お釈迦さまと悪口
アッコーサカ・バーラドヴァージャというバラモンはお釈迦さまに対し
ありったけの罵詈雑言をあびせかけたのでした
それに対してお釈迦さまは静かに語りかけました
「バラモンよ、君のところに友人や親戚のものが、客として
やってくることがあるだろうか」
「ああ、もちろんあるとも」
「バラモンよ、君はそのときおいしい食べものなどで彼らをもてなすだろうか」
「そのとおりだ 時にはもてなすさ」
「バラモンよ、そのとき、彼らが食事を受けなければ、それは誰のものと
なるのだろうか」
「客人たちが食事を受けなければ、それは俺さまのものになるに決まっている」
お釈迦さまは、怒ったバラモンのこのような言葉を聞いたのちに、次のように
答えました
「バラモンよ、このように君は私に罵詈雑言をあびせかけ非難しているが
私は君の罵詈雑言を受けとらない だから、バラモンよ、悪口は君にもどり
悪口は君のものだ」
「!」
さらにお釈迦さまは次のような詩句を説かれました
怒りなく 身体を制御し 正しく生活し 智慧をもって解脱し 寂静となっているものに
どうして怒りがおこってくるだろうか 怒りに対して怒りかえすことは さらに良くないことだ
怒りに対して怒りかえさないならば 二つの勝利がある
他人の怒っているのを知って自分を静めるものは 自分と他人の双方に利益(りやく)を
与える
これを聞いて、さすがのアッコーサカも心を打たれ、出家してお釈迦さまの弟子になった
ということです