KISSKISS☆BANBAN

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お芝居観たり映画観たり本読んだりしつつ、まったり生きてる徒然日記。

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TITANIC the musical

2014.3.14~29 Bunkamura シアターコクーン
2014.4.1~5 梅田芸術劇場 シアター・ドラマシティ

企画・制作 梅田芸術劇場
脚本 ピーター・ストーン
作詞/作曲 モーリー・イェストン
演出 トム・サザーランド

CAST
加藤和樹
鈴木綜馬
藤岡正明
戸井勝海
佐藤隆紀
津田英佑
古川雄大
入野自由
矢崎 広
上口耕平
小野田龍之介
栗原英雄
シルビア・グラブ
未来優希
則松亜海
菊地美香
関谷春子
安寿ミラ
佐山陽規
光枝明彦
川口大地
須藤香菜

ORCHESTRA
指揮・キーボード 金子浩介
パーカッション  内田真裕子
バイオリン    玉置夏織
ヴィオラ     出口貴子
チェロ      高城昌一
コントラバス   鈴木陽子


人は海に還る・・・また生まれるために


東京、大阪と行ってきました。
東京初日は立ち見も入り、カテコではスタオベから拍手喝采のとてつもない熱気。
それだけこの公演が期待されていたということなんでしょうが、ここ最近ではなかった満員御礼状態に驚いたのなんの。
大阪公演も、どうしても見たくて休みを取って平日の当日券アタックしたのですがゲットならず・・・。後で増やせばいいかなどと暢気に思っていた数ヶ月前の自分をぶん殴りたい。
それでも、それだけの人気公演を複数回見れたのは幸いですよね・・・ええ。

さて。以下、いつも通りの私的感想文です。
====

新演出版ということでしたが前公演を観ていないのでどの辺がどう変わったのかはわかりませんが、とにかく素晴らしいの一言に尽きる今公演。
まず客席に入って驚いたのが、既に舞台上でアンドリュース加藤さんの一人芝居が始まっていること。
机に向かい、設計図を書いているんでしょうか。時々ノートや本を開いては書き加えたり線を引いたり。お茶を飲んで、考え込んだろ、想いを馳せるように遠くを見たり。実に様々。
私が見ただけでも同じ事をしているようには見えなかったので、毎回違うニュアンスで、その時々を演じられていたのかな。
初回にそれを見た時は今まさにタイタニックを作っている最中なのだろうかと、そんな気持ちで演技を見つめていましたが、最後まで見た後は、海の底で後悔と自責に今度こそ沈まない船「タイタニック」を作り出そうとしているようにも見えました。
けれど、その表情、振る舞いはとても穏やかで、沈みゆく中で見せた狂気の一片もなかったのですが・・・

タイタニックと言えば映画のラブストーリーが真っ先に浮かぶのですが、このミュージカル タイタニックは乗船した人々の生き様が描かれた群像劇でとても観やすく、そして心を添う事のできる物語でした。
加藤さん、鈴木さん、光枝さん、津田さんの四名以外はメインとなる役の他にも扮装を変え、クルー、客室係、一等客から三等客まで幅広く演じていて、そこには着る物が違うだけでみんな同じ人間なんだというメッセージがこめられていたそうです。
舞台で群像劇というのもどう表現されるのかなと楽しみにしてた所ですが、とても分かり易く、けど安易ではなく、見る度に新しい見方や発見がありました。
一組の情熱的な恋物語に興味はわかないんだけど、こういう風に色んなカップルのお話が周囲の状況とあわさって展開されていくと見れる不思議。
出会ったばかりのジムとケイト
これから夫婦になろうとしているキャロラインとチャールズ
夫婦としての在り方を模索しているアリスとエドガー
40年連れ添い固い絆で結ばれているストラウス夫妻
四組のそれぞれに年代が違う恋人と夫婦達。
互いの愛情が通い合うまでがこの四組それぞれの話で紡がれていて、ストラウス夫妻にも他の三組のような時代があって此処まで来たんだろうなと想像させられた。
出会って、ぶつかり合って、疑心暗鬼になったりもして、それでも寄り添って、お互いを愛してきたからアイダは最後をイシドールと共にすることを選び、イシドールも彼女の気持ちを受け入れることが出来たのかな。
最後、2人で歌う「今でも」には心が震えました。
でもね。理想はイシドール夫妻だけど、私が一番好きになったのはビーン夫妻なのです。
一等客室の人たちに憧れを抱き、少しでもお近づきになろうと奮闘するアリスは滑稽ではあったけど、とても愛らしくて憎めなかった。
自分達に似合いなのは二等だよ、彼らと同じにはなれないと諭す夫にこのままじゃ嫌、満足できないやと叫ぶ姿さえ、なぜか愛しいと感じた。
我が儘で傲慢で欲深いと思ってもいいような振る舞いなのに、彼女にはそういったことを感じなかった。
嬉しかったのは、エドガーがそんな彼女の手をとってくれたこと。
夜のシガーラウンジ(?)で1人「新世界」に浸る彼女はそれまでの覇気が少し薄れていたように見えたんだ。そこにエッチスに案内されたエドガーが現れて、また彼女を責める?喧嘩になっちゃう?と思ったら、彼女の手をとり踊り出した。
あの時の安堵感。なんだろう、すごく嬉しかった。
あ、この夫婦は、良い関係を作り上げていけるだろうなって、思った。
そうして誰かに心を添わせたら、とてつもなく哀しくなるんだけど、この2人が喧嘩したまま別れることにならずにすんだのが救い。救いではないんだけど、私にとっては少しの、ほんの少しの救いです。

女性のコミックリリーフはアリスだったけど、男性のコミックリリーフはエッチスさんでした。
戸井さんはやっぱりお上手だなぁと思わずにはいられない、エッチスさんの妙技の数々。
一幕はまだ和やかだけど、二幕の全力シリアス展開の中、立ち居振る舞いやちょっとしたセリフのニュアンスでほっとさせてくれるエッチスさんに何度救われたか。
沈み行く船の中で自分に出来る事を考え、残った人々にシャンパンを振る舞う姿に職業意識の高さを感じました。

エッチスだけでなく、タイタニックのクルーはみんなプロフェッショナルだった。
ライトーラーからエッチスに、エッチスから客室係に。おそらく今の船の現状が伝達されたんだろうけど、誰一人パニックにならず、指示通りに動いて客達の不安を煽ることはなかった。
その一連の動きが、現状の説明を求め、揺らぐ一等客達のすぐ傍で行われていて、それも彼らの意識の高さをより際立たせて見せていた。
そんな自分の仕事に「誇り」を持ってる彼らの姿を目の当たりにしたからこそ、三等客室から上階への開放の指示を船長からもらえずに動くしかなかったライトーラーの心情を思うとキュッと喉が窄まった。
悔しかっただろう。憤りもあっただろう。でも、自分の判断で動いてパニックが起こったらと言う不安もあったかもしれない。
初日、1回見た時は、三等客室から上階へのドアを施錠したこと、彼らへの説明と救出を後回しにし、「神」の救いなんて空虚な事を口にした船長とアンドリュースに腹が立って仕方がなかった。もちろんライトーラーにも。
どうして?なぜ自分の判断で動けないの?と悔しくて、腹立たしくて、とても悲しかった。
でも回を重ねて、見ているだけの私には分からなかったライトーラーの気持ちが少し汲み取れて、彼の悔しさ、無念が流れ込んできて、やるせなくなった。
プロ意識が高ければ高いほど、一人の情ある人間としてあの状況下で動かなければならない辛さがあっただろう。
千秋楽のライトーラーからはそれまで以上にそういった感情が滲み出ていて、初日に責めてしまった分、見ていてとても苦しかった。

見所、と言うと大げさだけど、好きなシーンの一つ機関士と通信士の場面。
故郷にいる恋人に電報で想いを伝えたい機関士バレット。
彼は何かが変わるかもしれないと期待をもって乗船したけれど、暗い炭鉱から熱い機関室に場所が変わっただけで自分達の待遇は何一つ変わらない。
階級社会の不公平を怒りをもって歌うバレットの歌も迫力だったけど、このブライドに頼んで彼女に想いを伝える歌がとても素敵だった。
ホワイトカラーとブルーカラー、対照的な二人がお互いに好印象を抱きながら話をするのも話中によく出てくる「新しい時代」の匂いがして面白く、バレットの恋人への想いと、ブライドの人付き合いが苦手で通信士になったという仕事への愛とか誇りとか楽しさが詰まった歌は数ある楽曲の中でも一番の楽しさだった。
ブライドを演じる上口さんを初めて見たのはABZで、その後はCS9th。他にもたくさんの舞台に出ているのは知っていたけど、私の中では何となくダンサーさんのイメージが強かった中、今回久々に観てすっかりミュージカル俳優になっていて驚きました。歌もお芝居もたくさん勉強したんだろうなぁなんて上から目線かな?
大型タイトルにも名前が上がってるから、また観れる機会がたくさんできそうです。

そしてもう一つ好きな場面。OPから始まる「征け、タイタニック」まで。
千秋楽まで”一番”好きな場面は機関士と通信士のところだったんだけど、千秋楽でひっくり返りました。
初日はタイタニックの結末を知っているだけに、船を見上げ、その姿に夢と希望を重ねるクルーや常客の姿が悲しくなったけれど、最後まで観て、繰り返した時、彼ら1人1人が愛おしくてたまらなくなった。
千秋楽、まさかここで涙が止まらなくなるとは思わなくてびっくりした。
昨日観たときはまだじわっとくる位だったのに、今日は、もう、ダメ。
千秋楽だからと感傷的になる質ではないのに、もう、どうしたのかな~って自分でもおかしかった。
いたずらに積み荷からオレンジを掠めたベル・ボーイ、咎めながらも見逃してくれたピットマン。
素晴らしい船と仕事への誇りに胸をはるマードックとライトーラー。
それぞれの想い胸に故郷を飛び出した三人のケイト。
一等客も二等客も、客室係も、みんな、みんな晴れ晴れとした笑顔でタイタニックに乗船する喜びに溢れていた。
彼らの物語を知ってしまったから、彼らが愛おしくてたまらなくなっていた。

本当に素敵な舞台。
何度見ても飽きることなく、益々その世界に、人々の魅力にはまっていった。
また彼らに会いたい。
こんな素晴らしい舞台に小野田さんが立っているのがファンの端くれながらとても嬉しく、誇らしい。
ライトーラーもアスター大佐も目立った出番はないのだけど、しっかりとタイタニックの漕ぎ手としてそこに在った。
さざ波と歌うたゆたう波のようなハーモニーはこれから起こる悲劇を予兆させるものだったけど、耳に優しく今も残っている。
三等客のアイリッシュ達に、BGのダニエル達の姿が浮かんだのは思いがけないことだったけど、あの公演を観ていたからケイト達の想いを、運命を、深く重く受け止めることができた。
全て、小野田龍之介という俳優が私にもたらしてくれた大切な宝物。
そしてまたひとつ宝物が増えた。
すぐにでもまた彼らに会いたいけれど、それは叶わないことだから、いつかの再演を心より願うばかりです。

アリス・イン・ワンダーランド

青山劇場
2014.11.9~30
梅田芸術劇場メインホール
2014.12.5~7
中日劇場
2014.12.19~20

脚本 グレゴリー・ボイド
脚本/作詞 ジャック・マーフィー
作曲 フランク・ワイルドホーン
演出 鈴木裕美
上演台本/歌詞 鈴木哲也、高橋亜子
音楽監督/指揮 塩田朋弘


ニューヨークのセントラルパーク近くの、とある出版社。
作家のアリス・コーンウィンクルが新作小説の原稿をダメ出しされていた。
面白くない、明日までに練り直しといわれて、自分のせいじゃない!やけ酒を呑んで帰宅すると、アパートには別居中の夫ジャックと娘のクロエが帰りを待っていた。
キレるアリスにあきれ気味の二人。ジャックが帰り、アリスは一眠りしようと横たわる。
すると、そこに現れた白いうさぎと追いかけるクロエ。
こんな夜中に!アリスは慌てて後を追い、エレベーターから降りるとそこはおかしな人たちがわんさか狂騒中。
抜け出したアリスを待っていたのはちっちゃな扉と「私を飲んで」と囁く声。
思わず飲むと、アリスの体はどんどん縮んで・・・
扉の向こうにいたのは、なにやら哲学めいたことを言う芋虫、ひたすらイケイケで楽しそうなエル・ガト、この国で最も偉大なナイトとのたまう白のナイト、そして先ほどの白ウサギ。
彼らと一緒にイカれたお茶会に呼ばれたアリスは、帽子屋とモリスとテーブルを囲むが、そこで起きるのは腹立たしいことばかり。
ハートの女王のお出ましも、もう何がなんやら。
どうやらクロエを捜すのに、唯一力になってくれそうなのは帽子屋のよう。
一方、帽子屋はクロエを鏡の国に連れ去ってしまう。その様子を見ていたウサギが、アリスに報告。
アリスはひとり帽子屋を追おうとするが、白のナイト、芋虫、エル・ガト、ウサギに連れて行ってと懇願されて、うんざりしつつも一緒に旅立つ。
鏡の国ではクロエが不安消去マシンにかけられ行方不明に。
頼みの綱のハートの女王は、帽子屋の言われるがまま。
揚げ句の果てに、女王に「首をはねよ」と命令され、白のナイト、芋虫、エル・ガトは牢の中へ。
その頃、アリスはひとり七番の扉の前にいた。なぞなぞを解いたアリスはそこで意外な人物と出会う・・・
(パンフレットより)

東京、大阪公演行ってきました~。
以下、いつもどおりの感想文です。
====

ワンダーランドまじワンダーランド!ってあったま悪い出だしだけどマジワンダーランド!でした。
今回初めて誘った友人もすごく楽しんでくれて、一緒に泣いて笑って素敵な時間を共有できたことに感謝しまぁす(ってそれは別の舞台や)

仕事も家庭も上手くいかないアリスが脳内ワンダーランドで自分の心たちの声を聞き、冒険し、そして何も解決しないまま夜が明け、また何一つ変わらない一日が始まる。けれど、一夜の夢物語でアリスに少しの変化があって、今すぐには解決しないけれど少なからず明るい未来を想像させてエンド。
という、すごく分かりやすくてシンプルなストーリー。
けど、話がシンプルなだけにワンダーランドのドタバタ劇に振り回されて筋が迷子になったりせず、こちら側にしっかりと伝わってきました。
一度目の観劇では、次から次へと登場人物たちが繰り広げるショーに圧倒され、アリスに共感している内に舞台が終わってしまったけど、二回三回と観劇を繰り返すうちに色んな見方ができて、その度に新鮮な感動があった。
しかも何度見ても飽きない!マチソワ連続はさすがにアレかな~って思って観たけど、まったく新しい気持ちで楽しんでる自分がいて、終わった後驚いていました。
何もかも上手くいかないフラストレーションに自分のせいじゃないと叫んでいたアリスはまさしく数日前までの私そのもので、最初の時はそうだよね、ままならないよねと共感の涙を流して、悔しくて惨めな自分を重ねてばかりだったけど、大阪の最終公演ではアリスと一緒に笑って終われたことが今はすごく幸せ。
勿論、舞台だけでなく愚痴を聞いてくれて励ましてくれた友達に感謝。
口先だけでないナイトがいるのはとても心強いね(笑)

そんな共感しやすく分かりやすいストーリーとは裏腹?な、ショーアップされたステージはまさに圧巻。
メインキャラクターは勿論、ワンダーランドの住人を次々演じるアンサンブルの素晴らしさ!
幕開き、編集部のオフィスでアリスが編集長に責めたてられているシーンでは、ピシッとポージングしたまま切っ掛けが来るまで微動だにしない!
本当にマネキンかと思ったくらい。モリスの松原さんもポーズを取ったままウサギに抱えられて位置を変えられるのだけど、その時も人形のようにポーズを崩されずすごいの一言。
そこから大勢のアリスや芋虫レディース、エル・ガト勢にイカれたお茶会、etc・・・
めまぐるしく変わっていく場面に息つく間もないショータイム。
え?まって、何人いたっけ?って人数確認したくなるほど、まあ、場面が変わるごとに衣装を替えキャラを変え次から次へとほんっとーーーーにすごかった!
男性ダンサーの中にお久しぶりのかーくんがいて嬉しくなったり、楢木さんのキレのあるダンスと長い脚におおっとなったり。
このお二方は帽子屋影でデュエットがあるんだけど、恐ろしさと良い意味での気色悪さがあって、そこにハマメグさんの凛とした格好良さが加わって、すごく好きなナンバーになりました。
あとめっちゃこの方のダンス好きだ~と出てくるたびに注目していた女性ダンサーさん。
アリスの衣装着ている時が特にお気に入り。小柄でかわいらしい姿と目を惹きつけるダンスが魅力的でした。
皆さんメイクが濃ゆめなのでパンフだとどなたやら・・・。二人ほどこの方かな?というめぼしはつけているのですが間違っていると失礼なので名前は出さずにおきます。またどこかでお目にかかれたらいいなぁ。
大勢のアリスが出てくるシーンでは、可愛らしい女性ダンサーさんだけでなく、立派なお体の男性ダンサーさんもアリスの扮装でかわいらしく(?)踊ってました。
タッパもあるしガタイもいいから目立つねん!そんで何でそんなかわいいねん!(笑)
アリスは至る所で出てくるんだけど、この厳ついアリスも所々出てきて出てくる度、笑って突っ込んでしまう悔しさったらない。
七番目の扉が開いたとき、さーっととれた幕の向こうで厳ついアリス二人がだるそうにスカートばさばさしたり髪の毛弄ったりしてるのは見所?でした。
アリスと言えばその気になる女性ダンサーさんはルイス・キャロルの部屋でも登場してて、ここでは三人のアリスがふわふわ妖精みたいに漂ってるのがめっちゃファンタジーやった~
淡い金色に輝く部屋の中でルイス・キャロルと安蘭アリスが対話し、そこにふわっと存在するアリス三人がまた雰囲気を作っていたのが素敵。
芋虫レディースもめっちゃ艶めかしくて、扉が開いた途端わぁお!
もう、足ばっかり見てしまう。っていうか、ヒップラインからの脚線美ブラボー!状態で、我が内なるオッサンが大騒ぎでしたがとてもそう、セクシーだけどエロくはなくて、ある意味芸術的。
女性ダンサーさんは見る度よくあんな靴で踊れるよなぁって感心するんですが、芋虫レディースも良くあんな靴であの狭いスペースで腰を落としたり出来るよなぁって感心超えて感動でした。

大型ミュージカルを見るようになって、メインキャストがどれだけ華々しく技量のある方を揃えていても、アンサンブルがしっかりしていないと作品の魅力を欠くんですよね。
デコレーション素晴らしくてもスポンジカッスカスのケーキって美味しくないし、見た目つやつやでも粉末出汁のインスタント煮炊き物って美味しくない。(例え方・・・)
やっぱり基礎や土台って大事だなって思うところでの、素晴らしいワンダーランドの住人達がいてこその舞台だったなと今になっても思うのでした。


さてこっからは出番順にメインキャストさんについて少しずつ。

平方ウサギさん
アリスに「でかい!ウサギのサイズじゃない!」と弄られてましたが、ほんとに大きい(笑)
ロミジュリぶりかなって思ったら今年始めにBGでお目にかかってました。
相変わらずの美声。そしてウサギさんの臆病で優しい雰囲気が平方さんにあってたように思います。
大きな体を思い切り小さく縮めてガタプル震える姿に「あざとい」と心中呟きましたがファンの方にはたまんなかっただろうなぁ。
アリスに詰め寄られて「ひぃいっ」と逃げ惑う姿や、これまたアリスに怒鳴られて心を閉ざし、エル・ガトの尻尾を握らされて「そっちいっちゃだめ~」と芋猫に抱きしめられてたのが脳内に焼きついてます。
あと袖に頭突っ込んでお尻と尻尾だけ見せて震えるのとか・・・ガタイがいいだけに可愛いと萌えていいのか、面白いと笑っていいのか戸惑いました。
演出さんグッジョブ←
一緒に観た友人もウサギさんと芋虫さんが少し気になるようなことを言ってたなぁ。このまま舞台ファンになってくれると嬉しい(私は猫推しですけどね!)
ウサギと二役のルイス・キャロルの姿で出てきた時は、そのノーブルで神秘的な佇まいに見とれてしまいました。
今回、ウサギ、芋虫、猫はかなり衣装で体型をデフォルメされていて、せっかくのスタイルが勿体無いことになってただけに、このルイス・キャロルは平方さんの長身足長スタイルが唯一観れてよかったなぁ。
平方さんのソロはウサギではなくルイス・キャロルになるのかな。
途中からアリスとのデュエットになるけど、温もりのある声に優しいメロディがとても素敵でした。
ウサギは狂言回し的なところもあり、アリスのインスピレーションでもあるからか時々シニカルになったり、4バカとだと一緒にバカみたいになってるのも面白かったな。

安蘭アリス
初めましての安蘭けいさん。
アメスタ特番でみんなに「関西のおばちゃん」と言われてましたがなるほど納得(笑)
アリスの状況や悩みが自分に重ねあわせる部分があるだけに、編集者やワンダーランドの住人達とのやり取りのユーモラスな部分に救われた。
自分がどんなに深刻になっても、周りから見たら滑稽なんだろうな~って皮肉な視点と、慣れ親しんだボケとつっこみの間にほっとする面と、あと色々。
いろんな要素が一人の人間を作ってるんだってお話の芯になってる「みんなアリス」と重なっていて、そこも素敵。
あと、コミカルな動きや言い回しが多いのに、歌うと迫力のそのギャップもすごかった。
私は母にはなれないけど、母であるアリスがクロエに呼びかける歌は、私と私の母は中二の夏が終わらないままこの年になってしまったんだなぁなんて事を考えた(笑)ダメダメやん。

ふうかちゃんクロエ
ふうかちゃん、アメスタではふわふわしたかわいい女の子だなーって印象だったけど、舞台だとガラリと変わってお母さんにしっかり反抗してました。
キャラクターがアリスの感情の一部分なのはわかったんだけど、クロエはどういう立ち位置なのかな。
現実のクロエがアリスの中にいるわけはないし、ルイス・キャロルかシロウサギがアリスを誘うために見せた幻。「アリス」の「しろうさぎ」的な役割。でいいのかな?
帽子屋に操られるところと、最後の決戦のシーンでは表情が秀逸!と食い入るように観てた。
デスノでミサミサするんですよね~。すっごい観たくなった。

芋虫
二番目の小さな扉を開いたらすっげー妖しい世界が待ってた~。(ちなみに一番目はウサギ。エレベーター落ちる歌もウキウキした~)
友達が虫苦手で、好きなシルクのオーヴォも観てないって言ってたから大丈夫か心配だったけどこちらの芋虫は平気だったようで良かった。(むしろ終わった後、芋虫さん気になるって言ってて・・・猫推しだよ!)
新納さん観るのも久しぶりだったけど、なんかまたパワフルになっててびっくりした・・・なんであそこからいきなりパーンとハイトーンが出るんだろう。
歌はもちろんだけど、演技もちょこちょこしたリアクションが一々面白くて、アリスが最初のナゾナゾを簡単に解いたときの表情が大好きで毎回そこは見逃さないように集中してみてました。
かっこよくもあり色気もあり、そしてキュートな面もありで多彩な顔をもってる素敵な役者さんだな~と改めて感動。
大阪楽ではお茶会シーンでアリスに椅子を譲ったら「芋虫座ってたからやだ」と拒否されしょぼん。
その後、モリスのお茶は何茶?ってのにモリスが「芋虫茶」と返してアリスに「うぇ~」って顔されてまたしょぼんしてたのが可愛かった。
ドタバタシーンではエル・ガトのしっぽ掴まされて引っ張りまわされたり、モリスとの仲の悪さもコミカルで面白かった。
よく考え込んでじっと立ち止まったり、みんなから反応が遅れたりしても気にせずマイペースな芋虫。
私には芋虫要素が足りないなぁって思うので、時々新納虫さんを思いだして立ち止まって考えなくてはいけないなんて事も思いました(笑)

次はエル・ガトなんだけど長くなるのでナイト!

禅さんナイト&ジャック
四番目の扉はナイト。なんだけど、その前にウサギとアリスのやり取りがあって、どうしたらいいのと頭を抱える彼女に救いの(?)手を差し伸べるべくナイトが現れるわけなんだけど~・・・
まあ、アリスにしてみれば離婚調停中の夫にそっくりな男に「君のナイト!」って言われても微妙だわな(笑)
移動式の階段の上に4番目の扉が現れて、うさぎが無理やりテンション上げて「白のナイトだ!」って駆け上がるんだけど、扉の向こうからペガサス(馬)の顔だけがじっとアリスを見ているのがシュールで面白かった!
ナイト親衛隊(?)もみんなこの馬(頭部のみのステッキみたいなの。外国のおもっちゃぽくてかわいい!)に跨ってるんだけど、禅さんの馬の扱いが秀逸で、腰をゆらし馬の頭を揺らしの動きはほんとに乗馬してるようでした(言い過ぎ)
そんで、禅さんあるところ、常に石川禅オンステージなんだなって(笑)
アリスに招待状を渡すところ、青山で観たときは「シュタッ」と言ってくるっと回るくらいだったのに、大阪では回るわ腕を振り回すわですごいことになってて「ぜーはー」してるわ、楽では「むだなことしてるっ」って!(爆笑)
でもその無駄な事がエンターテイメントなんだな☆と思ったり。
セリフもジャックの時はアリスとの間の緊張感やジャックのもどかしさがシリアスに表現されてたんだけど、ナイトの時は同じもどかしさでもやっぱりどこか滑稽、その分ジャックより哀しかった。
現実のジャックはもう半分はアリスに愛想を尽かしてたかもしれないけど、アリスの中のナイトはまだアリスに希望をもってくれてたんだよね。それはアリスの願望だったのかな。
最終対決の後、帽子屋の言葉に剣を下ろしたアリスに、最初に帽子屋に身を捧げるのがナイトだったのが、自分の一部ではなく、誰かを想う心(?)を殺したように感じて、ボロボロの禅ナイトにめっちゃ切なくなった。
そんで、毎回ふうかちゃんにお休みのキスをしてもらう禅さん、役得だなぁって観てたんだよね。うらやましい!(笑)

松原モリス
チラシのビジュアル見ても何のキャラか分からなかったモリス。
アメスタで「お茶会にいる三月ウサギ」と知って「へー!」でした。エル・ガトもだけど、この名前はどこからとってきたのかな?
チラシでも見るからに悪役なモリスでしたが、悪役は悪役なんだけど、えー・・・ボヤッキーみたいな。そんな感じ?(若い人にはわからない例えですみません)
帽子屋様の太鼓もちでめっちゃKY。
モリスが普通に歩いてる記憶がないくらい、帽子屋様の周りを常にふわっふわ飛び回っててまさに地に足ついてない!
しかも、最終対決のシリアスな場面でもモリスが後ろでいろいろやらかすもんだからそっちに目がいっちゃってかっこいい帽子屋様が見れないという罠!
でも帽子屋様にどんなに邪険にされても「帽子屋様ばんざーい」と纏わりついていくところが憎めなかったりするんだから不思議。
そんで松原さんてナニモノ?と、ブログを読んでみたけどモリス以上につかみどころがないわ~。
アニソンシンガーという括りではおさまらないご活躍の幅に驚いております。
あとアメスタのときに見せた龍ちゃんを見守る温かな眼差しが忘れられません。
ウザさはエル・ガト以上?な松原モリス。実は結構気に入ってるのかもしれない・・・

ハマメグ帽子屋様
ついつい「様」付けしてしまう、それがメグさんの帽子屋様。
もうね!もうね!めーっちゃくちゃかっこいいからね!
クールな悪役だけどコケティッシュでユニークなところも持ち合わせていて、その存在に魅せられてしまう~
帽子屋様を面白く見せているのはモリスだよね~って思ってたけど、大阪公演ではハートの女王様が見てない時にめっちゃ顔をしかめて「けっ」ってぶつくさ言ってるのに、女王様が振り返ったらニコッと笑ってかしこまったり、エルガトのしっぽ引っ張ったり、帽子ちょいちょい触ったり、大阪楽ではとうとう取り上げてしまったり、色々やらかしてて面白かった。
あとクロエをたぶらかす時のやさし~い声!
メグさんは二都物語やモンテ・クリスト伯でも拝見したけど、どちらも気の強い女性の役だったのでこんな・・・優しげな声が!と驚いたのでした。
オフショットでも見るからにチャッキチャキな感じがするけど、ザ・ヒロインなメグさんも観てみたいな~。古巣ではそういった役もあったのかな~。
どんどんエスカレートしていく帽子屋様は衣装も3パターンあって、ノーマル、鏡の国の軍服、決戦の真っ赤な衣装は帽子屋様の大事な帽子に傷が入ってて、あれはどういう意味を含んでるのかな。
どの衣装もかっこよくて、クロエと出会うところはセリ出しから出てるって分かってても魔法みたいで毎回ワクワクした。
あの椅子に座って振り返ったときがめちゃくちゃ素敵なんだ!
あと帽子屋影を二人引き攣れてのダンスと歌はじわっとくる迫力でした。
帽子屋様は自分をアリスの中の悪魔って言ってたけど、それは育ちすぎてしまったからで、負けん気や彼女の強さと思えば欠かせない要素なんだよね。
実際、帽子屋様を失ったら小説が書けなくなると脅されてアリスはそれを受入れてしまったわけだし。
少し変わったアリスの中の帽子屋様は今はどうなっているんだろう?
不機嫌な顔をしながらも猫や芋虫にイタズラしてお茶を飲んでるのかな?
そんな事を考えると少し楽しい気分になるのでした。


ハートの女王美里さん
時代としては私すこしずれるのかな?でも音楽番組全盛期にはテレビでよく観たし、音楽に疎い私でも知ってる名うてのミュージシャン。
そんな渡辺美里さんがどうミュージカルしてるんだろ?って好奇心一杯で楽しみにしてましたが、良い意味で美里さんは美里さんだった!(笑)
あのぽやや~んとしてるのも本人のお人柄なんだろうか。
よくあるアリスのハートの女王様とはかなり違う、愛溢れるまさしく”ハート”の女王様でした。
「首を撥ねよ」もどこかコミカルで可愛らしく、実際クビ撥ねられた人いないんだろうなぁって感じ。
登場シーンはゴンドラに乗って頭上から、そして二幕は帽子屋勢力増強中でゴンドラは下から。
色々笑い所も満載の女王様だけど、歌はさすが!
一幕の女王様のお出まし(でいいのかな)のロングブレスは、あれ、もうどうなってるの!?って仰天した。
後で友人から吐きながら吸うっていうのを聞いて、そんな事できるの!?吐きながら吸うってどういうこと?どうなってんの!?ってまたまた驚いていました。
二幕のジャジーな歌も楽しかった。
首を撥ねられる三人も忘れて女王様のショーにのっかっちゃうくらい素敵!
残念ながらこの二曲はCDに入ってないんだよね・・・色々あるんだろうな~って思うけど、頑張ろうぜホリ☆プロ←
女王様付きの侍女三人やトランプガールズもセクシーでキュートなんだよね~。
イカレタお茶会とはまた別の華やかでポップなショータイム!
は~・・・また観たくなってきた~

これで全員かな?
さて、いきます。大本命です(笑)
病深い私の戯言です。


エル・ガト龍ちゃん
今回公演中にたびたび写メがあがってて可愛さにクラクラしてたんですが、実際に見るとかっこよくてクラクラした!
衣装でかなり体格がよく見えて、そこにボルサリーノかぶるから結構年齢が上に見えた。
トークショーで年齢を言って驚かれたそうだけど、見た目だけでなく、舞台に取り組む姿勢がにじみ出てるもん。世の中の23歳と比べるとそれは仕方ないかなーと。
でも喋ると年相応?しっかりはしてるけど、きゃらきゃら笑ってるとこはかっわいくて今時のワカモノだ~って思っちゃう。
そんな龍ちゃんのマジメなトコとチャラさがいい感じにミックスされたエル・ガトは9割お祭りテンションだけど、芋ちゃんの面倒見たりウサギ慰めたり、ラストでアリスの選択を静かに見つめる表情は静かで吸い込まれそうなほど。
泣きながら身を捧げたのはナイトだけで(これはアリスへの愛ゆえ?それとも願望?)、最後までクロエを守ろうと芋と一緒に戦ってた姿も凛々しかった。
その恐怖と怯えを抑えて帽子屋に立ち向かう姿が悲しいんだよね・・・
しかも帽子屋様、なぜかエル・ガトだけ二回刺すんだよ~!最初見たとき「なんで!?泣」ってなったわ。ひどいよ!

前後しちゃうけど、アリスがエレベーターで落ちていくところの演出、ワクワク感満載ですごく楽しかった。
3のドアを持ったエルガトの尻尾がちょろちょろ見えてて、もうそれだけで「わ~~」ってテンション上がっちゃったしね。
登場もめっちゃかっこよくて、仕切りが取れた途端、パッと目を刺すサーチライト、パパーっと響くクラクションに、ギターの音色がキュンキュン重なって華々しい~!
ボンネットにも座席にもエル・ガト勢がひしめいてて運転席のエル・ガトは拝めなかったけど、よくわかんないスペイン語(?)言いながら立ち上がった時は心の中でキタァアアアアって叫んじゃったよ~。
ほんと、かっこよかった!喋りながらちょこまか動くのがえ*しらさんみたいで、喋るか動くかどっちかにしろってつっこみたかったけどそれがエル・ガトなんだよね☆
エル・ガトナンバーは陽気なんだけどどこか哀愁を感じるラテン系。(ラテン音楽ってどんなに陽気でも物悲しさを感じるのは私だけ?)
わっしょいお祭りテンションなのに曲は少し大人っぽいのがまた魅力的でした。
二番の上手から下手にステップ踏みながら歌うとこが好き。
大またで飄々とアリスに迫って拒まれて(笑)最後は彼女をその気にさせ、少し色っぽい振付も素敵だったな。
最後は抑えたとこからどんどん盛り上がってってラスト、パーンっと弾けるのがすごく気持ちいい!
こちらのボルテージも歌につられてグングン上がってくからかな、パッと発散されたエネルギーがキラキラシャワーの幻想が見えた~(もうそれかなりヤバイ)

今回私のハイライトはエル・ガトが帽子とるところだから!って同行の友人に宣言してたけど、まさしくハイライトだった(まさか見失うとは笑)
イカれたお茶会。帽子屋勢がわっさーと出てきていきなり舞台上に人が溢れ、アリスと四バカも勢ぞろい。
モリスに招待状を見せるよう言ったナイトに、「招待状!?見せて見せて!」ってモリスとアリスの周りをぴょこぴょこしてたらナイトと芋に「バカっ」て引っ込められ、そこから帽子屋様出てくるまではロック・オンできてたんだよね~。
お茶会ナンバーが始まって、きょとんとしてたかと思ったらお祭り騒ぎににゃふにゃふしだして、背中向けてもうずうずソワソワしてるのがまた猫っぽくて、お祭男エル・ガトでニヤニヤ見てた。
こういうのも背中で語る男っていうのかな?
で、何となく賑やかなダンスと歌に中央に視線を移して少し楽しみ、再び下手に戻したらエル・ガトがいなーい!!?
まじでー!?どこ行ったのーーー?って慌ててたら、なんと帽子屋軍団の輪にはいって後方センターで一緒に踊ってる!
しかもこの時帽子初脱ぎで、猫耳ーーーーーっ!なはずなのに、発見したときには既に帽子とっててボーゼンやった(笑)
二回目からは注目してたからしっかり観れたけど、初回まさかので自分でも笑ってしまったわ~あー悔しい(笑)
そこからはちょこちょこ帽子とってたなぁ。耳がちょこんとついててかわいい。
明るい色のカツラも似合ってて、前とは少しニュアンス変えてるって言ってたかな?
白ウサギもモリスも、人間の耳が見えないようにカツラ工夫されててそれもへ~って感じ。そだよね、耳よっつあったらおかしいもんねぇ。
うーん徹底して擬獣化されておる(違)

お祭キャラだけど芋ちゃんの介助したり平方うさぎをあやしたり、色々面倒みてて、しっかりした弟分って感じでもあった。
うさぎがアリスに怒鳴られて萎れたとき、尻尾握らせてぎゅーって抱きしめたのには萌えたわ。
あそこ物販写真にしてほしかったです制作さん・・・
帽子屋様に尻尾引っ張られたり帽子取られたりしてちょいちょい絡んでるな~面白いな~って思ってたら、まだ帽子屋様が荒くれてない頃は一番仲が良かった裏設定があったそうです(アメスタ情報)
芋とモリスが何なのってくらいお互い罵りあってたのも裏設定とかあったのかな?そう言う話もっと聞きたかった~
でも帽子屋様とエル・ガトの絡みはほんと面白くて、帽子屋様のいたずらにエル・ガトがわたたっとしてるのが何度見ても飽きない!そして同じ事を二度しない!(笑)
キャストさんの間で共通認識されている設定が濃やかだから、何度見ても飽きない世界だったんだね。
「首を撥ねよ」では、ナイト親衛隊から帽子屋軍に鞍替えした元仲間がトランプのオネーサン達にクラクラしてるのを囃したてたり、自分もちょっとクラッとしたような顔をしたり、くるくる表情や身振り手振りが変わっててそれもまた毎回見ちゃうんだ。
もうね、目が離せない。でも他にも素晴らしいキャストさんやダンサーさんがいるのでそっちも観たいからすっごいこまった!
牢屋に捕らわれた所も、まあそれぞれが牢屋の鉄柵を持ってるだけなもんだからよく破壊してたな~
その度に慌てて戻すのもご愛敬。主に壊してたのエル・ガトだけど、エル・ガトだからいいんだよね☆
ナイトに「アンタほんっと口だけだな!」って言う、その言い方が何か好きだったり。
細かいところ上げていくとキリがないくらい、かわいいしカッコイイし、何より素晴らしいエル・ガトだった。
私は楽しいことが好きだし、楽しくないことはやりたくない、エル・ガト勢がわちゃわちゃやってる気質かなって自己分析したけど、だからって楽しくないことはやらないってわけにはいかないんだよね。
それってただの無責任だし。
そこに、「楽しいから笑うのではない、笑うから楽しいのだ!」ってエル・ガトの言葉が重なって、やりたくないことでも笑って出来るようになろうなんて殊勝な事考えたりもしたのでした。
あー、やっぱり龍ちゃんは私に必要なこと教えてくれるわ~なんて都合のいいコト思ったりね(笑)

また大好きな舞台が増えたので、再々演希望です!
もちろん、エル・ガトは龍ちゃんで!
煌ダンスステージVol.3 ハムレットの物語

2014.11.08~09
かめありリリオホール

芸術監督 上田遥
音  楽 宮川彬良
衣  装 朝月真次郎

一部:渋谷☆ダンスパラダイス
二部:ハムレットの物語

ハムレット 三浦宏規
オフィーリア 木原実優
クローディアス 大嶋正樹
ポローニアス 森新吾
ガートルード 有光風花
ホレーシオ 長澤仙明
レアティーズ 工藤裕哉
墓掘り 戸室政勝
墓掘り 上田はる美
コロス 阿弥梨沙子
コロス 桂川結衣
コロス 春風まこ
コロス 鳥原志乃
コロス 吉岡朋子


これだけ遠征重なってるのに、何を思ったのかチケットをとっていました。
アルジャーノン、ファウスト、ライブ etc・・・お仕事が続いていることを考えるとちょろっと踊るくらいなのかな~とあまり期待せずに行ったのですが、何が何が!めっちゃがっつり出てました。びっくりした←
喋るのが新吾さん演じるポローニアスだけで、結構なセリフ量だったと思うのですがいつリハやってたんだろう。時の部屋とか持ってるのかなってたまに思う…

そんなこんなで以下いつもどおりの私的感想です。
====


一部が渋谷ダンスパラダイス、二部がハムレットの物語と全く違う味付けのダンス公演を約60分×2でとても観やすく、かつ楽しめる公演でした。
一部のダンスパラダイスは飲み屋の親父が語る過去の武勇伝に沿って様々なダンスが見られます。
沖縄奄美の島歌にあわせて海と風の青、ジャスミンの妖精のような白い衣装の女性ダンサーも素敵でした。
ふだん、美しくもいかつい男性ダンサーばかり見ているので、女性だけのダンスが新鮮。
他にもフラメンコや小さなバレエダンサー、女形の日本舞踊など多種多様な踊り手さんが次々と舞台に現れます。
その合間合間に飲み屋の親父は意気揚々と武勇伝を語っているわけですが、その盛りすぎの語り口調も面白かった。
日本舞踊の場面では豆奴と呼ばれる女形が出てくるのですが、この方がめっちゃ美しい!
美人なんだけど愛らしさがあって、蛍狩りをしていて蛍がつかまえられないとぷっと唇を尖らせる表情が印象に残っています。
もう一人、この方のダンス好きだなーと見てたのがショートボブの女の子。
すごく元気が良くてしゃきしゃき踊ってるのが気持ちいい!
踊るの好きなんだな、楽しいんだなって伝わってきてついつい彼女ばかり目で追ってしまいました。
新吾さんは親父がアメリカに渡ったときに出会ったスター。名前聞き取れなかったんだけど、実在の人物なのかな?
みんなの憧れカリスマスターは、まんま「スター」の出で立ちで登場でした。
ひらひらフリンジに青い星がついた白いツナギにここんとこ定番の刈り上げげポニーテール。
思わずクスッと笑ってしまったけど、ダンスは魅せてくれました!
親指齧るアクションが好き~!私これ初めて見たんですがよくやるのかな?
振付はフリースタイルぽかったかな。とは言っても公演の色もあるし、今回のような明るく華やかなシーンでの新吾さんが久しぶりすぎて新鮮でめちゃくちゃ楽しかった~。
マイクついてないのに「ホー!」って吠えてたのにすぐ反応できず拍手だけになってしまって残念。盛り上がりたかったな~。
私、何を勘違いしたのか一部にしか出ないと思っていて、数分踊ってはけてってカテコにも出てこなかったことにゴィーンとショックうけたんですね。
でもFCからのお知らせには二部に出演て書いてあったしなぁ、でもでもこのチラシには一部に名前あるし・・・二部にも名前あるな、あ、同じ森姓の人がいる。・・・誤植?()と悶々としてしまいました。
これ、改めてチラシとかとっぱらってリーフレットが見開きになってることに気付いて納得したんですけどね。
余裕なかったのかなぁ。最近早とちりが多いので反省です。

だからでしょうか、二部、幕が開いて悪魔が居たときはテンションあがった~!
あ、悪魔じゃなくてポローニアスですね。
ピアノの音がして、ん?金髪・・・?あの顔・・・え、しんごさん???で、テンションパーン!
めっちゃ好きなビジュアル!
最近、というかここ一年?ツーブロックで髪が伸びてきて侍スタイルだったりチョンマゲだったり。もちろんそれも男前で素敵なんだけどたまにファニーフェイスになるんだよなーって(アルジャーノンは帽子ふわふわで可愛かったけども!)思ってたところだったのでこのヘアメイクは久々森新吾さんの美しさを叩きつけられて涙でそうでした。
メイクも眉細めのキリッとアイラインで何ともクールな面立ち。
ハムレットを冴え冴えとした眼差しで見る横顔に「そうだよ、この人けっこうな美形なんだよ」って思い出して嬉しくなったり。病。
衣装もとても素敵で、黒い薄布に紋章(?)がいくつか散りばめ染め抜かれたマントが動くたびにふわり、ひらり。それを操り翻す姿もまた素敵。
パンツと靴も黒で、シンプルな形の紫の上着の襟と袖口はブルーのレースがついていました。
衣装の朝月さんってサロメの衣装デザインされてた方ですよね~。
オフィーリアやサロメ、クローディア、コロスの衣装も素敵で、DVDでじっくり衣装見てみたかったな。(販売はしてなかったと思うんだけど、あったら絶対欲しい)
ふわふわ金髪セミロングと黒のマントをなびかせ新吾さんが演じるポローニアスはなんとも悪魔的。
語り部でもありながら、ハムレットたちの運命を弄ぶようなところもあって、悪いお顔をたくさんしていました。
ハムレットを見るときの冷めた目や、クローディアスにへつらいながらも腹に一物持ってるような表情。主要人物が全員揃って乱舞する中、一人高台に立ち、愉しそうに指揮者のように振舞う愉悦の表情とかしびれた~。
今回は語り部役なのでダンスシーンはないんだけど、歩く、屈むといった動作の一つ一つ、すべての立ち居振る舞いが洗練されていて、もうずっと新吾さん見てた。久しぶりにこんなに森新吾観たかってくらい観てた。
ダンサーじゃなくて役者枠になるのかな?ストーリーテラーや狂言回しはDの公演でもあったけど、それとはまた違った雰囲気でとても見ごたえがありました。
最近では狂言回しは泰ちゃんに世代交代した感じもするし、それはそれで楽しいんだけどまたこういった役回りも観てみたいなぁと。帰ったらSWANみよーとか思ってたけど結局観てないわ。あの悪童天使とは違う大人の雰囲気でしたもん。もう少し浸っていたいのね。
あと久しぶりだーって感じたのが新吾さんの声。
第一声聞いて、あー久しぶりに声聞いた気がするって思ってから、いやいやアメスタとかつい一週間前にファウストトークショーで二言三言は喋ってただろって自分に突っ込んだけど、よくよく考えたら舞台の上で役としての声が久しぶりなんだと。
ポローニアス新吾さんのちょっと気取っていて、慇懃無礼で、狡猾な口調がもう最高に好きだ。
どこだったか、ふるはたにんざぶろう?って思っちゃうような口調と身振りがあって笑いそうになったり。
あと踊らないって書いたけど、コロスたちと戯れたりする場面があって、そこはおどけた調子がかわいく見えて笑ってしまった。
オフィーリアの父親でもあるのだけど、彼女を心配するところなんかは父親としての自分を俯瞰で語る感じがしたな。
それがまた語り部として舞台上をふわふわ漂ってる今回のポローニアスにはまっていました。
そんでポローニアスは物語り半ばでハムレットに殺されてしまうんですけど、ここがすごくおっかしかった~。
舞台奥の物陰からガートルードとハムレットのやり取りを見ていて、ハムレットに間違えて(?)刺されてしまうんですが、その時もなんと言うか少しわざとらしいくらいの表現でピクピクーパタンと死に、ハムレット達がはけた後はふらふらっと前に出てきて「は~~痛かった」って。
心臓を一突きされたことと、やっぱりハムレットは狂ったフリをしていたんだと真実を淡々と語り、死んじゃったのでと墓守る達に頭に天使の輪っかをつけられていました。
シリアスなお話なんですが、こういったとこで和ませてくれて助かるわ~。
でも、そこからもキャストの間をすり抜け舞台上を漂う姿は死神や悪魔のようだったんだよな~。
天使のわっかは悪魔の魅力の前には効力が無かったみたい(笑)
あー書き出したらきり無いな~。
喋るの一人だけなので、ハムレットの名セリフ独り占めで森調子満載だったのも嬉しかったり楽しかったり。
カーテンコール、三浦君より後だったのはゲストだったから?
三浦君、森さん、宮川さんの順番でびっくりした~。
上田先生が出てきて拍手もやまず、繰り返しの挨拶に、降りかけてた緞帳が途中で止まっちゃったときのリアクションも。
目をきょろっとさせて緞帳ちょんちょんって指差して苦笑い。その後の電器消すよなジェスチャーも。
今時、紐引いて電気消すのも珍しくなってきたけど、そういうちょっとした動きがショーワな新吾さんにほっとする(笑)絶対同年代か年上だとおもう。

何か新吾さんのことばっかりやな(笑)
まーしょうがない。
あ、でも主演の三浦君は二ヶ月前にサロメで見たときより雰囲気がかわっていて驚きました。
役所もあるのかな。子供っぽさが抜けて見えた~。これからどんどん少年から青年に変わっていくんでしょうね。
オフィーリア役の女の子もかわいかった。
オフィーリアって言うとフェアリーロングのおしとやかなお嬢様のイメージなんだけど、ショートカットの快活なオフィーリアが新鮮で、また演じている方がチャーミング!
ハムレット、ホレイショ、レアティーズと仲良く遊んでいるシーンがすごくほのぼの。
お互いを意識してるオフィーリアとハムレットの間に立ちふさがるレアティーズは妹大好きなお兄ちゃん手感じでそれもまた微笑ましかった。
このレアティーズ役の工藤さんもサロメに出てましたね。
あの時もすごいって思ったけど、今回たくさん踊っているところを見て更にすごーってなりました。
よくスポーツ関連で「体のバネ」って言葉を聞くけど、全身バネってかんじ。固さが全然ないし、身長もあるのにアクロバティックな技も軽々決めてて出てくるとついつい目が吸い寄せられた~。
まえーにGOさんがるいるいの事を「あれだけ背も伸びたのにバク宙とかできてすごい」って言ってて(ニュアンスです)背が高くなるとアクロ難しいのかな~と思ってたんですが、若者の身体能力おそるべしってことでしょうか。
また別の舞台で観れるといいな~。

あとも一つ驚いたのが宮川彬良さんの生演奏~。
名前は上がっていたけどてっきり音楽監修で打ち込みなのかなって思ってたから、新吾さんがピアノをポロンポロン爪弾いてる後ろから現れたときはWでテンション上がりました。
ホールがいいのか、ピアノの音がとても良く聞こえて耳にとーっても贅沢させてもらった。
ラストは生歌も聴けたし、曲もどれも素敵でクラシック好きの友達が一緒だったら喜んだだろうな。

サロメに続いての上田先生演出でしたが、好きかもしれない。
何が見れるのかわからなかったから、こんな素敵な役の新吾さんが見れてめっちゃしあわせでした。
SHOW・ACT ファウスト・オデッセイア

2014.10.29~11.05
博品館劇場

脚本・演出 荻田浩一
音楽 la malinconica
振付 舘形比呂一、長澤風海

DIAMOND☆DOGS
彩輝なお
若生加世子
田極翼
長澤風海

とあるミュージシャンのもとに、黒衣をまとった不吉な感じの男が訪ねてくる。
彼は、物語を題材に、曲を作って欲しいと依頼する。
それは、次のような物語である。

場所は、アジア的な雑踏。陋巷。
妖しげな人々が行き交う、仄暗い路地裏。
そこは悪魔・メフィストフェレスが支配する、魔物達の巣窟、彷徨える魂の牢獄である。
メフィストフェレスの分身とも言える黒犬が、看守よろしく街を見回っている。
その街に迷い込んだ魂が一人、真珠のような無垢の輝きを放つ司祭である。
彼は、かつて自分に叶わぬ恋をして、それが故に狂い、出奔してしまった娘を捜している。
捜しているうちに、悪魔の住処に辿り着いてしまった。
司祭に言葉巧みに近づくメフィストフェレス。
悪魔は、失われた娘を捜す司祭の度に同道し、彼の心の闇をこじ開け、押し広げていくのである。
悪魔は、司祭を誘惑するが如く、かつて自分が陥れた男達・ファウスト達の物語を語って聞かせるのだった。
(パンフレットより)


このストーリーを追おうとすると途中で破綻してしまい、もう目眩くインナーワールドへゴー!でした。
そんなわけで、以下私見偏見にあふれたいつもの感想文です。

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オギー節全開のとても難解でとても面白い舞台でした。
観てる最中に「これ、アルジャーノンと同じ演出家さんだよね?」と、ふふっと笑いそうになってしまうくらい違ってて、荻田先生の頭をパカっと開けてみてみたいものです。

ストーリーの大骨となるのはゲーテのファウストだけど、荻田先生オリジナルの解釈や表現が満載で、ダークファンタジーといった印象。
というのも、類タカ演じる「スト(ー)リート・ミュージシャン。ゆずみたいな」(類さん曰く笑)のせい。
最初は二人の位置づけが謎だったんだけど、メフィストに物語の中に引きずり込まれ、傀儡にされたという解釈でいいのかしら。
二人の人形のような容貌に、お遊戯みたいな言い回しが、少しぶきみで、少し可愛くて、少しおかしい。
そんなストーリーテラーでした。(あってるかわんないけど)

その二人が彩輝メフィストに「歌を作ってほしいの」と声をかけられ、めくるめく物語が始まる。
けど、パンフレットに書かれているストーリーを追おうとすると苦戦します(笑)
私が読み解けなかっただけだろうけど、毎回、告知時のあらすじやうたい文句を真に受けて観にいくと「?」が乱立する。それがDの舞台。
わかってるはずなのに何故毎度同じ事を繰り返すのか。しかもそれがクセになってまた次観にいくのよね・・・懲りずに。
そんな独り言はさておいて。
SHOW・ACTと銘打たれたこの舞台、セリフのやりとりで物語が進むのではなく、ダンス・ショウと歌の合間に各々が独り言のように呟いてはまた物語の波にのまれる、または本のページが捲られるように進んでいきます。
ダンスもかざみんが二十曲ほど振付をしたそうで、いつものD公演とは違った趣でした。
ダンスのあれこれに詳しくないのであくまで私見ですが、バレエ的な表現が多かったのかな。
もちろんコンテもあり、新吾さんのソロなんかはまんま森新吾でしたが、かざみん振付の場面はバレエを見慣れていないだけにかなり目新しく楽しめました。
四つ這いになった皓ちゃんと新吾さんの上にリーダーが乗って、そのまま二人が身を起こして進む中、少しずつリーダーが立ち上がる所は進行方向である上手で見るとかなり迫力あった。
あまりにもそこの印象が強くてどのシーンだったか出てこないんだけど、あれはこの世ならざる場所にファウストが踏み込んでいくってな受け取りかたでよかったのかしら。それとも更に堕ちていく?
ぎょろっと目を剥いた二人と、青ざめた様相のファウストがどんどん大きくなっていくのがすごくおそろしかった。

なんとなくリーダーを「ファウスト」と書いているけれど、実際は司祭でファウストで真珠の乙女(?)でもあったのです。
そして彩輝メフィストはメフィストでありメフィストの傀儡であり真珠の乙女でした。
こういう解釈であってるのかどうか判らないんですけどね。
彩輝メフィストは黒犬かざみん(本物の悪魔メフィスト)に操られていて、司祭を乙女のもとに誘いながら彼を翻弄、誘惑する。その旅路の中でファウストたちに刺激され、真珠の乙女だった記憶を取り戻していくって感じなのかな~と。
司祭は司祭で、乙女を捜す旅路のなか、ファウストの見せる妖しげな物語、過去のファウスト達の影に染められそうになるけど拒否する。と。
あくまで私の「こんな感じかな~」なので、すごく偏ってます。
でもこの舞台自体が騙し絵を右から左に見せられているような、ぶれぶれの写真を何枚も重ねてたら一瞬ピントがあった絵が見えたような。でも次の瞬間にはまたぶれぶれで何だかわかんなくなっちゃう。
そんなふわふわもわもわもぞもぞした舞台だったんです。


D麺ダンサー組はかつてファウストと呼ばれた者達の亡霊。
近代化されていく中で暴かれ、淘汰され、抹殺されていく不可思議たち。
奇術科学呪術・・・と裏表の言葉を並べる歌詞(せりふ?)も、現実からどんどん遠ざけられるおまじないのようで、あーこういの大好き!ってのめりこんでいきました。
其々の犯した罪になるのかな。七つの大罪を一つずつソロで表現。

第一の罪、愛欲は泰ちゃん。
振付は舘形さんで、めちゃくちゃ緊張していたようです。
踊り始めは少しリーダーが絡むんだけど、あっちいっててって感じでとんっと押されていました。
トークショーで新吾さんに泰ちゃんなりのビジョンはどんなのと聞かれ、場所は島根、彩輝さんと若生さん二人のチャンネー(新吾録)を翻弄したりされたりだそうです。
踊る三人の周りを黒犬かざみんがうろうろしてて、最後は黒犬が泰ちゃんに抱きついて「チャン☆」ってオチでした。
それまでが結構どろどろと重い暗いの繰り返しだったので、ほっと息を抜ける貴重なシーンでした。

第二の罪は物欲。新吾さん。
トークショーでチラッと言ってたのが、かざみんに自由にやらせてもらってます。との事で、私が観たマチソワでも少しずつ違ってるところがあって新吾さんのダンスを堪能できた。
シルバーグレイのスーツに同色のネクタイとハット。シャツは黒。
スタイリッシュやく・・・いやいや、ジゴロ?
暫くスーツ姿拝んでなかったから、出てきた瞬間、かっこよさにクラクラしました。
アルジャーノンのいたいけかわいいのどこいったーってくらい別人で、でもどっちも好きだーって。翻弄されまくってて、この人こそ悪魔じゃないかと思ってみたり。
ダンスはもういつもの新吾さんです。縦横無尽に飛び回る姿はただただ圧巻。
かざみんに帽子を取られてもがき苦しむ姿には、見えるはずのない圧力が見えるような気さえしました。いや、見えてた。
びくんびくんと痙攣しながらのたうつ姿がこわくてですね。
物欲というか執着?帽子を返すとと少し元に戻るんだけど、最終的にかざみんに潰されてしまいました。

第三の罪は嫉妬。かざみんとつっくんのターン
触れてなかったけど翼君、今回すごい出で立ちです。
赤紫のぱっつんボブに毒々カラーの衣装。最初出てきたときリーダーと見間違えたのは内緒です。(え?リーダーがヅラって珍しいって思った←)
そんで、話の流れ上何となく罪を犯した若生乙女が地獄に落ちて劣化したのがつっくんだと思ってしまい、幾らなんでも劣化しすぎやろと突っ込んだのも内緒です。実際は魔女だそうです。
その魔女と黒犬の嫉妬ダンス。
まだ記憶にサロメの隊長と首切りナーマンがこびりついてて、その二人がふざけあってるように錯覚してしまうことしばしば。
張り合うように踊って、「ムン」とにらみ合ったりするのがコミカルでした。
ここもほっと息がつける場面・・・のはずなんだけど、二人の容貌が濃すぎてかなり面白いことになっています。
それにしても翼君の女装が意外にイケててびっくりです。

第四の罪は貪食、皓ちゃん。
貪欲ではなく貪[食]だそうです。
全てを最後まで食らいつくす。最後の一人になっても。てな意味深な語りが入っていまして、更に迷彩ミリタリーな衣装の皓ちゃんに否応無しにグロテスクな事柄を創造せずにはおれませんでした~。わぁんグロは嫌い!
しかしながらブログでも触れてましたが、こういう世界が好きなんでしょうね~。
ダイナミック狂気。
バーンとスポット浴びて舞台後方中央に現れた時は、夜道でこんなのに出くわしたら勝てる気がしないとボーゼンとしてしまいました。
ステッキを銃に見立てたり、肉?骨?になったり。
黒犬かざみんが物欲同様それを取り上げて皓ちゃんを翻弄するのですが、取り上げられてもがき苦しんでいた新吾さんとは違い、狂気と恍惚の表情でそれに飛びつき追いかける皓ちゃん。
座して手を伸ばし食らい、また手を伸ばすを繰り返す表情は、大好きな料理を目の前にした子供の純粋さも垣間見えゾッとさせられました。

ここで一幕終了なのですが、ぬるっと始まってぬるっと終わった感じです。
客電ついて「あ・・おわ、り?」(パチパチパチ)って感じで戸惑いがちに拍手してしまった。
夢の中で夢を見てて、まだ覚めてないんだろうな~て感覚に近いかも。
しかも現実を忘れさせてくれる舞台。ではなく、現実からひっぺがされて悪夢の中に放り込まれるよな舞台です。

さて第二幕。
第五の罪、怠惰。利さん。
毎回、罪を類タカが数えてくれるんですが、タカ「第五の罪」類「怠惰」と言う所で私が観た夜公演、類さんが「怠惰」をかなり食い気味に言って笑いがおきてました。
トークショーでも突っ込まれて、利さんが自分の出番なのに笑いを堪えるのに大変と言ってました。
新吾さんもはけるときにニヤッとしてたけど、たしか昼公演もニヨニヨしてたからあそこはなにかあるんかな~?
どこだったか忘れてしまったけど、D麺四人で内向きの輪になって踊るところでは、皓ちゃんの正面に居る新吾さんがぷるぷるしだしたり、皓ちゃんもによっと顔が緩んだりしてたな。
閑話閑話。
怠惰は夫婦間の問題?
それまで斜めに上がってくスロープ(高架下や橋げたのようなセット)がむき出しだったとこにカラフルな布がかけられてほのぼの家庭のダイニングキッチンに変身。
そこで冷めきってるのかラブラブなのか微妙なラインの利さんと若生さん。
若生さんは一幕の前衛的ドレスからグレーのスカートと白いシャツに着替えてました。
お互いにちょっかいかけては拒否したり受入れたり。
面白かったのが、利さんに肩を抱かれた若生さんがぴょんぴょんと跳ねだして、そこから二人してぴょんぴょん楽しそうに飛び跳ねて踊るところ。
可愛いんだけど何だかシュールで、あーバレエの表現(偏見)だ~、と。
しかしきゃっきゃうふふしてたのも束の間。
若生さんがお腹に両手を添えて、上下に彩輝さんとリーダーが現れたあたりから雲行きがおかしくなりました。
妊娠した(?)妻にいきなり暴力を奮い出す夫。酷い!
妊娠し、男に捨てられた真珠乙女の寓話再現ってところでしょうか。
二人にリンクするように彩輝さんとリーダーが踊っていて、やっぱり彩輝さんが真珠乙女なのかなぁと強く思わされたシーンでもありました。

第六の罪、傲慢。風海さん。
ここでようやく黒犬=悪魔メフィストと明かされ、それまで匂わされていた疑問符が少しばかり解消されます。
この風海さんのダンスがものすごくパワフルで暴力的。
風海さんの初見はダンスシンフォニーでキレのあるパフォーマンスながらもたおやかでまっさらな印象でした。
D公演のゲストでも可憐推しの役回りが多かったように思うのだけど、いつのまにか妖精さんはダークモンクにジョブチェンジしていました。
トークでも言ってたけどDに染まりすぎです(笑)
レボレボさんを彷彿させるひも状の衣装は一幕二幕通して変わらずでしたが、ニ幕からは銀色のひらひらがついてた?ん?最初からこれついてたっけ?
まあいいや。←
サロメの親衛隊長もかなりダークでしたがあちらがシャープな悪役なら、こちらは悪魔らしく暴虐と蹂躙て感じのとっちからかりよう。
そして何より凄いのが、風海さんがいないシーンってほぼないんですよね。
途中から入ったりはけたりするものの、どのシーンにも大体悪魔がいる。
そういえば、怠惰ではダイニングテーブルの下で飼い犬よろしく丸くなってました。
ほぼ出ずっぱりで終盤にきてのソロ見せ場、そしてこのあとも出番は続くよ最後まで。
そりゃエナジードリンクも飲むわ。

メフィストのネタばらしが終わった後、ぞろぞろ出てくる異形の者。
ここまで来ると、「乙女」である若生さんの衣装やメイクが真珠乙女にしては禍々しいような?と気になっていたのも解消です。
リーダー以外はすべてメフィストの手の者って考えればいいのね。
類タカが言うには、この世界を終わらせるにはファウストが「もういい、もう十分だ」と一言言えば終わるらしいんですが、それはつまりメフィストを開放して命を食われるということ。
そしていつの間にか悪魔の謀に引き込まれていた司祭。
捜し求めていた乙女が彩輝メフィストで、その彼女も悪魔の傀儡で、かつての数多のファウストになりかけていた司祭。
怒り爆発です。

第七の罪、憤怒。東山リーダー。
振付は舘形さん。
前もって荻田先生と打ち合わせをしていてイメージは出来ていたそうで、三時間ほどで振付されたそうです。
「関節柔らかいね~」「腕長いね~」と、東山さんのいいところを存分に活かしてくれたと嬉しそうにトークでおっしゃってました。
他のメンバーいなかったそうで、早かったんですね~って感心してた。
そんな嬉し恥ずかし憧れの舘様振付の憤怒。(本当にうれしそうにはにかみながらおっしゃってたので・・・)
かざみんのバレエ色濃い振付も目新しかったですが、こちらもこれまでと違った東山さんが満載でした。
白いふりふりがついたパンツに上半身は裸。主に上半身を使う動きが多かったので見ごたえたっぷりで肉体美を堪能させて頂きました。
このごつくていかつい人を16歳の美少女と見まごうたのは二ヶ月ほど前でしたのよ。
あ、でもフェロモンは今回抑え目だったように感じます。
ダンスマジックでは着衣ながらもエロスを感じたのだけど、今回は司祭だからかそういった要素は一切感じられず、この憤怒ではただただ純然たる怒り、憤りが雷のように閃いていた。
憤怒って言うとダンスシンフォニーの地を思い出すけど、あれとも全く違う。あっちが土着の神様なら、こちらは三対六枚の翼をもつ天の使いってかんじ。
ハイ言いすぎたー。
そのお怒リーダーを恐れもせず、メフィストかざみんがてこてこっと近寄っていって、ツン。と肩や腕をつつくので「うぉおい」てなりました。
なんて怖い物知らず!
まー悪魔なんで怖い物なんてないんでしょうけど、ちょっと拗ねたような表情でゲキオコりーだーを構いに行くのが面白かったです。
メフィストが「あっち」って指さすと、しれっと別の方を向いたりメフィストから離れたり。
結果的にメフィストは司祭をファウストにしてその魂を喰らうって目的を果たせなかったのかな。

怒りのターンが終了して、そのままフィナーレかと思いきや、また最初のシーンに逆戻り。
つまらなそうにしている黒犬メフィストにハットを渡し、ストリートミュージシャン二人に彩輝メフィストが「歌を作って欲しいの」と声をかけて再び物語が繰り返される予感をそのままにフィナーレでした。
Dの公演もだけど、荻田先生の舞台は(数えるほどしか観てないけど)最期にすっと幕が下りるのではなくレビューがあるのが嬉しい。
次々と出てくるキャストが歌い、踊り、それぞれ之技を見せつけてくれる。
今回は若生さん彩輝さんと女性が加わってより華やかで麗しいショーだった~。
劇中、若生さんの髪型がちょっと妖怪ぽく、メイクもどぎつくて怖い印象だったんだけど、髪を下ろしてきれいにターンする姿は格好良かった~。
ハットかぶって踊る所も、帽子の扱い方や指遣いが違ってて目が幾つあってもたりない。これDVDに全員ちゃんと入ってるといいな~。
なにせ人数が多くて色々重なっちゃってるから心配です。

は~・・・それにしてもほんとに濃密なステージだった。
ここのトコ重めが続いてるからVDSは軽やかに楽しくお願いしたいです。
Musical アルジャーノンに花束を

2014.9.18~28 天王洲銀河劇場
2014.10.16  福岡市民会館
2014.10.18  サンケイホールブリーゼ

原作 ダニエル・キイス
脚本/作詞/演出 荻田浩一
音楽 斉藤恒芳
協力コーディネイト 早川書房

チャーリィ・ゴードン 浦井健治
ハロルド・ニーマー教授/ギンピイ 良知真次
アルジャーノン/アーニィ/白痴のウェイター/チャーリィ(子供時代) 森新吾
ヒルダ/ファニィ/ローズ(回想)/ノーマ 桜乃彩音
バート・セルドン/フランク/リロイ 高木心平
フェイ・リルマン/ジョー 秋山エリサ
ルシル/エレン/ミニィ/ノーマ(回想) 吉田萌美
ジェイ・ストラウス博士/アーサー・ドナー/マット 宮川浩
アリス・キニアン/ローズ(幻想) 安寿ミラ

ミュージシャン
吉岡篤志 violin
灘尾 彩 cello

story
ドナーズ・ベーカリーで働くチャーリィ・ゴードンは32歳。
知的障害である彼は、ずっと賢くなりたいと願っていた。
ある日彼は、ビークマン大学付属精神遅滞成人センターを訪れる。出迎えてくれたアリス・キニアンが彼の先生となり、読み書きなどを習い始める。そして彼女の推薦で、知的能力を向上させる脳外科手術の被験者に推薦される。
その手術を受けた白ネズミのアルジャーノンは驚くべき知能で、迷路のテストではチャーリィを簡単に負かしてしまう。チャーリィの賢くなりたいという想いは膨らむ。
それは「頭が良くなればみんな僕を好きになってくれるかもしれない」「お父さんお母さんが喜んでくれる」と夢見ていたからだ。
そしてついに手術を受けることに。
しかし、チャーリィを取り巻く教授陣の想いもそれぞれ。
手術には副作用の可能性が秘められていたからだ。
術後、チャーリィの知的水準は日増しに上がっていく。
外国語も堪能になり、その知能はアリスや手術を担当した教授達を貼るかにしのぐ。
その一方で、これまでの仲間達の対応は、自分をバカにしていたのだと知るチャーリィ。そして仲間達も変化していく彼を遠ざける。
さらにチャーリィは、アリスに対して、これまでにない感情を抱くようになった自分に気付く・・・。
(パンフレットより)


東京と大阪公演を観てきました。
以下、いつも通りの感想文、までいかない私的一人言です。
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八年前。まだ森新吾さんもDIAMOND☆DOGSの存在も知らなくて、巡り会った後、ずっとずっと再演を希望していたアルジャーノン。
再演の報せ(予報?)に飛び上がって叫んだのは大雪の日でした。
もう、ずっとずっと新吾さんの白ねずみを観たくて、ネットに落ちてる観劇レポや劇評サイトの写真を見ては溜息ついてましたから。
DVDもなく、過去には遡れないのが舞台ファンの苦しみで悩みですよね。でもだからこそ劇場に通うし、夢中になれるんだけど。
原作である「アルジャーノンに花束を」は高校生の時に読んで、この本の事を思い出すと高校の教室と数学の授業が蘇ります。(授業中机の下で本を読んでた)

今回舞台を観て、あの頃と変わらない感想を持った自分はぶれてないのかそれとも成長していないのか。
どちらともわかりませんが、観劇中は責められているような気持ちになる事もしばしば。
原作を読んだ当時に感じた事。
それは、私はアリスでもチャーリィでもなくパン屋の仲間達側の人間であると言うこと。
アリス・キニアンは私から尤も遠く、対極にある存在で、憧れはするけれどそこに立つ勇気は到底もてません。
私の目は他者をどんな色で見てるんだろう?
私の目をみて、他者は何を感じ取るんだろう?
そんな事を考えると、誰かと目をあわせるのが怖くて、自分がこわくて仕方なくなります。
こうしたことを書いている事すら、自分をよく見せようという算段があるに違いないと自分を疑うくらい、私は身勝手で傲慢な人間だから、アルジャーノンの物語はとても身につまされ、人としてのあり方を問われている気持ちになってしまうんです。
大千秋楽の挨拶で浦井さんが「ダニエル・キイスさんは人は一人では生きていけない、誰かと繋がっていなければいけない。そんなメッセージがこめられていると思います」とおっしゃっていたんですが、私はこの物語からそのメッセージすら受け取れなかったのです。
チャーリィを演じ、舞台に立つにあたって物語やチャーリィ・ゴードンという青年を深く探ったからこその言葉だと思います。
他のキャストの方にしても、この舞台に愛情を注いで創られたのが伝わってきましたもの。
ただ、その優しさ、愛情が、私には悪魔にふりかけられる聖水のような効果があっただけの話・・・
ああ、でもパン屋の人達が知能が退行したチャーリィが戻って来たとき「俺たちの知ってるチャーリィが戻って来た」と言ったのには「何故」と驚いてしまいました。
小説、こんなシーンあったかしら。舞台見る前にもう一度読み返しておけば良かった。
自分達が追い出しておいて、バカになって帰ってきたチャーリィに安堵し、受け入れる。そんな図太さはさすがに私にはない。
でも、物語の中ではチャーリィが戻る場所はドナーズ・ベーカリーしかなかったわけで。
そこで彼らが「彼らが知っている」チャーリィを喜び受け入れるのは、チャーリィにとっても彼らにとっても良いことだったのでしょう。か?

さて。自意識修復はこれくらいにして舞台の事ですよ、と。
やりきれなさを感じる物語ですが、荻田先生の紡ぐアルジャーノンはとても詩的で、そこから哀切と優しさが溢れていました。
照明も音楽もとても美しく、派手なきらびやかさこそないけれど、そぼ降る雨のように気がついたら心の奥深くに染みいっている。そんな舞台だった。
原作との違いはやっぱりアルジャーノンの存在で。私は彼を観に行ったわけですが、いや、驚いた。驚くというか感嘆。感動。
ただただ、そのきめ細やかな演技に見入ってしまいました。
文中ではアルジャーノンはもちろん喋りません。むしろ、経過観察を記されるだけの被検体です。(チャーリィとのシンクロぽい表現はあったかな。すみません、ウロです)
舞台でもアルジャーノンは喋りません。
ですが、森さんがアルジャーノンを演じることで、物言わぬ彼の感情が具現化されるのです。
私は本を読んでいたとき、アルジャーノンの感情など考えもしていませんでした。
道徳的な所で被検体にされる動物の生命云々については考えましたし、アルジャーノンが何を考え、思っていたのかなんてちらりとも浮かばなかったのです。
セリフもなくただ人々の間を踊り、すり抜けていくアルジャーノンは概ねすっと冷めた表情で感情らしきものは浮かべませんが、時々チャーリィや周りの人に感化されたように表情を咲かせます。
悲しみだったり嫌悪だったり驚きだったり。
今までセリフ芝居を観てもピンとこなかったけど、身体表現に限られているからこそ濃やかで雄弁なアルジャーノンは森さんの魅力や技能が最大限に発揮されていて、とても素晴らしかった。
ごくたまにうっとりと微笑むような表情をされて。そのとろりとした眸に心が騒いで、物語の世界から弾き出されることもしばしば。
一皮剥けば32才の(またいで33才の)割と強面のお兄ちゃんです。分かってます。
でも、そのピュアピュアな表情に魅了されて森新吾さんを見始めて、ここ最近お目にかかってないんだよな~なんて腐ってた所でのあの表情は強烈でした。(最近キリッと厳しめの表情ばかり観てたので柔らかな表現が恋しかったのです)
実際、八年前のかわいらしさは期待せずにいこう。と、予防線をはっていただけに、残っている八年前の画像より純粋なものを見せられて舌を巻きました。
八年があって、その間に表現者として熟練され、深みを増したからこそなのかと思うと、やっぱり初演を観たかったと嘆かずにはいられない。
余談で、東京で観たときは、アルジャーノンが死んだ後、チャーリィの影として纏わり付いていると思っていたのだけど、大阪で再度観ると、その前から、一幕の時からチャーリィらしき表情や動きをすることもあれば、周囲の人の感情に反応することもあるのだと気づき、回数重ねるって大事だなとも思った次第です。
あとこれははっきりしないのだけど、少しずつ演出や表現が変わっていたように思います。
東京は幕が開いてすぐ観に行って、ほぼ一ヶ月ぶりなんですが、所々「あれ?前もこうだったっけ?」と言うところがあり、もしかしたら回数重ねて気付いたと感じたところも、演じるうちに変わっていたところなのかも知れない。

森さんが出ている間はついつい目で追ってしまうんだけど(セリフや場の空気に反応するのを見逃したくなかった・・・)、ちゃんと他の方の演技も観ていました。
やっぱり好きだな~と感じたのが宮川浩さん。
私、こういう発声をされる方に惹かれるんだなと何度目かの実感。
ハリがあり、力強いお声にうっとりです。
特にチャーリィの知能が退行していく中、歌われた歌(見えるのは、世界。でいいのかな?)。
星は消えた。灯台の灯りも・・・(ウロ覚えです)という歌詞でスパーンと始まるこの歌が最初何を示しているのか分からず、二回目の観劇で徐々に失われていくチャーリィの知能と、不安なんだと気づき、そこからこの歌が大好きになりました。
チャーリィの無念さがひしひしと胸に迫ってきて、ぐっと奥歯を噛みしめて最後の時を刻む二人を見ていました。
あと、音楽詳しくないので的外れな事を言ってそうですが、この歌聞くと何故かナポリのカンツォーネを連想してしまいます。

歌と言えばもう一方印象的だったのが桜乃彩音さん。
ピアノのように澄んだ声!
数人でハモっててもよく分かる特徴的な声なんですが、他から浮いてしまうわけでもなくちゃんと調和されていて驚きでした。
涼やかで凛とした佇まいは潔癖感もあって、チャーリィの母親ローズを演じるところでは鬼気迫るものがありました。
ローズは舞台の上で抽出されたところだけをとると母親としてどうなのと思われそうなんだけど、時代背景とか考えると今ほど知的障害に理解があったわけじゃないし、いの一番に責められるのは母親なわけだし、すごい辛かっただろうなと。
劇中でも全てを理解した(つもりの)チャーリィが犯人捜しと称して彼女の心理を曝いていたけど、それだけではなかった筈なんだよね。
それとは対照的に父親マットとの思い出は髪を切ってもらったり、ちょっとしたことで頭を撫でて貰ったりと良い思い出になっていて、でもだからと言ってマットが良い父親だったかというとそうとは思えないから難しいです。

このマットとの邂逅のシーンで、森さんがワンフレーズだけ歌う「おとうさん」にもやられました。
チャーリィがマットの営む理髪店を訪れた時にはアルジャーノンではなく手術を受ける以前のチャーリィとして存在していた森さんですが、チャーリィとマットとの掛け合いの合間に「おとうさん」と子供の声と顔で彼を呼ぶその演技に胸を突かれた。
それこそ全くの子供の顔で、裏も表もなく親を呼ぶ。
アルジャーノンの間はもちろんセリフ無しなんだけど、アーニィというドナーズ・ベーカリーでチャーリィの代わりに働いていた男の子をやっていたときも一言二言のセリフがあって、彼も少し知恵遅れのようだったけど浦井さんのチャーリィとはまた別の演技をしていて、それもすごく良かったのです。
ってこう書くとお前何様だって感じだし、さっきセリフが無いからこそ云々言ってたのを自分でひっくり返しているわけですが。
浦井さん、森さん始め、このカンパニーの方々が障がい者に敬意を払って演じられているのが凄く伝わってきて、+αになってるのかなと思います。(それか今まで私が観てきた舞台の役があってなかったとか?いや、アレはアレで面白かった)
白痴のウェイターを演じていたときもとてもチャーミングで、アルジャーノンとはまた違った愛らしさがありましたし、アルジャーノンの時もずっと指を曲げていて、ネズミの手なのかな?それがぴくっと動いたり、繊細な表現をするのをじっと見ている時もありました。
ああ、結局森さん所に話が戻る・・・(笑)

そう言えば高木くんをこんな舞台で観る日が来るとは・・・と、嬉しい驚きもありました。
桃ちゃんの時は彼が歌い出す度に固唾を呑んで見守っていたのも懐かしく古い話ですね。
時を経て、経験を積んで、彼もまた・・・って頑張れしんぺぇえええってなったのはここだけの話です。
さすがにベテラン陣の中に放り込まれると見劣りしてしまうのは仕方がない。でも安心して、新吾さんもきっかり演じて歌う役だったら同じラインだと思うから←
でもバートっていう、優しい青年の役は高木くんにぴったりだった。
アルジャーノンのことも、チャーリィのことも、損得なしに考えていてくれたよね。
ニーマー教授のやり方に憤ってくれたり、それは若さで、まだ彼が「研究者」になりきれていない甘さだろうけど、そういった所も好ましいよい子だった。
それとは対極の良知真次(笑)
思わず(笑)ってつけてしまうほどいやーな役をしかも二役も!
でも不思議とらっちゃんが演じるやな奴って、下品ないやらしさはないんですよね。
それは良知さんの根っこがしっかりしているからかな。
ニーマー教授もギンピイも、すごく差別的で俗物だったけど、自分の欲求にストレートでヒエラルキーってものにすごく敏感だった。
チャーリィに上下関係を逆転されたときの苛立ち、怒りの表現は私にも理解出来るものだったし、だから私は彼らを嫌いになれないんだ。

あ、今、主演に触れずに随分かたってるなぁと気付きました。
浦井さんは舞台でお見かけする機会も多い俳優さんですが、改めて凄い方だなと印象づけられました。
幕が開いてすぐの「ぼくわかしこくなりたい」から、辿々しかった言葉が少しずつ、発音から、声から変わっていく、その細やかな演技。
すこし雑味が入った高い声と、沸々とした怒り?苛立ち?を含んだ低い声。
その二つの声の間もあって、様々な種類の「声」で演じ歌う凄さ。そうそう出来ることではないと思うのですが、それがあまりにも自然で、チャーリィ・ゴードンそのもので、終わってからその凄さがじわじわきています。
数々の天然の話はあちこちの舞台裏話で聞きますが、大阪楽の挨拶もまさに「らしく」て微笑ましいものでした。
カテコで出てくる森さんにちょっかいかけたり、迷走する浦井さんを共演者さんみんなどうする?て感じで見守る中、一人前向いていつもの笑顔でしらんふりの森さんとか、お二人の間柄が垣間見えてそれも面白かったり。
そんな浦井さんだから出来たチャーリィ・ゴードンで、アルジャーノンに花束をなんだろうな。


実に様々な人が登場して、チャーリィを取り巻いていたのだけど、フタを開けたらたった9人のキャストが演じていたんですよね。
私が再演を熱望している舞台がもう一本、荻田先生のワイルド・ビューティで、こちらは幸い知人にDVDを見せてもらえたのですが同じ感想を抱きました。
そちらも多様な人物が登場するけれど、カテコをみて「えっ?(キャスト)これだけ?」って驚いたものです。
2008年上演なのでアルジャーノンの二年後ですが、雰囲気が似てるのもあって、荻田先生の試行が垣間見たような気がして楽しい。
宮川さん演じるのは穏和なストラウス博士、ドナーさん、マット
良知さん演じるのはこの物語のヴィラン、ニーマー教授とギンピイ
性質が似たような所なので演技するにあたっての心理的な振り幅はあんまりないかなと思いきや、それぞれにちゃんと違う人物になっていて、だから最後に「あれ?これだけのキャストでやってたの?」ってなるんですよね。
森さんもアルジャーノンに徹しながら所々で違うキャラクターを演じていたりするし、女優陣に至ってはもうしっちゃかめっちゃかで大変です。
アリスが唯一シングルだったけど、チャーリィの幻想の中でローズの一人になっていたりするから完全シングルでもない?
アンサンブルが取り巻いてという方法も面白いけど、一人の人間が右から左に向きを変えただけで違う人になるというのも舞台ならではの表現方法で観甲斐があるというか、とても面白くて楽しいです。
何がどうなってるのか見逃したくないから集中力もたかまるしね。


さて。長々書いた!
とても素敵で色々考えさせられる舞台でした。
また再演あるといいなと思うけど、その前になんとかワイルド・ビューティを・・・とどこ向けにか分からないけど伏してお願い申し上げます。
舞台も人も巡りあわせだなと熟々感じる今日この頃。
せめて「今」やってる舞台は見逃さないようアンテナ張ってどんどん貪欲で参ろうぞ~
長々と読んで下さって有り難うございました。