可愛いトミノは宝玉(たま)を吐く。
ひとり地獄に落ちゆくトミノ、
地獄くらやみ花も無き。
鞭(むち)で叩くはトミノの姉か、
鞭の朱総(しゅぶさ)が気にかかる。
叩けや叩きやれ叩かずとても、
無間(むげん)地獄はひとつみち。
暗い地獄へ案内(あない)をたのむ、
金の羊に、鶯に。
皮の嚢(ふくろ)にやいくらほど入れよ、
無間地獄の旅支度。
春が来て候(そろ)林に谿(たに)に、
暗い地獄谷七曲り。
籠にや鶯、車にや羊、
可愛いトミノの眼にや涙。
啼けよ、鶯、林の雨に
妹恋しと声かぎり。
啼けば反響(こだま)が地獄にひびき、
狐牡丹の花がさく。
地獄七山七谿めぐる、
可愛いトミノのひとり旅。
地獄ござらばもて来てたもれ、
針の御山(おやま)の留針(とめばり)を。
赤い留針だてにはささぬ、
可愛いトミノのめじるしに。
西條八十の詩集にある「トミノの地獄」。 この歌を朗読すると死んでしまうという噂があったようです。
トミノの地獄の歌詞は、「姉は血を吐く 妹は火吐く 可愛いトミノは宝玉(たま)を吐く・・・」から始まります。歌詞をざっと見ると「地獄」という言葉も何回も登場し、少し暗い印象を受けた歌です。
この歌の解釈も様々あり、戦争に関係したもの、許されぬ兄妹愛などありますが、 よく目にする解釈は戦争に関係した内容です。 「叩けや、叩けや」とは頑張れと出兵を喜ぶという意味。「針の御山の留め針」は、戦争の勝利を祈願するお守りのことなどとも言われています。
全体的な意味合いとしては、戦争に行きたくないけど、姉が頑張れと背中を押す。戦争へ行く以外道はない。勝利を祈願したお守りを手に、戦争が終わったら無事に帰ってくると誓う。という意味になるのでしょうか。(かなり簡潔に訳しましたが。)許されぬ兄妹愛については、説はあるようですが、その詳細がわかりませんでした。
歌を聞いたり歌ったりすることで死んでしまうという噂は他にもあり、過去実際に死んでしまった人・不幸になった人もいるようです。
暗示に影響を受けやすい人はこの手の話は避けた方がよいと思います。「病は気から」というように、暗示だけで人体への影響もあるとされています。「トミノの地獄」を聞いて日頃から「これから不幸になる」と考えていればことが悪い方向へ動いてしまうかもしれません。暗示といえば掌に人と書いて飲む、という行動。緊張した時などに行うと緊張が解けるなどとも言いますが、これも暗示です。おまじないの類は自己暗示をかけることで自分を活気づけるという作用を狙ったものですね。

恋愛ノベルゲーム登場!