ハイサイ、RIN(凛)です
飛鳥といっても、ASUKAじゃないですよ。
聖徳太子が活躍した1400年前の飛鳥時代のことです。
推古天皇と聖徳太子が607年に完成させた奈良・法隆寺には、
国宝「玉虫厨子(ずし)」があり、
私が中学生時代の遠足、ということは、
もうかれこれ45年くらいの、はるか昔のことですが、
この時「玉虫厨子(ずし)」を拝観しました。
約4800匹の玉虫の羽が使われているといいますが、
千年の時を経て、色あせて、
すでに玉虫は鮮やかな輝きがなかったように記憶しています。
タマムシは、漢字では「玉虫」あるいは「吉丁虫」と書き、
昆虫の中で最も美しい虫で、死んでもきれいな輝きを保つので、
古来、縁起の良い虫といわれてきました。
タマムシを持っていると「女性は恋が叶う」とか
タンスに入れておくと「着物が増える」「着物に虫がつかない」「幸せになる」、
財布に入れれば「お金がたまる」など、特に女性に好まれてきました。
玉虫の「玉」は「ぎょく」と読むと、中国では、美しい石の総称で、
特に翡翠(ヒスイ)を意味しています。
また、古代の首飾りの「C」の字型の勾玉(まがたま)でも
「玉」という字が使われていますから、
タマムは「宝石のような虫」という意味なのかもしれませんね。
「むかし、むかし…」
というと、市原悦子さんと故・常田富士男さんの独特の語りの
「まんが日本昔ばなし」
を想い出しますが、
テレビや漫画本がない昔の子どもたちが、楽しみに読んでいた絵本は、
室町時代から江戸時代にかけて、各地の民話や伝承などを基に成立した、
絵入りの短編物語の総称「御伽草子(おとぎぞうし)」で、
多くは,絵巻や奈良絵本を添えた綴(と)じ本です。
奈良絵本というのは、色鮮やかな泥絵具を用い、
貝殻から作られる顔料・胡粉(ごふん)を散らして描いた絵入りの写本をいいます。
草子(ぞうし)の中の物語の内容は多岐にわたり、
有名な「浦島太郎」や「一寸法師」「酒呑童子」など、
「まんが日本昔ばなし」でも取り上げた作品が多く、
困難を乗り越えて幸せな結婚に至るラブストーリーや、
ヒーローが活躍するアクションもの、
貧しい身の上から一転、裕福になる立身出世物語、
猿や雀が世の無常を悟って出家する話、
身の回りの古道具が化けてしまう話など様々な作品があります。
そうした動物や虫、器物たちの描写には、
様々なものに魂が宿ると考えた当時の人々のまなざしが感じられます。
また、鬼・妖怪のほか、竜宮などの異界を表した挿絵の中には、
奇想天外とも言える表現が見られ、
実際には目にすることのできないものを、
目に見える形で表そうとする旺盛な想像力は現代にも通じるくらいですかあら、
当時の子どもたちにとっては、とても興味深い本だったに違いありません。
この「御伽草子(おとぎぞうし)」の中に、
玉虫の姫君に蝉(セミ)やきりぎりすが思いを寄せる
「玉虫の草子」
という物語があります。
この中で興味深かったのは、いぼむし(カマキリ)のへぼ入道が年甲斐もなく、
誰もが憧れる若くて美しい玉虫姫に恋文を送るくだりです。
「入道になびきなされ。
1つには御利益、2つには人の思いがかかれば後の世の障(さわ)りになりますぞ」
手紙の終わりには、
「なびかなければ、たくさんの虫を頼んで押し寄せて奪い取りますぞ。
その時に怨みなさるなよ」
という脅しが入っています。へぼ入道は最低な男ですね。
へぼ入道は玉虫姫に恋の歌を詠みます。
「いぼむしの 言ふこと聞かぬ玉虫は いかなる鳥の 餌(え)ともなれかし」
つまり、
「もしオレ様の言うことを玉虫が聞かないなら、鳥の餌にでもなってしまえ!」
と。
玉虫姫は、腹立たしくて、こんなヤツに返事を出したくありません。
そこで玉虫姫の乳母(めのと)が姫に教訓をします。
「なびく、なびかないはともかくも、返歌ばかりはなされませ」
そこで玉虫姫は、しぶしぶお断りの歌を返すのでした。
特に面白くはなく、他愛ない話ですが、
富裕層の姫にはお付きの乳母がいて、ただヘイコラして子育てをするのではなく、
教育係も兼務しているところが興味深く思えました。
この物語は、以下のように玉虫姫に想いを寄せる虫たちの恋の歌が出てきます。
・玉虫を一目見しより こうろぎの 鳴き明かしたる 秋の夜すがら
・玉虫を 恋し恋しと 想うまに 身はうつせみと なるぞ悲しき
・きりぎりす 鳴けどもなおも つれなくて 消えもやせまし 露の玉虫
・恋しやと 想いあかせば ほたる火に 光を添えよ 夜半の玉虫
なかなか風流で粋(いき)ですよね。
昔から鮮やかな色彩の玉虫は、人々の関心が高かったことが伺い知れます。
今日撮影したタマムシは、「アオムネスジタマムシ(青胸筋玉虫)」です。
奄美以南からフィリピンにかけて棲息していて、
図鑑では主に海浜植物のモモタマナを食べるそうですが、
カニのトンネルのところにあった、大きな落葉樹がモモタマナだけど、
バナナ園にもあったかな…。
タマムシの幼虫は、一般に
立ち枯れた木や枯れ木の中で腐った木材を食べるという
スローライフでロハスな生活で約3年を過ごし、
成虫になって樹木の葉を食べて、約1ヶ月で死んでしまうという、
セミやカブトムシのように幼虫期間が長い昆虫です。
タマムシは昼行性で、夏の暑い時期の昼間によく見かけますね。
陽の当たる高い場所で活動していますが、
我が家近郊では何種類も見かけます。
タマムシはカブトムシの親戚ですが、
音楽やデータ保存用のCD(Compact Disc)裏面のように
透明な層が何層にも覆われて、宝石のようにまばゆく鮮やかな色彩を放ち、
人間は発見されやすいのですが、
玉虫の天敵の鳥類からすると、派手な色彩は「苦手」のようで、
そういう玉虫の保身の目的と、遠くの仲間を見つけて交尾するために
派手派手な色をしているらしいです。

飛鳥といっても、ASUKAじゃないですよ。
聖徳太子が活躍した1400年前の飛鳥時代のことです。
推古天皇と聖徳太子が607年に完成させた奈良・法隆寺には、
国宝「玉虫厨子(ずし)」があり、
私が中学生時代の遠足、ということは、
もうかれこれ45年くらいの、はるか昔のことですが、
この時「玉虫厨子(ずし)」を拝観しました。
約4800匹の玉虫の羽が使われているといいますが、
千年の時を経て、色あせて、
すでに玉虫は鮮やかな輝きがなかったように記憶しています。
タマムシは、漢字では「玉虫」あるいは「吉丁虫」と書き、
昆虫の中で最も美しい虫で、死んでもきれいな輝きを保つので、
古来、縁起の良い虫といわれてきました。
タマムシを持っていると「女性は恋が叶う」とか
タンスに入れておくと「着物が増える」「着物に虫がつかない」「幸せになる」、
財布に入れれば「お金がたまる」など、特に女性に好まれてきました。
玉虫の「玉」は「ぎょく」と読むと、中国では、美しい石の総称で、
特に翡翠(ヒスイ)を意味しています。
また、古代の首飾りの「C」の字型の勾玉(まがたま)でも
「玉」という字が使われていますから、
タマムは「宝石のような虫」という意味なのかもしれませんね。
「むかし、むかし…」
というと、市原悦子さんと故・常田富士男さんの独特の語りの
「まんが日本昔ばなし」
を想い出しますが、
テレビや漫画本がない昔の子どもたちが、楽しみに読んでいた絵本は、
室町時代から江戸時代にかけて、各地の民話や伝承などを基に成立した、
絵入りの短編物語の総称「御伽草子(おとぎぞうし)」で、
多くは,絵巻や奈良絵本を添えた綴(と)じ本です。
奈良絵本というのは、色鮮やかな泥絵具を用い、
貝殻から作られる顔料・胡粉(ごふん)を散らして描いた絵入りの写本をいいます。
草子(ぞうし)の中の物語の内容は多岐にわたり、
有名な「浦島太郎」や「一寸法師」「酒呑童子」など、
「まんが日本昔ばなし」でも取り上げた作品が多く、
困難を乗り越えて幸せな結婚に至るラブストーリーや、
ヒーローが活躍するアクションもの、
貧しい身の上から一転、裕福になる立身出世物語、
猿や雀が世の無常を悟って出家する話、
身の回りの古道具が化けてしまう話など様々な作品があります。
そうした動物や虫、器物たちの描写には、
様々なものに魂が宿ると考えた当時の人々のまなざしが感じられます。
また、鬼・妖怪のほか、竜宮などの異界を表した挿絵の中には、
奇想天外とも言える表現が見られ、
実際には目にすることのできないものを、
目に見える形で表そうとする旺盛な想像力は現代にも通じるくらいですかあら、
当時の子どもたちにとっては、とても興味深い本だったに違いありません。
この「御伽草子(おとぎぞうし)」の中に、
玉虫の姫君に蝉(セミ)やきりぎりすが思いを寄せる
「玉虫の草子」
という物語があります。
この中で興味深かったのは、いぼむし(カマキリ)のへぼ入道が年甲斐もなく、
誰もが憧れる若くて美しい玉虫姫に恋文を送るくだりです。
「入道になびきなされ。
1つには御利益、2つには人の思いがかかれば後の世の障(さわ)りになりますぞ」
手紙の終わりには、
「なびかなければ、たくさんの虫を頼んで押し寄せて奪い取りますぞ。
その時に怨みなさるなよ」
という脅しが入っています。へぼ入道は最低な男ですね。
へぼ入道は玉虫姫に恋の歌を詠みます。
「いぼむしの 言ふこと聞かぬ玉虫は いかなる鳥の 餌(え)ともなれかし」
つまり、
「もしオレ様の言うことを玉虫が聞かないなら、鳥の餌にでもなってしまえ!」
と。
玉虫姫は、腹立たしくて、こんなヤツに返事を出したくありません。
そこで玉虫姫の乳母(めのと)が姫に教訓をします。
「なびく、なびかないはともかくも、返歌ばかりはなされませ」
そこで玉虫姫は、しぶしぶお断りの歌を返すのでした。
特に面白くはなく、他愛ない話ですが、
富裕層の姫にはお付きの乳母がいて、ただヘイコラして子育てをするのではなく、
教育係も兼務しているところが興味深く思えました。
この物語は、以下のように玉虫姫に想いを寄せる虫たちの恋の歌が出てきます。
・玉虫を一目見しより こうろぎの 鳴き明かしたる 秋の夜すがら
・玉虫を 恋し恋しと 想うまに 身はうつせみと なるぞ悲しき
・きりぎりす 鳴けどもなおも つれなくて 消えもやせまし 露の玉虫
・恋しやと 想いあかせば ほたる火に 光を添えよ 夜半の玉虫
なかなか風流で粋(いき)ですよね。
昔から鮮やかな色彩の玉虫は、人々の関心が高かったことが伺い知れます。
今日撮影したタマムシは、「アオムネスジタマムシ(青胸筋玉虫)」です。
奄美以南からフィリピンにかけて棲息していて、
図鑑では主に海浜植物のモモタマナを食べるそうですが、
カニのトンネルのところにあった、大きな落葉樹がモモタマナだけど、
バナナ園にもあったかな…。
タマムシの幼虫は、一般に
立ち枯れた木や枯れ木の中で腐った木材を食べるという
スローライフでロハスな生活で約3年を過ごし、
成虫になって樹木の葉を食べて、約1ヶ月で死んでしまうという、
セミやカブトムシのように幼虫期間が長い昆虫です。
タマムシは昼行性で、夏の暑い時期の昼間によく見かけますね。
陽の当たる高い場所で活動していますが、
我が家近郊では何種類も見かけます。
タマムシはカブトムシの親戚ですが、
音楽やデータ保存用のCD(Compact Disc)裏面のように
透明な層が何層にも覆われて、宝石のようにまばゆく鮮やかな色彩を放ち、
人間は発見されやすいのですが、
玉虫の天敵の鳥類からすると、派手な色彩は「苦手」のようで、
そういう玉虫の保身の目的と、遠くの仲間を見つけて交尾するために
派手派手な色をしているらしいです。