

 

Triethyl orthoformate // 122-51-0

 

 

N,N-Dimethylformamide Dimethyl Acetal (DMF-DMA) // 4637-24-5

 

 

N,N-Dimethylformamide Diethyl Acetal // 1188-33-6

 

 

DMF-Di-t-butyl Acetal // 36805-97-7

 

 

Iodomethane // 74-88-4 

 

 

Iodoethane // 75-03-6

 

 

1-Methyl-3-p-tolyltriazene // 21124-13-0

 

 

N,N'-Diisopropyl-O-methylisourea // 54648-79-2

 

 

O-tert-Butyl-N,N'-diisopropylisourea // 71432-55-8

 

 

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新薬の合成法に関する総説。

 

※随時追加

 

Synthetic Approaches to the New Drugs Approved During 2018

2020/04/27

10.1021/acs.jmedchem.0c00345

 

Synthetic Approaches to the New Drugs Approved During 2017

J. Med. Chem. 2019, 62, 7340.

 

Synthetic Approaches to New Drugs Approved During 2016

J. Med. Chem. 2018, 61, 7004.

 

Synthetic Approaches to the New Drugs Approved During 2015

J. Med. Chem. 2017, 60, 6480.

 

Synthetic approaches to the 2014 new drugs

Bioorg. Med. Chem. 2016, 24, 1937.

 

Synthetic approaches to the 2013 new drugs

Bioorg. Med. Chem. 2015, 23, 1895.

 

Synthetic approaches to the 2012 new drugs

Bioorg. Med. Chem. 2014, 22, 2005.

 

Synthetic approaches to the 2011 new drugs

Bioorg. Med. Chem. 2013, 21, 2795.

 

Synthetic approaches to the 2010 new drugs

Bioorg. Med. Chem. 2012, 20, 1155.

 

Synthetic approaches to the 2009 new drugs

Bioorg. Med. Chem. 2011, 19, 1136.

 

Synthetic Approaches to the 2008 New Drugs

Mini Rev. Med. Chem. 2009, 9, 1655.

 

Synthetic Approaches to the 2007 New Drugs

Mini Rev. Med. Chem. 2008, 8, 1526.

 

Synthetic Approaches to the 2006 New Drugs

Mini Rev. Med. Chem. 2007, 7, 1255.

 

Synthetic Approaches to the 2005 New Drugs

Mini Rev. Med. Chem. 2007, 7, 429.

 

Synthetic Approaches to the 2004 New Drugs

Mini Rev. Med. Chem. 2005, 5, 1133.

 

Synthetic Approaches to the 2003 New Drugs

Mini Rev. Med. Chem. 2004, 4, 1105.

 

Synthetic Approaches to the 2002 New Drugs

Mini Rev. Med. Chem. 2004, 4, 207.

 

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