整形対策 | 単品の進級促進運動

整形対策

授業プリントにあんまり載ってなかった疾患を調べました。
出題範囲には書いてなかったけど、コンパートメント症候群やモンテジア骨折についても勉強しておいた方がなんとなく良さげ・・・。直感的に。

【転移性骨腫瘍】(metastatic bone tumor)
●病態:体の別の部位にできた腫瘍が骨へ転移したもの。骨悪性腫瘍で最多で癌死亡者の半分は骨転移を合併している。乳腺(18%、約30%は骨形成型)、肺(20%、約15%は骨形成型)、前立腺(7%、約85%は骨形成型)、腎臓(7%)、甲状腺、胃癌(6%、約20%は骨形成型)、子宮癌(5%)、肝癌(4%)などが転移しやすい。どの部位の骨にも転移する可能性があるが、普通は肘や膝より近位に多く、脊椎転移が最も多い。他に骨盤、大腿骨、上腕骨、肋骨などにも多い。多発性骨転移が43%ある。
● 検査:放射性トレーサーを使用した骨スキャン検査、X線検査。生検の病理所見で由来組織の同定。
* X線所見
○溶骨型:浸潤性の骨破壊→骨吸収像、全体の約80%を占める
○ 骨形成型:骨硬化像、前立腺癌の転移で多い
*血液液生化学:ALP高値、高Ca血症、酸ホスファターゼ(造骨型の骨転移に特徴的)

● 症状:原発癌が見つかる前に骨転移症状から発見されることがある。X線で確認される3~8か月前に自覚症状が出現する。症状は、腫瘍によって脆くなった部位の疼痛や病的骨折。
● 治療:目的は安楽に余命を延長させること。骨転移した癌の種類によって異なり、化学療法、放射線療法、併用療法、どちらも無効の場合がある。骨の固定手術を行って骨を安定させることで、病的骨折を防げる。原発癌を切除できて骨転移も1つの骨に限局していれば、外科手術と放射線療法または化学療法との併用、あるいは外科手術と放射線療法と化学療法という3つの併用が、治癒的となることがある。
* 転移性脊椎腫瘍→脊髄圧迫症状の軽減の目的で椎弓切除術、脊椎固定術。
* 生命予後6か月以上→積極的に転移巣の切除と脊椎固定術


【骨肉腫】(osteosarcoma)
●病態:多発性骨髄腫と悪性リンパ腫を除く原発性骨腫瘍のうち、最も発症頻度が高い。いくつもの亜型を含み、その中で最も頻度が高いのが骨内通常型骨肉腫(予後不良)。長幹骨の骨幹端が好発部位で、50%が膝周辺に発生する。7~10万人に1人の発生率で二峰性の分布を持ち、75%が20歳未満の患者で起こる。2番目のピークは初老期にあり、骨パジェット病、骨髄梗塞の様な骨の症状や以前の被曝に関係する事が多い。
● 症状:自覚時点で肺に微小転移巣が存在していると考え治療方針を立てる(転移の90%は肺)。長幹骨、特に脛骨や上腕骨の近位側および大腿骨遠位側の骨幹端に好発。持続する痛みだが、激しいものではない。筋肉痛と間違う場合もある。小児の場合は「痛い」とは言わず、運動を嫌がったり、手足を持たれたり、特定の手足を動かされるのを嫌う場合もある。
● 検査
*X線検査:骨膜反応=骨表面から垂直に外側へ伸びている、濃い不規則な陰影を認める。
*病理組織:腫瘍細胞は多形性の強い核を有し、しばしば巨細胞を交え、異常有糸分裂像に富む。細胞間に、不整な好酸性に染まる骨梁即ち腫瘍骨(好塩基性顆粒状に染まる中心石灰化は、あるときもないときもある)や、類骨基質を形成する。軟骨基質が混在している場合もある。未熟な血管が存在することもあり、この場合血行性転移を起こしやすい。
●治療
*術前化学療法:アドリアマイシン、メトトレキサート、シスプラチンなどを約10週間
*治癒的広範切除術:人工関節置換術、骨移植術など併用
*術後化学療法:定期的な胸部X線撮影を行いながら約1年間継続
*基本的な療法では外科手術と化学療法を骨軟部悪性腫瘍では併用する。骨膜性骨肉腫(比較的予後の良い亜型)等の場合は主に外科手術が中心。
*抗がん剤としては、シスプラチン、ドキソルビシン、 イホスファミド、シクロホスファミド、ブレオマイシンなど。また、カフェイン併用化学療法が、厚生労働省の承認した高度先進医療として、愛大など全国数カ所の施設で行われている。
*カフェイン療法:シスプラチンとアドリアマイシンにカフェインを併用した化学療法(シスプラチン4時間投与後にカフェインを体重60kgの人の場合1.5gを24時間で3日間連続、3週1コース)で、転移がない場合の有効率は特に高い(78%が転移も再発もない)とされる。
*患肢を切断せずに腫瘍を切除することも可能となり、患者のQOLが大幅に改善された。
●予後:5年生存率60~70%、補助療法の併用で最大90%以上(転移のない場合は最大で78%の完全寛解 complete response ・CR)に改善している。

【軟骨肉腫】(chondrosarcoma)
●病態:軟骨細胞に由来し硝子様軟骨を形成する悪性骨腫瘍。原発性軟骨肉腫と続発性軟骨肉腫(軟骨腫、骨軟骨腫が悪性化)がある。骨肉腫に次いで2番目に多い骨原発肉腫で、原因は不明。骨肉腫やユーイング肉腫と比較して30歳以降の年代に発生する。軟骨を作る細胞が悪性化したものだが、悪性度の高いものから低いものまであり、低いものでは良性の軟骨腫との区別がつきにくい。進展速度は比較的遅いが、化学療法や放射線療法の治療効果がなく、結果的に予後は骨肉腫より悪い。続発性軟骨肉腫は年齢がやや若い傾向があり、予後も比較的良好。
●症状:幼少時には痛みを伴わず、比較的緩徐に大きくなるため、痛みが出るときには大きな腫瘤を自覚する。
● 検査
*X線:輪状、斑点状の石灰化像、骨皮質を内部から破壊。年齢とX線像で、骨肉腫との区別はつきやすいが、軟骨組織の診断はMRI検査が有用。
*生検:骨軟骨腫の悪性化徴候である軟骨帽の肥厚を見る。腫瘤が大きくなるのを自覚するにもかかわらず、X線写真では大きくみえない時に手術生検する。
●治療
*分化型には広範切除術(患肢温存)
*未分化型で治癒的切除が不可能な場合は切断、離断術
*きわめて未分化な場合は骨肉腫に準ずる
*手術で周囲の正常組織を含めて切除する。化学療法や放射線療法は無効。

【Ewing肉腫】
●病態:起源、本態は不明。悪性骨腫瘍の5%前後にしかみられない稀な腫瘍で、20歳までに約4分の3の症例が発症し、骨肉腫と同様に若い年代にみられる。骨肉腫と異なる特徴は、①関節部分から遠い骨の中心に病気が起こること、②骨の腫瘍にもかかわらず軟部への進展が速く、周囲の軟部腫瘤が著しいこと。
● 検査
* 病理:組織学的に小型円形細胞が密に増殖
* X線:骨の破壊と骨外への進展を示す骨膜反応
* MRI: X線写真ではっきりしない時期に、すでに軟部の腫瘤がはっきりすることがあり、痛みが続く時には有効。
* PET:骨肉腫に比較してかなり高い活動性を示す。
* 骨肉腫や骨のリンパ肉腫との区別には、ユーイング肉腫に特異的な膜蛋白(MIC2)の検出が有効。

●症状:主に疼痛。病気の進展に伴って、局所の熱感や圧痛がはっきりする。周囲の軟部への拡大が速く、神経刺激症状として現れることもある。骨盤や鎖骨、脊椎などに起こることが多いが、X線検査で見逃されやすい。発熱、白血球増多などの全身症状を合併する。
●治療
*放射線や化学療法に対する反応はよいが、再発しやすく、骨や肺への転移のために5年生存率は5~10%程度。
*原則的に広範切除による患肢温存手術
*手術で、周囲の正常組織で包むように摘出し、術後化学療法と放射線療法。
*転移病巣の予防と治療には化学療法。

【骨髄炎】
●原因:細菌感染によるものがほとんど。原因菌としてはブドウ球菌、緑膿菌、表皮ブドウ球菌、変形菌、MRSAなどがある。化膿性骨髄炎ともいわれる。急性と慢性に分かれる。骨の組織に、細菌などの微生物が感染して化膿するもので、難治性の疾患。骨折、外科手術、骨髄穿刺、銃による外傷などによって、細菌が骨髄に入って増殖して炎症を起こす場合や、血行性感染して骨髄炎となる場合がある。局所の血行障害(糖尿病、褥瘡)によって生じる皮膚の潰瘍では、バリアーである皮膚が破壊されて骨への感染が起こる場合もある。
● 検査:血液検査とX線検査が基本。
* 血液検査:白血球数の増加、赤血球沈降速度の亢進、CRPの陽性、アルカリフォスファターゼ(骨代謝マーカー)
* 急性化膿性骨髄炎の初期段階:X線像では変化が現れにくく、その場合はMRIや骨シンチグラフィによる画像検査が有効。
* 慢性化膿性骨髄炎:X線検査、MRI、骨シンチグラフィ、瘻孔造影 、骨や膿の創培養や血液培養(原因菌の同定)。
■急性化膿性骨髄炎
新生児期や学童期に多くみられるが、外傷性の場合、成人にもみられる。多くは大腿骨や脛骨に起こる。近年、MRSAなどの耐性菌が問題となっている。成長に伴い下肢の変形や短縮などがおこる場合もある。主症状は、悪寒、高熱、局所の疼痛。患部が腫れ、乳幼児では手足を動かそうとすることができなくなる。初期段階では、X線検査をしても変化が現われず、MRIや骨シンチグラフィーによる画像検査が有効とされる。一刻も早く治療開始することが重要。
■慢性化膿性骨髄炎
急性のものが慢性化するものと、最初から慢性型で発病し、骨腫瘍と疑われるようなものがある。慢性型は再発をくり返し、生涯続く場合もある。
●治療の方法
* 一般的には、安静にし、抗生物質を4~8週間、静脈注射をする。
* 抗生物質は原因菌に対する薬剤感受性検査を行い、感受性のある薬剤を使用する。
* 耐性菌(MRSA等)が出現した場合は抗生物質の系統を変更し、投与を続ける。
* 慢性化の場合、高圧酸素治療を行うこともある。
* 外科的治療は、感染部の異物や壊死した皮膚・腐骨組織を掻破、除去する。(デブリドマン)
* 開窓状態にし、患部に対し持続灌流を行うこともある。(持続灌流:生理食塩水を患部に流して洗浄するとともに、壊死に陥った組織を排出する。)
* 感染兆候が収まらない場合、再度、掻破、除去する。
* 骨欠損部が広範囲に渡る場合は、骨を腸骨等から移植したり、変形や短縮が起こった場合にはイリザロフ創外固定術等により骨延長を行う。

【肩関節周囲炎】(肩峰下インビジメント症候群)
● 病態:一般には、四十肩、五十肩と呼ばれている。肩関節の周りにある組織の変化や、炎症などによって、肩に痛みが生じる。肩関節周囲炎は年齢とともに、腱板の炎症や部分的な断裂、また、腱板の上にある肩峰下滑液包の炎症や癒着がおこりやすくなり、肩の痛みや動きの制限をもたらす。上腕二頭筋腱に炎症がおこり、これによって、肩の痛みや動きの制限が現われることもある。
● 症状:肩を動かすと痛みがおこる。腱をあげたり、背中にまわしたりするときにも痛む。初期は痛みが強く、夜間、とくに明け方にに肩の動きが不自由になる。ただし、腱板に石灰が沈着する石灰沈着性腱板炎の場合には、ある日、急に肩に激痛がおこり、まったく腱を動かせなくなる。(この場合は、X線写真で石灰の沈着がはっきりわかり、診断できる。)転んで肩を打った後や重いものを持ち上げたときに、急に肩が痛み、腕をあげることができなくなった場合には、腱板断裂の可能性がある。 
● 治療:保存的治療が原則。
*初期の痛みが強い時期:消炎鎖痛剤、関節内にステロイド剤やヒアルロン酸ナトリウムの注射→痛みは軽くなるが肩の動きが悪くなる。 
*肩の動きが悪くなる時期:ホットパックなどの温熱療法、運動療法。
*肩の動きが非常に悪く、なかなか改善しないとき→関節包に麻酔剤を注入して、少しずつ広げる、パンピング療法と呼ばれる治療が用いられる。 
*関節鏡を用いて、つっぱっている動帯を切除する手術を行うこともある。