臨検対策
先日の公衆本試はヤマが外れてしまいました。計算問題にまさか集団寄与率出るとか思わなかったです。
5連休だし軽いと聞いてやる気がでないんですが。とか言いながら今回も結構長くなってしまいました。
前半に糖尿病、後半に検査関係という構成です。
<糖尿病>
● 1型糖尿病
・ 中年以降発症もある
・ HLA関連(DR4感受性、DR9緩徐進行型感受性、DR2抵抗性)
● インスリン依存状態のCペプチド
・ 尿中Cペプチド:20μg/day以下
・ 空腹時血中Cペプチド0.5ng/ml以下
● 2型糖尿病
・ 膵島内アミロイド沈着(インスリノーマでも見られる)
・ 日本の糖尿病患者の90%以上
・ 肥満型はインスリン抵抗性が強く、痩せ型は分泌不全
・ インスリン抵抗性が強い症例で黒色表皮腫がみられることがある。
●経口血糖降下薬禁忌
・ インスリン依存状態
・ 糖尿病性昏睡(糖尿病性ケトアシドーシス:DKA、乳酸アシドーシス、非ケトン性高浸透圧性昏睡:NKHH coma、低血糖性昏睡)
・ インスリン治療の絶対的適応(重傷感染症、全身麻酔など中等度以上の侵襲をともなう手術、糖尿病合併妊娠「妊娠糖尿病:GDMを含む」)
・ 高度腎機能低下(SU薬においては作用が遷延し、BG薬においては乳酸アシドーシスを来しやすい。TZD薬では浮腫、心不全を来しやすく溢水をまねく)
・ 肝障害(SU薬においては作用が遷延し、BG薬においては乳酸アシドーシスを来しやすい。TZD薬やαGI薬は特異的な副作用の肝障害との鑑別が困難になる。)
・ 腸閉塞、腹部手術後(αGI薬では鼓腸から腸閉塞を招きやすく、腸管気腫症や胆道気腫症も起こす事がある)
● αGI薬
・ 低血糖のとき澱粉や蔗糖では血糖上昇に時間が掛かるのでブドウ糖や清涼飲料水に砂糖の代用に使われているブドウ糖果糖液糖を低血糖の処置に用いる。
・ α-GIは、インスリンを含む他の血糖降下薬と併用しやすい
●低血糖症状
*自律神経症状と中枢神経症状とに分けられ、血糖値が急激に下がる時は自律神経症状が強く、血糖値が緩やかに下がる時は中枢神経症状が強く出る。
・中枢神経症状:意識の混乱、おかしな行動、集中力の散漫、眠気、発語困難、頭痛、複視、けいれん、昏睡など。
・自律神経症状:空腹、発汗、震え、不安、動悸(どうき)、口唇乾燥など。
*自律神経症状は主にインスリン拮抗ホルモンの作用による。インスリン拮抗ホルモンとは、低血糖になると分泌が亢進するホルモンで、アドレナリン、グルカゴン、コルチゾール、成長ホルモンなどがある。
●無自覚性低血糖:本人が低血糖症状を発しない(狭義には低血糖症状を自覚できない)、他人の介助を必要とするもの。低血糖をしばしば起こしていると、中枢神経や自律神経の症状を起こす閾値(いきち)(それを超えると症状を起こす値)が低下してしまい、インスリン拮抗ホルモンの反応も低下するためといわれている。
*糖尿病神経障害が存在したうえに無自覚性低血糖が起きると、生命に危険を及ぼすこともある。
●暁現象【あかつき・げんしょう】(症状名)(英:Dawn Phenomenon)[類→ソモジー効果]: 早朝の睡眠中(あるいは起床時間前)・空腹時の時間帯に生じる特異的な血糖値の上昇のこと。名称は、この症状の発現する時間帯が「夜明け(Dawn)」頃であることに由来する。
*ヒト成長ホルモンなど、体内時計に基いて早朝時に活発に分泌される各種ホルモンの影響によるもので、健常者の場合でも同様の現象は起きているが、これに応じたインスリンが分泌されるので血糖値は通常範囲内に抑制され、問題となることは無い。これに対し、1型DMではその傾向が増幅して現れるケースが多く、就寝前に投与した速効型あるいは中間型インスリンの作用が切れてくる時間帯と重なったり、特に膵臓のβ細胞(→)が廃絶しインスリンの自己分泌が全く0になっている場合には、血糖値の上昇は顕著である。
*夜間の就寝中に微弱な低血糖を起こし、それに対する反動作用として肝臓での糖新生(→)が生じ、血糖が上昇するソモジー効果(→)があるが、この暁現象とは原因が異なるので、両者は区別して考える必要がある。
●ミトコンドリア脳筋症
・ 主な症状: 細胞にあるミトコンドリアの異常により、骨格筋、心臓の筋肉、中枢神経系などに障害を起こす病気。筋力低下、視力低下、知的退行、低身長、けいれん、心筋症、難聴などを起こすほか、糖尿病、腎不全を併発することもある。遺伝性、家族性に現れるものがあり、多くは乳児期又は20歳以下に発症する。
・ ミトコンドリア異常による糖尿病は、糖尿病患者の約1%程度。
● インスリン製剤の保存
・ 冷凍はダメ。冷凍してしまったものは使ってはいけない。
・ 開封前は冷蔵保存。開封後は室温保存。
・ 中間型や混合型は懸濁製剤なので使用前によく撹拌する必要がある。
● 糖尿病性腎症
・毛細血管基底膜が肥厚し、メサンギウム基質が増加する。第1期から糸球体メサンギウム領域に結節性病変ができ、腫大する。糸球体が腫大するため、腎不全になっても腎臓は萎縮せず、腫大する。
*蛋白制限
・ 3期:0.8~1.0g/kg/day
・ 4期;0.6~0.8g/kg/day
* 溢水傾向が強い(溢水=むくみ)
* 2次性ネフローゼ症候群の原因
* 透析療法時はHbA1cが低値
● 糖尿病網膜症
・ 硝子体出血:硝子体手術
● 二次性糖尿病:特定の疾患が原因で耐糖能が低下している。
・ 褐色細胞腫:カテコラミンによる高血糖。臨床症状の5Hに入っている。
・ バセドウ病、グルカゴノーマ
●HOMA-IR指数=空腹時血糖値xインスリン値÷405
● アンヒドログルシトール:高血糖状態の時に低値となる。腎で99%再吸収され物質。
●グリコアルブミン:過去2週間の平均血糖値を反映。
●適正エネルギー量の計算方法(目安)
① 標準体重を計算する。
・標準体重(kg) = 身長(m)×身長(m)×22
② 適正エネルギー量の計算
・ 標準体重に「体重 1kgあたりの必要なエネルギー」をかける。
・ 適正エネルギー量 = 標準体重(kg)×体重 1kgあたりの必要なエネルギー(kcal)
③体重 1kgあたりの必要なエネルギー
*軽い(主婦・事務職など部屋中心の生活)・・・25kcal
*普通(特に重労働をしていない人、セールスマン、販売員など)・・・30kcal
*重い(重労働をしている人。肉体労働者、運動選手など)・・・40kcal
*糖尿病では25~30を目安にする。
●フェニルアラニン誘導体 (グリニド系) :SU構造は持たないもののSU薬と同様膵臓のランゲルハンス島β 細胞のSU受容体(SUR1)に作用し、インスリン分泌を促進させる。食後は吸収が悪くなるので食直前に内服する。5-15分で薬効を来たし数時間で作用消失する。
●糖尿病性ケトアシドーシス:インシュリンの作用不全によって細胞内のカリウムが細胞外に出て一旦は高カリウム血症となるが、速やかに尿中 から排出されて急性期以外ではむしろ低カリウム血症となる。低カリウム血症はST部分の低下,T波の陰性化,U波の増高をもたらす。著明な低カリウム血症では,T波は次第に小さくなり,U波はますます大きくなる。ときに,平低または陽性のT波が陽性U波と合わさって,QT延長と混同されることがある
● 妊娠糖尿病
・定義:「妊娠糖尿病とは妊娠中に発生したか、または初めて認識された耐糖能低下をいう。」なお、妊娠糖尿病と診断した症例は、分娩後に改めて耐糖能の再評価を行う。
・75g糖負荷試験による妊娠糖尿病の診断基準
*静脈血漿ブドウ糖値(mg/dl)
①空腹時値≧100
②負荷後1時間値≧180
③負荷後2時間値≧150
以上のうち2つ以上を満たすもの
・ 妊娠初期はインスリン感受性が高いが、妊娠中期になるとインスリン抵抗性となり、必要インスリン量が増える。
・ 分娩後はインスリン需要激減: インスリン抵抗性の要因のhPLの急激な低下
・ ケトーシスになりやすい。
・ インスリン絶対適応。SU薬など経口薬は禁忌(胎児に移行するため)
● シックデイの自己管理について
①食事と水分摂取
・ 食事ができないからといって、むやみにインスリンを中止しない。(高熱や痛みの激しいときなどは、ストレスホルモンの上昇によってかなりの高血糖になっている。)
・ 食事は、お粥、おじや、麺類、果物など食べやすい形で糖質を取る。食欲がないときは、1回摂取量を少なくして、食事回数を増やす。最低でも、1000Kcal程度のエネルギーを糖質を中心に摂取する。
・ 水分は、1日に1000~1500ml以上取る。尿の回数が少なくなったり、色が濃くなったりした場合は脱水状態を疑う。その場合は、より多くの水分が必要。水分であれば、原則としてどのようなものでも良いが、糖質、電解質を同時に補えるスポーツドリンク、果汁、スープ等が良い。
・ 食事が食べられないときは、経口薬の内服を控える。
②検査とインスリン投与量の決定
・ 患者さんは、いつも自分自身の事について観察、記録していることが大切。
・ シックデイでは、インスリンの投与量は通常よりも多くなる。具体的には、自己血糖測定をしている方は、各食前および就寝前に測定する。その結果、血糖が150~200mg/dl、または尿糖が±であれば通常のインスリンに加えて2単位の速効型インスリンを追加注射し、血糖が200mg/dl以上、又は尿糖が+~++以上であれば、4~6単位のインスリンを追加する。
・ 具体的なことは、患者さん一人一人によって異なる。
③来院が必要な場合
・シックデイの自己管理は、不必要な外来受診や入院を避けるために必要。しかし、次にあげるような状態の時は、病院を受診する。
(1)患者および家族の不安がとても強い場合
(2)下痢や嘔吐の頻度が多く、食事が取れない場合
(3)時間とともに症状が悪化する場合
(4)血糖値が持続的に300~350mg/dlを越える場合
(5)尿ケトン体が24時間以上持続的に強陽性(++以上)の場合
(6)食事摂取が困難で、低血糖が発症する場合
●アシドーシスの補正のための重曹液(重炭酸ナトリウム)の投与は原則として行わない理由
① 重曹液投与→細胞内H+の放出→K+が細胞内にとりこまれる→低K血症
② Na負荷による脳浮腫,心負荷の増悪
● 膠原病におけるステロイド性糖尿病の早期発見に、午後の高血糖が手がかりになる
●インスリン受容体異常症
(1)A型インスリン受容体異常症:黒色表皮症、多毛、polycystic ovaryなど、高アンドロジェン血症による症状が認められることが多い。
(2)B型インスリン受容体異常症:Sjögen症候群、PSSなど自己免疫疾患を伴うことが多い。
<臨床検査>
●血圧計:歴史的に最小目盛りは2mmHgである。
● 高カイロミクロン血症
・ 急性膵炎が臨床症状。
・ apo C-Ⅱ遺伝子異常や先天性LPL欠損で発症。
・ 総コレステロール値:220mg/dl以上
● ABI基準値:0.9~1.3
●梅毒治療効果判定:梅毒脂質抗体(STS)
●通性嫌気性細菌:Staphylococcus(ブドウ球菌、グラム陽性球菌)、Corynebacterium(コリネバクテリウム属、グラム陽性桿菌)、Listeria属(リステリア属、グラム陽性桿菌)、大腸菌(エシェリキア属、グラム陰性桿菌)等がある。
● グラム陽性菌:ファーミキューテス門(en:Firmicutes)と放線菌門(アクチノバクテリア門)に分類される。
・ グラム陽性菌に属する細菌の属としてバシラス属、リステリア属(en:Listeria)、スタフィロコッカス属(en:Staphylococcus)、ストレプトコッカス属(en:Streptococcus)、エンテロコッカス属(en:Enterococcus)、クロストリジウム属などの属がよく知られている。
・ 広義にはマイコプラズマのような細胞壁を持たないためにグラム染色できないMollicutes綱の細菌もグラム陽性菌に分類される。
● グラム陰性菌
・ プロテオバクテリアはグラム陰性菌の主要なグループであり、大腸菌( Escherichia coli)、サルモネラ、腸内細菌科、シュードモナス(en:Pseudomonas)、モラクセラ、ヘリコバクター、ステノトロフォモナ、ブデロビブリオ(en:Bdellovibrio)、酢酸菌、レジオネラ、そしてWolbachia(en:Wolbachia)などのα-プロテオバクテリアが含まれる。他の代表的なグラム陰性菌のグループとしてシアノバクテリア、spirochaetes(en:spirochaete)、緑色硫黄細菌、緑色非硫黄細菌が含まれる。
・ 医学関係のグラム陰性の球菌は性行為感染症(淋菌)、髄膜炎(髄膜炎菌)、呼吸器症状(カタラリス菌(en:Moraxella catarrhalis))を引き起こす3種が含まれる。
・ 医学関係のグラム陰性の桿菌は多数存在する。主に呼吸器系の障害を引き起こす桿菌としてインフルエンザ菌、肺炎桿菌(en:Klebsiella pneumoniae)、レジオネラ・ニューモフィラ(en:Legionella pneumophila)、緑膿菌などがあり、泌尿器系に障害を引き起こす桿菌として大腸菌、ミラビリス変形菌(en:Proteus mirabilis)、Enterobacter cloacae、セラチア・マルセッセンス(en:Serratia marcescens)などがあり、消化器系に障害を引き起こすヘリコバクター・ピロリ、ゲルトネル菌(en:Salmonella enteritidis)、チフス菌(en:Salmonella typhi)などがある。
●von Willebrand病:第VIII因子を産生することはできるがvWFがないために第VIII因子は安定して血中に存在できない。von Willebrand病でAPTTが延長するのは、血中第VIII因子活性が低下しているため。
●DICでは、フィブリノゲンが低下するため、赤沈が遅延する
● 血ガス基準値
・ 動脈血酸素分圧(PaO2): 80~100 Torr
・ 動脈血二酸化炭素分圧(PaCO2): 35~45 Torr
・ pH: 7.36~7.44
・ 重炭酸イオン(HCO3-): 22~26 mEq/L
・ 塩基余剰(BE): -2~+2 mEq/L
・ SaO2:93~98%
●アニオンギャップ
・ 代謝性アシドーシスの指標
・ 基準値は約10~14[mEq/L]であり、20以上で代謝性アシドーシスと評価される。
・ ただし尿細管性アシドーシスや下痢では代謝性アシドーシスであるにもかかわらず、アニオンギャップは正常となる。これは HCOが減った分だけ、代償的にClが増加したからである。(Cl基準値96~107 mEq/L)
● ALTとAST
・ 血中半減期はASTでは11~15時間、ALTでは40~50時間といわれ、肝臓の細胞が急激に崩壊する急性肝炎では肝含有量を反映してAST優位、慢性肝炎、肥満による脂肪肝では半減期の長いALT優位、肝硬変、肝癌では正常肝細胞の減少によりAST優位となる傾向がみられる。
・ アルコール性肝障害ではAST優位が特徴。エタノールによってALT合成が阻害され、かつ障害がミトコンドリアに及んでAST-m が逸脱するためといわれている。
・ AST/ALT比は慢性肝炎と肝硬変の鑑別、アルコール性肝炎の診断など肝障害を評価する際に有用であるため、両者を同時に測定する。
●肥満と高尿酸血症には相関があり、肥満 度が高くなると、血清尿酸値が上がり、高尿酸血症が増えることが知られている。
●変形性膝関節症の多くは、筋肉の衰えや肥満、無理な動作など多くの要因が絡み合って膝への負担となり、膝の関節軟骨がすり減って発症する。
● Pickwick 症候群: 高度肥満による肺胞低換気症候群のこと。
●変動係数(Coefficient of variation, Relative standard deviation)
・ 標準偏差を平均で割って求める。
・ 変動係数は相対標準偏差ともいう。
★ 参考
・ 「もやしもん@wiki」http://www39.atwiki.jp/moyashimon/pages/1.html
もやしもん公式ではないようですが、登場菌が丁寧に解説してありました。医学関連菌がほとんど居ないのが残念。でも常在菌程度なら十分検索に役立ちます。
5連休だし軽いと聞いてやる気がでないんですが。とか言いながら今回も結構長くなってしまいました。
前半に糖尿病、後半に検査関係という構成です。
<糖尿病>
● 1型糖尿病
・ 中年以降発症もある
・ HLA関連(DR4感受性、DR9緩徐進行型感受性、DR2抵抗性)
● インスリン依存状態のCペプチド
・ 尿中Cペプチド:20μg/day以下
・ 空腹時血中Cペプチド0.5ng/ml以下
● 2型糖尿病
・ 膵島内アミロイド沈着(インスリノーマでも見られる)
・ 日本の糖尿病患者の90%以上
・ 肥満型はインスリン抵抗性が強く、痩せ型は分泌不全
・ インスリン抵抗性が強い症例で黒色表皮腫がみられることがある。
●経口血糖降下薬禁忌
・ インスリン依存状態
・ 糖尿病性昏睡(糖尿病性ケトアシドーシス:DKA、乳酸アシドーシス、非ケトン性高浸透圧性昏睡:NKHH coma、低血糖性昏睡)
・ インスリン治療の絶対的適応(重傷感染症、全身麻酔など中等度以上の侵襲をともなう手術、糖尿病合併妊娠「妊娠糖尿病:GDMを含む」)
・ 高度腎機能低下(SU薬においては作用が遷延し、BG薬においては乳酸アシドーシスを来しやすい。TZD薬では浮腫、心不全を来しやすく溢水をまねく)
・ 肝障害(SU薬においては作用が遷延し、BG薬においては乳酸アシドーシスを来しやすい。TZD薬やαGI薬は特異的な副作用の肝障害との鑑別が困難になる。)
・ 腸閉塞、腹部手術後(αGI薬では鼓腸から腸閉塞を招きやすく、腸管気腫症や胆道気腫症も起こす事がある)
● αGI薬
・ 低血糖のとき澱粉や蔗糖では血糖上昇に時間が掛かるのでブドウ糖や清涼飲料水に砂糖の代用に使われているブドウ糖果糖液糖を低血糖の処置に用いる。
・ α-GIは、インスリンを含む他の血糖降下薬と併用しやすい
●低血糖症状
*自律神経症状と中枢神経症状とに分けられ、血糖値が急激に下がる時は自律神経症状が強く、血糖値が緩やかに下がる時は中枢神経症状が強く出る。
・中枢神経症状:意識の混乱、おかしな行動、集中力の散漫、眠気、発語困難、頭痛、複視、けいれん、昏睡など。
・自律神経症状:空腹、発汗、震え、不安、動悸(どうき)、口唇乾燥など。
*自律神経症状は主にインスリン拮抗ホルモンの作用による。インスリン拮抗ホルモンとは、低血糖になると分泌が亢進するホルモンで、アドレナリン、グルカゴン、コルチゾール、成長ホルモンなどがある。
●無自覚性低血糖:本人が低血糖症状を発しない(狭義には低血糖症状を自覚できない)、他人の介助を必要とするもの。低血糖をしばしば起こしていると、中枢神経や自律神経の症状を起こす閾値(いきち)(それを超えると症状を起こす値)が低下してしまい、インスリン拮抗ホルモンの反応も低下するためといわれている。
*糖尿病神経障害が存在したうえに無自覚性低血糖が起きると、生命に危険を及ぼすこともある。
●暁現象【あかつき・げんしょう】(症状名)(英:Dawn Phenomenon)[類→ソモジー効果]: 早朝の睡眠中(あるいは起床時間前)・空腹時の時間帯に生じる特異的な血糖値の上昇のこと。名称は、この症状の発現する時間帯が「夜明け(Dawn)」頃であることに由来する。
*ヒト成長ホルモンなど、体内時計に基いて早朝時に活発に分泌される各種ホルモンの影響によるもので、健常者の場合でも同様の現象は起きているが、これに応じたインスリンが分泌されるので血糖値は通常範囲内に抑制され、問題となることは無い。これに対し、1型DMではその傾向が増幅して現れるケースが多く、就寝前に投与した速効型あるいは中間型インスリンの作用が切れてくる時間帯と重なったり、特に膵臓のβ細胞(→)が廃絶しインスリンの自己分泌が全く0になっている場合には、血糖値の上昇は顕著である。
*夜間の就寝中に微弱な低血糖を起こし、それに対する反動作用として肝臓での糖新生(→)が生じ、血糖が上昇するソモジー効果(→)があるが、この暁現象とは原因が異なるので、両者は区別して考える必要がある。
●ミトコンドリア脳筋症
・ 主な症状: 細胞にあるミトコンドリアの異常により、骨格筋、心臓の筋肉、中枢神経系などに障害を起こす病気。筋力低下、視力低下、知的退行、低身長、けいれん、心筋症、難聴などを起こすほか、糖尿病、腎不全を併発することもある。遺伝性、家族性に現れるものがあり、多くは乳児期又は20歳以下に発症する。
・ ミトコンドリア異常による糖尿病は、糖尿病患者の約1%程度。
● インスリン製剤の保存
・ 冷凍はダメ。冷凍してしまったものは使ってはいけない。
・ 開封前は冷蔵保存。開封後は室温保存。
・ 中間型や混合型は懸濁製剤なので使用前によく撹拌する必要がある。
● 糖尿病性腎症
・毛細血管基底膜が肥厚し、メサンギウム基質が増加する。第1期から糸球体メサンギウム領域に結節性病変ができ、腫大する。糸球体が腫大するため、腎不全になっても腎臓は萎縮せず、腫大する。
*蛋白制限
・ 3期:0.8~1.0g/kg/day
・ 4期;0.6~0.8g/kg/day
* 溢水傾向が強い(溢水=むくみ)
* 2次性ネフローゼ症候群の原因
* 透析療法時はHbA1cが低値
● 糖尿病網膜症
・ 硝子体出血:硝子体手術
● 二次性糖尿病:特定の疾患が原因で耐糖能が低下している。
・ 褐色細胞腫:カテコラミンによる高血糖。臨床症状の5Hに入っている。
・ バセドウ病、グルカゴノーマ
●HOMA-IR指数=空腹時血糖値xインスリン値÷405
● アンヒドログルシトール:高血糖状態の時に低値となる。腎で99%再吸収され物質。
●グリコアルブミン:過去2週間の平均血糖値を反映。
●適正エネルギー量の計算方法(目安)
① 標準体重を計算する。
・標準体重(kg) = 身長(m)×身長(m)×22
② 適正エネルギー量の計算
・ 標準体重に「体重 1kgあたりの必要なエネルギー」をかける。
・ 適正エネルギー量 = 標準体重(kg)×体重 1kgあたりの必要なエネルギー(kcal)
③体重 1kgあたりの必要なエネルギー
*軽い(主婦・事務職など部屋中心の生活)・・・25kcal
*普通(特に重労働をしていない人、セールスマン、販売員など)・・・30kcal
*重い(重労働をしている人。肉体労働者、運動選手など)・・・40kcal
*糖尿病では25~30を目安にする。
●フェニルアラニン誘導体 (グリニド系) :SU構造は持たないもののSU薬と同様膵臓のランゲルハンス島β 細胞のSU受容体(SUR1)に作用し、インスリン分泌を促進させる。食後は吸収が悪くなるので食直前に内服する。5-15分で薬効を来たし数時間で作用消失する。
●糖尿病性ケトアシドーシス:インシュリンの作用不全によって細胞内のカリウムが細胞外に出て一旦は高カリウム血症となるが、速やかに尿中 から排出されて急性期以外ではむしろ低カリウム血症となる。低カリウム血症はST部分の低下,T波の陰性化,U波の増高をもたらす。著明な低カリウム血症では,T波は次第に小さくなり,U波はますます大きくなる。ときに,平低または陽性のT波が陽性U波と合わさって,QT延長と混同されることがある
● 妊娠糖尿病
・定義:「妊娠糖尿病とは妊娠中に発生したか、または初めて認識された耐糖能低下をいう。」なお、妊娠糖尿病と診断した症例は、分娩後に改めて耐糖能の再評価を行う。
・75g糖負荷試験による妊娠糖尿病の診断基準
*静脈血漿ブドウ糖値(mg/dl)
①空腹時値≧100
②負荷後1時間値≧180
③負荷後2時間値≧150
以上のうち2つ以上を満たすもの
・ 妊娠初期はインスリン感受性が高いが、妊娠中期になるとインスリン抵抗性となり、必要インスリン量が増える。
・ 分娩後はインスリン需要激減: インスリン抵抗性の要因のhPLの急激な低下
・ ケトーシスになりやすい。
・ インスリン絶対適応。SU薬など経口薬は禁忌(胎児に移行するため)
● シックデイの自己管理について
①食事と水分摂取
・ 食事ができないからといって、むやみにインスリンを中止しない。(高熱や痛みの激しいときなどは、ストレスホルモンの上昇によってかなりの高血糖になっている。)
・ 食事は、お粥、おじや、麺類、果物など食べやすい形で糖質を取る。食欲がないときは、1回摂取量を少なくして、食事回数を増やす。最低でも、1000Kcal程度のエネルギーを糖質を中心に摂取する。
・ 水分は、1日に1000~1500ml以上取る。尿の回数が少なくなったり、色が濃くなったりした場合は脱水状態を疑う。その場合は、より多くの水分が必要。水分であれば、原則としてどのようなものでも良いが、糖質、電解質を同時に補えるスポーツドリンク、果汁、スープ等が良い。
・ 食事が食べられないときは、経口薬の内服を控える。
②検査とインスリン投与量の決定
・ 患者さんは、いつも自分自身の事について観察、記録していることが大切。
・ シックデイでは、インスリンの投与量は通常よりも多くなる。具体的には、自己血糖測定をしている方は、各食前および就寝前に測定する。その結果、血糖が150~200mg/dl、または尿糖が±であれば通常のインスリンに加えて2単位の速効型インスリンを追加注射し、血糖が200mg/dl以上、又は尿糖が+~++以上であれば、4~6単位のインスリンを追加する。
・ 具体的なことは、患者さん一人一人によって異なる。
③来院が必要な場合
・シックデイの自己管理は、不必要な外来受診や入院を避けるために必要。しかし、次にあげるような状態の時は、病院を受診する。
(1)患者および家族の不安がとても強い場合
(2)下痢や嘔吐の頻度が多く、食事が取れない場合
(3)時間とともに症状が悪化する場合
(4)血糖値が持続的に300~350mg/dlを越える場合
(5)尿ケトン体が24時間以上持続的に強陽性(++以上)の場合
(6)食事摂取が困難で、低血糖が発症する場合
●アシドーシスの補正のための重曹液(重炭酸ナトリウム)の投与は原則として行わない理由
① 重曹液投与→細胞内H+の放出→K+が細胞内にとりこまれる→低K血症
② Na負荷による脳浮腫,心負荷の増悪
● 膠原病におけるステロイド性糖尿病の早期発見に、午後の高血糖が手がかりになる
●インスリン受容体異常症
(1)A型インスリン受容体異常症:黒色表皮症、多毛、polycystic ovaryなど、高アンドロジェン血症による症状が認められることが多い。
(2)B型インスリン受容体異常症:Sjögen症候群、PSSなど自己免疫疾患を伴うことが多い。
<臨床検査>
●血圧計:歴史的に最小目盛りは2mmHgである。
● 高カイロミクロン血症
・ 急性膵炎が臨床症状。
・ apo C-Ⅱ遺伝子異常や先天性LPL欠損で発症。
・ 総コレステロール値:220mg/dl以上
● ABI基準値:0.9~1.3
●梅毒治療効果判定:梅毒脂質抗体(STS)
●通性嫌気性細菌:Staphylococcus(ブドウ球菌、グラム陽性球菌)、Corynebacterium(コリネバクテリウム属、グラム陽性桿菌)、Listeria属(リステリア属、グラム陽性桿菌)、大腸菌(エシェリキア属、グラム陰性桿菌)等がある。
● グラム陽性菌:ファーミキューテス門(en:Firmicutes)と放線菌門(アクチノバクテリア門)に分類される。
・ グラム陽性菌に属する細菌の属としてバシラス属、リステリア属(en:Listeria)、スタフィロコッカス属(en:Staphylococcus)、ストレプトコッカス属(en:Streptococcus)、エンテロコッカス属(en:Enterococcus)、クロストリジウム属などの属がよく知られている。
・ 広義にはマイコプラズマのような細胞壁を持たないためにグラム染色できないMollicutes綱の細菌もグラム陽性菌に分類される。
● グラム陰性菌
・ プロテオバクテリアはグラム陰性菌の主要なグループであり、大腸菌( Escherichia coli)、サルモネラ、腸内細菌科、シュードモナス(en:Pseudomonas)、モラクセラ、ヘリコバクター、ステノトロフォモナ、ブデロビブリオ(en:Bdellovibrio)、酢酸菌、レジオネラ、そしてWolbachia(en:Wolbachia)などのα-プロテオバクテリアが含まれる。他の代表的なグラム陰性菌のグループとしてシアノバクテリア、spirochaetes(en:spirochaete)、緑色硫黄細菌、緑色非硫黄細菌が含まれる。
・ 医学関係のグラム陰性の球菌は性行為感染症(淋菌)、髄膜炎(髄膜炎菌)、呼吸器症状(カタラリス菌(en:Moraxella catarrhalis))を引き起こす3種が含まれる。
・ 医学関係のグラム陰性の桿菌は多数存在する。主に呼吸器系の障害を引き起こす桿菌としてインフルエンザ菌、肺炎桿菌(en:Klebsiella pneumoniae)、レジオネラ・ニューモフィラ(en:Legionella pneumophila)、緑膿菌などがあり、泌尿器系に障害を引き起こす桿菌として大腸菌、ミラビリス変形菌(en:Proteus mirabilis)、Enterobacter cloacae、セラチア・マルセッセンス(en:Serratia marcescens)などがあり、消化器系に障害を引き起こすヘリコバクター・ピロリ、ゲルトネル菌(en:Salmonella enteritidis)、チフス菌(en:Salmonella typhi)などがある。
●von Willebrand病:第VIII因子を産生することはできるがvWFがないために第VIII因子は安定して血中に存在できない。von Willebrand病でAPTTが延長するのは、血中第VIII因子活性が低下しているため。
●DICでは、フィブリノゲンが低下するため、赤沈が遅延する
● 血ガス基準値
・ 動脈血酸素分圧(PaO2): 80~100 Torr
・ 動脈血二酸化炭素分圧(PaCO2): 35~45 Torr
・ pH: 7.36~7.44
・ 重炭酸イオン(HCO3-): 22~26 mEq/L
・ 塩基余剰(BE): -2~+2 mEq/L
・ SaO2:93~98%
●アニオンギャップ
・ 代謝性アシドーシスの指標
・ 基準値は約10~14[mEq/L]であり、20以上で代謝性アシドーシスと評価される。
・ ただし尿細管性アシドーシスや下痢では代謝性アシドーシスであるにもかかわらず、アニオンギャップは正常となる。これは HCOが減った分だけ、代償的にClが増加したからである。(Cl基準値96~107 mEq/L)
● ALTとAST
・ 血中半減期はASTでは11~15時間、ALTでは40~50時間といわれ、肝臓の細胞が急激に崩壊する急性肝炎では肝含有量を反映してAST優位、慢性肝炎、肥満による脂肪肝では半減期の長いALT優位、肝硬変、肝癌では正常肝細胞の減少によりAST優位となる傾向がみられる。
・ アルコール性肝障害ではAST優位が特徴。エタノールによってALT合成が阻害され、かつ障害がミトコンドリアに及んでAST-m が逸脱するためといわれている。
・ AST/ALT比は慢性肝炎と肝硬変の鑑別、アルコール性肝炎の診断など肝障害を評価する際に有用であるため、両者を同時に測定する。
●肥満と高尿酸血症には相関があり、肥満 度が高くなると、血清尿酸値が上がり、高尿酸血症が増えることが知られている。
●変形性膝関節症の多くは、筋肉の衰えや肥満、無理な動作など多くの要因が絡み合って膝への負担となり、膝の関節軟骨がすり減って発症する。
● Pickwick 症候群: 高度肥満による肺胞低換気症候群のこと。
●変動係数(Coefficient of variation, Relative standard deviation)
・ 標準偏差を平均で割って求める。
・ 変動係数は相対標準偏差ともいう。
★ 参考
・ 「もやしもん@wiki」http://www39.atwiki.jp/moyashimon/pages/1.html
もやしもん公式ではないようですが、登場菌が丁寧に解説してありました。医学関連菌がほとんど居ないのが残念。でも常在菌程度なら十分検索に役立ちます。