実は先日、TSUTAYA 川崎駅前店でブリトウズを見つけた時に、もうひとつ、シブいのを発見しています。
ポール・バターフィールドが彼のブルース・バンドを解散後、シカゴからウッドストックに移住して、この地のミュージシャン達と作り上げたアルバム
1973年の作品
Better Days/Paul Butterfield
¥1,790
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私はこの作品の存在は認識していましたが、てっきり『Better Day's』というのはアルバム・タイトルだと思ってました。
Paul Butterfield's Better daysというバンド名だったんですね。
我々、ロック・ファンとしてはウッドストックと言えば「ウッドストック・フェスティヴァル」をイメージしますが、ここはアメリカン・ルーツ・ミュージックの拠点のひとつなんです。
ウッドストックは、ニューヨーク州アルスター郡にある人口5000人にも満たない小さな町。
自然に囲まれたウッドストックの街並み
60年代の半ば過ぎ、ニューヨークのグリニッジ・ヴィレッジやボストン~ケンブリッジ周辺のフォークやブルーグラス系ミュージシャンがこの町に移り住み、トラディショナル・ソングやブルース、ヒルビリーなど1920~30年代の古き良きアメリカのグッド・ミュージックを再発見し数々の名作が、この地で誕生しました。
これらのミュージシャン達は「ウッドストック人脈」と呼ばれ、著名なアーティストとしてはザ・バンド、マリア・マルダーなどが挙げられます。以前、紹介したボニー・レイットの名盤『Give It Up 』も、この地のミュージシャンとの共演でレコーディングされたアルバムです。
実はこのPaul Butterfield's days 、バンド名にバターフィールドの名前は入っていますが、彼のワンマンバンドではないんです。
ボーカルはジェフ・マルダーと半々ぐらいで分けあっています。
アルバムのプロデュースもバターフィールドとジェフが共同で手がけています。
エイモス・ギャレットのギター・ソロをはじめとした各メンバーのソロ・パートも各所に配されています。
Paul Butterfield(vocal/harp)
能書きが長くなったので、まずはポール・バターフィールドがリード・ボーカルをとっている曲から、お聴きください。
ブルース・バンド時代にもカバーしてロバート・ジョンソンの "Working Blues "
ここではタイトルに "New"をつけています。
イントロ部分の小細工、こういうの好きですねえ。なんかカッコいいと思ってしまいます。
終奏のバターフィールドのアンプリファイド・ブルースハープと2本のエレキギター(スライドの方はジェフ・マルダー)のバトルが凄い‼︎
バターフィールドに次ぐ、このバンドの重要人物、 ジェフ・マルダーはニューヨーク州の生まれ。
ジム・クウェスキン・ジャグ・バンドで活動。このジャグ・バンドでフィドルとボーカルを担当していたマリア・マルダーと結婚してジェフ&マリア・マルダー名義で2枚のアルバムを発表しています。
Geoff Muldaur (vocal/guitar)
ではジェフ・マルダーがリード・ボーカルの曲を聴いてみましょう。
レイ・チャールズのお抱え作曲家パーシィ・メイフィールドのソウル・ナンバー"Please Send Me Someone To Love"
以前、マリア・マルダーの"真夜中のオアシス"の中でのエイモス・ギャレットのギターソロについて触れましたが、この曲でもジェフ・マルダーの「カモーン、エイモス!」という掛け声と共に彼のギターソロが始まります。
「星屑(ほしくず)ギター」「しなやかな煌めき(きらめき)」「神様が酔っぱらったかのようなギター」などと形容される、エイモスのギターソロだけでも、このアルバムを聴く価値がありますね。
Amos Garrett(guitar )
デビッド・サンボーンをはじめとした後期ポール・バターフィールド・ブルースバンドのホーンセクションだったメンバー達もゲスト参加して、この曲を盛り上げています。
さて、お次はニューオリンズ出身のキーボード奏者、 ロニー・バロンの自作曲を彼自身のリード・ボーカルでお聴きください。
ニューオリンズやLAではドクター・ジョンと交流のあった人です。
Ronnie Barron(organ/piano)
こちらは『Live At Winterland Ballroom 』というライブ盤の音源から"Broke my Baby's Heart "
南部の臭いがプンプンしてますね。
ドクター・ジョンと声質は違うのですが、ロニーのボーカルにもドクターと共通するフィーリングが感じられます。
このバンド、ライブも良さそうですねえ。ライブでも音の完成度が高いです。凄腕揃いだということが、よく判ります。
最後はロニー・バロンのアップテンポなピアノがニューオリンズ・ロックンロールを思わせる軽快なナンバー"Highway28"で締めましょうか。
ただ、この動画は画像がどうも、この曲に合っていないので、画像は見ずにお聴きください(笑)
バンド名のとおり「(古き)良き日々」のアメリカ音楽がいっぱい詰まったアルバム。音質もグッドです。
これは、一生聴けるかも