今まで色々とお世話になった旦那の過去を、
俺は別に知ろうと思ったこともなかったし、
これからも知る事は無いと思っていた。
けど、旦那が記憶喪失になったと聞いたから驚いて副長の部屋まで駆け込んだ。
そこにはいつもどおりの旦那が・・・・・・・
でも、実際はいつもどおりなんかじゃなくて、何処か俺達を警戒していたのだ。
本当は俺もそれに気付いてたけど、わざと気付かない振りをしてた。
今解った。
旦那が何で俺達を警戒していたのか。
旦那はいつも命を狙われてたんだ。
俺達の事を警戒するのも当たり前だ。
旦那の過去を知った時、俺は酷く落ち込んだ気になってしまった。
きっと、いつもの旦那ならこんな過去、知られたくもなかっただろう。
「・・・・・・・・成る程な。
これでさっきから俺達を警戒している理由や、その妙にずば抜けた危機察知能力に納得がいった」
旦那の身の上を聞いて、何処と無く気まずい空気が流れていた。
そこで一番初めに口を開いたのは副長。
旦那にそう言いながら副長は懐に手を入れ、いつもの様にタバコを口に運ぶ。
シュボッ
タバコに火がつき、その先端からは煙が立ち昇る。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
副長が口を開いてからは、誰一人として口を開こうとしない。
(・・・・・・・・・・・)
これは・・・・気まずい。
かなり、気まずい。
(・・・・・ちょっとぉぉぉぉおおおおお!
何で誰も話しを切り出そうとしないんだよぉ!
これは気まずい・・・・・・
幾等なんでも気まずすぎる!
局長ォォ!ここはあんたのKYっぷりでこの気まずさ何とかしてくださいよォォオオオオ!!)
この気まずさに耐え切れなくなった山崎は、
正座をしている膝の上においた拳を握り締め、
心の中でそんな願いを局長である近藤勲に向けていた。
が、勿論。
KYであるからこそ、近藤はここで口を開くわけが無い。
だが、山崎のこんな意思を汲み取った者が、この場ではないところに実は二人もいた。
ダダダダダダダダッ!!
「「また記憶喪失ってどういうことだぁぁぁああああ!!」」