龍翁余話(840)「熱中症、7月がピーク」

 

またも『熱中症のシーズン到来』――いや『熱中症』は近年、“夏の時期”に限らず、1年中、熱中症の警戒を要するようになっているが、特に『7月が熱中症のピーク』だそうだ。昔、7月は「文月(ふみづき、ふづき)」「秋初月(あきはづき)」「七夕月(たなばたづき)」「女郎花月(おみなえしづき)」「涼月(りょうげつ)」など風流な別称で呼ばれていたが、近年の異常気象は“風流”や“文学的”呼び名がそぐわない“猛暑月”になってしまった。そして気象庁では「暑さに慣れていない7月が熱中症のピーク月」と発表するに至った。今更言うまでもないが、熱中症は最悪の場合、死に至る危険性がある。翁、過去にも何回か「熱中症の恐怖」を(この『龍翁余話』で)吼えたことがあるが“熱中症を正しく理解し、予防に繋げたい”思いで、(厚労省や関係機関の資料を参考に)今号もまた『熱中症』を取り上げることにした。

 

病気には病状の段階があって、特に癌などは病状の進み具合(進行度)を示す“ステージ”

(1,2,3、4)と呼ばれる“病期”があるが、『熱中症』にも1度・2度・3度の段階があり、その段階によって処置の仕方が異なる。1度(軽症)は、立ちくらみ・筋肉痛・筋肉の硬直(こむらがえり)・手足のしびれ・大量の発汗、などの症状で、この場合は現場での応急処置で対応が可能だと言われているが、2度(中等症)の頭痛・吐き気・おう吐・虚脱感・集中力の低下などの場合は、病院への搬送が必要となる。更に、3度(重症)の意識障害(意識がもうろう)・けいれん・歩けない・異常な高体温・などの場合は入院して集中治療が必要となる・・・(と資料に書かれている)が、実際、我々素人には、これらの“病期”を正確に認識する知識も経験もないので、「ちょっと様子がおかしい」と思ったら(そういう人を見かけたら)、それがたとえ1度(軽症)であっても救急車を呼んで医療機関で診て貰おう(治療して貰おう、と翁は考えている。

 

とは言え、周辺で「ちょっと様子がおかしい」と思える状態の人を見かけた時は、救急車を呼ぶと同時に、その人をいち早く「涼しい場所に移す」とか、「水分や塩分を補給してあげる」とか、「着ている衣服を冷やしてあげる」などの応急措置は必要だろう。勿論、これは他人に対してばかりではなく、翁自身、そういう症状に陥った時は、まず、そのような手っ取り早い措置を講ずることが肝要であろうと考える――だが、肝心なことは、まず、『熱中症』に罹らないための“予防”に心がけることだ。

 

『熱中症』を予防するための行動を理解し実践し、日ごろから『熱中症』に対する備えを万全にしておくことが大切で、環境省と気象庁では今年2024年(令和6年)4月から「熱中症特別警戒アラートの運用」を始めた。「熱中症特別警戒アラート」は、従来の「熱中症警戒アラート」より一段上の“特別警戒アラート”、いわば極めて強い“警戒警報”のこと。本来なら、熱中症警戒アラートや特別警戒アラートが出る前に“熱中症の予防行動“をとる必要があることは言うまでもない。今更ではあるが、この機会にもう一度“熱中症予防行動”のおさらいをしておこう。実に簡単なことだが――

 

「出来るだけ外出を控え、暑さを避ける」――環境省では「不要不急の外出は出来るだけ避けましょう」と呼びかけている。少し前、“コロナ禍”の時も政府や自治体から同じことを言われた。翁は高齢期に入って(現役を引退して)以来、いつの間にか“お宅族”になっていたので、コロナ・インフルエンザなどの感染症、及び熱中症の予防のため、と言うより習慣的に“ステイホーム型“になっていた。そして家の中ではエアコンなど冷・暖房機器を有効に活用している。それらの使い方にもいろいろな注意事項があるが、それはまたの機会にして――

 

「外での運動は原則、中止や延期する」――翁は原則、毎週土曜日がゴルフデーだから、そのパターンを変えることは出来ないが、翁の“暑い日のゴルフ”は(時には18ホール回らずに)途中で止める。仲間たちも翁の我儘を認めてくれている、と言うか、翁の年齢や体力に配慮して翁の自発的ギブアップを歓迎してくれている。ウイークデーでは2回ほど散歩や買い物に出かけるが、“暑い日”は(買い物は仕方ないが)散歩は目的地まで行かず

途中で引き返す。ゴルフも散歩も“途中下車”はかなりの未練が伴うが、もしものことがあれば自分だけではなく周囲に人にも迷惑をかけるので“諦めの勇気”も必要である。

 

「適当な水分・塩分の補給」――2009年”癌手術“で右腎臓を失ったので、以来、左腎臓だけになっている翁、主治医から「水分は多量に、塩分は控えめに」を言い渡されているので、普段、水をよく飲み塩分は控えめにしているが、ゴルフの時は(水筒持参なので)ホールごとに水分を補給し、塩分は(売店サービスの)“塩飴1個”をしゃぶるていどだ。レストランでの食事は、かなり塩分が強い物もあるのだが水を沢山飲むので“多分、汗で噴き出て体内影響は少ないだろう”と勝手に思い込み、あまり気にしない。

 

とにかく(前述の通り)『熱中症』は命にかかわる病態で、近年、熱中症による救急搬送人数は毎年数万人を超え、死亡者数は毎年1000人を超えているとのこと。東京都でも毎年、『熱中症』死亡者は100人を超えているが、その半数以は高齢者、しかも死者の約90%がエアコンを使っていなかったそうだ。高齢者について厚労省や関係機関は「①体内の水分が不足がち。②加齢により暑さや喉の渇きに対する感覚が鈍くなっている。③暑さに対する体の調整機能が低下しており、熱が体にたまりやすく、循環機能への負担も大きくなっているので“熱中症予防行動”を充分にとって貰いたい」と呼びかけている。気象庁によると「今年は熱帯夜が続く」そうだ。電気代を気にせず、エアコンを上手に使って猛暑期を乗り切りたい、翁はそう考えている・・・っと、そこで結ぶか『龍翁余話』。