ハイサイ、RIN(凛)ですニコニコ


【大宜味村根路銘の国道58号線の道路標識】



昨日は梅雨の中休みで、久々に青空が出たので、

野山を思い切り走り回りたいのに、

雨天で自由にならないRIN(凛)君のストレス解消に、

山原(やんばる)の山脈を越えて、

東シナ海側の西海岸に行ったのです。

そこの地名が大宜味(おおぎみ)村「根路銘」。

読めますか?

「ねろめ」と読むのです。


【良い意味で「やんちゃ」なRIN(凛)君の弱点は「車酔い」】



私が沖縄に移住後にとまどったのは、いろいろありますが、

「地名や人名」も、そのひとつでした。

最初に住んだのが糸満市阿波根(あはごん)。

近所に根路銘(ねろめ)さんという方が居て、

私は、しばらく「ニャロメ」と聞き間違えていたのです。

故・赤塚不二夫さんの「もーれつア太郎」とか「おそ松くん」に

出てきた、あの「ニャロメ」というネコ、いましたよね。

近所の方は方言も交えて、早口で、独特のアクセントで話すので

「ネロメ」は「ニャロメ」としか聞こえなかったし、

聞き返すのも、申し訳ないような気がしていたのです。


【甲子園名物の「かち割り」みたいに、氷で冷やすのは効果的!】



どうも、私は時々、聞き間違いをするようで、

以前、歯医者に行った時

「口笛を吹いてください」

と言われたので、不思議に思いながらも吹いてみたら、

「口紅を拭いてください」

と、再度言われたとか、

仕事の面接のとき、

「家業はなんですか?」

と聞かれて、

「カキクケコです。」

と答えたこともありましたね。ガーン

みんな、大なり小なり、こういうこと経験はしているはずですよね。

まあ、さすがに、「Hello」を「エロ」と聞き間違えたことはないですけど。

なので「ネロメ」を「ニャロメ」と勘違えるくらい、当たり前かも。


【「かち割り」を枕に、目がうつろ状態。おとなしいので別の犬みたい】



糸満市阿波根(あはごん)時代の5年間では、

通販で何か買おうと、コールセンターに電話すると、

阿波根(あはごん)は当然理解されず、

「阿波踊りの阿波(あわ)に、根っこの根で、アハゴンと読む」

と言っても、何度も聞き返されたあげく、必ずクスクス笑われる…。ガーン

笑いたきゃ笑えばいいさ~。

まあ、本土には無い地名だけどね…。

また私の知人に阿波根(あはごん)さんという姓の方も居ましたね~。


【東シナ海側の貸し切りビーチでは、一転して元気に覚醒するRIN(凛)君】



甲子園の高校野球では、沖縄代表メンバーの苗字は、

大城とか山城、比嘉(ひが)、具志堅(ぐしけん)、

渡嘉敷(とかしき)あたりだったら、わかるでしょうけど、

「これ、なんて読むのさ~?」

という苗字が多いですよね?


【貸し切りビーチでも、車酔いがウソのように、ニヤけて全力疾走するRIN(凛)君】



沖縄の文具店や本屋さん、ホームセンターとかの、印鑑BOXに、

「あ」から「わ」まで朱肉不要ハンコが並んでいますよね。

沖縄に15年以上住んでいる私でも、いまだに読めない苗字が多いですよ~。

沖縄の人の約1500にも及ぶ苗字は、基本的に地名に由来しています。

・翁長 おなが

・嘉数 かかず

・仲井真 なかいま

・糸数 いとかず

・屋良 やら

このへんは、なんとか読めますよね。

ですが、

・久手堅 くでけん

・金武 きん

・北谷 ちゃたん

・読谷 よみたん

・保栄茂 びん

・仲村渠 なかんだかり

・前伊礼門 まえいれいじょう

・真境名 まじきな

・喜屋武 きゃん

・阿波根 あはごん

・手登根 てどこん

・南風原 はえばる

・真栄原 まえはら

・東風平 こちんだ

・饒平名 よへな

・勢理客 じっちゃく

このへんになると、かなり読みにくいですよね。

こういった沖縄の苗字は、実際にある地名が

そのまま苗字にもなっているのです。

どうして、そんなことになってしまったのかというと、

明治維新の後、1872年(明治5年)、廃藩置県の翌年ですが、

琉球王国は江戸時代を通じて、日本(島津藩)と中国に両属していましたが、

尚泰王(しょうたいおう)は、明治政府により

「琉球藩王」とされるとともに華族とされ、

これにより琉球藩が設置されてしまいました。

これを「第一次琉球処分」といいます。

その7年後、1879年(明治12年)に琉球藩の廃止と沖縄県設置で、

沖縄県が強制的に日本に併合されてしまい、現在に至っているのです。

これが第二次琉球処分。

第一次琉球処分の3年後、1875年(明治8年)に、

明治政府が「平民苗字必称義務令」を発令し

すべての国民に苗字(名字・姓)を名乗ることを義務付けて、

琉球藩内でも平民が苗字を付けることになりました。

江戸時代までは、日本で公的に苗字を使用したのは、

原則として、公家や武士などの支配階層や、

庄屋・名主など一部の有力な庶民に限定され、

それが一種の特権とされていたのが、

明治維新により、従来の身分制度の再編が図られ、

1870年(明治3)年に「平民苗字許可令」が定められました。

この布告で初めて、平民に「苗字」の使用が許されたのですが、

当時の国民(平民)には、あえて苗字を使用しない者が多かったのです。

男性では、定吉とか熊五郎、八五郎、甚兵衛、与太郎、半松…、

女性では、富とか、松、竹、梅、鶴、亀、雪、花、咲、染…、

大岡越前や遠山の金さんなどの時代劇に出てくるような、

苗字がない名前だけが多かったようです。

そのため、1875年(明治8年)に、

改めて苗字の使用を義務づける「苗字必称義務令」を出した、というわけです。

それに併せて、琉球藩内の平民すべてにも、

苗字が付けられるようになりました。


【広いビーチを独占できて、思わずニヤけてしまうRIN(凛)君】



現在、沖縄で多い苗字といえば、3大苗字といわれるのが、

・比嘉 ひが

・金城 きんじょう

・大城 おおしろ

これに、以下の7苗字を加えたのがBEST10、

・宮城 みやぎ

・新垣 あらかき

・玉城 たまき、たましろ

・上原 うえはら

・島袋 しまぶくろ

・平良 たいら

・山城 やましろ

このほか

・知念 ちねん

・宮里 みやさと

・下地 しもじ

・仲宗根 なかそね

・照屋 てるや

・砂川 すながわ

・仲村 なかむら

・城間 しろま

・新里 しんざと

・東江 あがりえ

・与那嶺 よなみね

・我那覇 がなは

・屋宜 やぎ

なども、多いのですが、

沖縄人は、苗字を聞いただけで、出身地がどこか、

判る年配者も多いです。

例えば、

・砂川(すなかわ)

・州鎌(すがま)

は宮古島出身者に多いとか、

・具志堅(ぐしけん)

は、島尻郡南城市、国頭郡本部町、

・安室(あむろ)

は、中頭郡西原町の安室(あむる)

・我如古(がねこ)

は、宜野湾市の我如古(がにく)

・神里(かみさと)

は南風原(はえばる)町山川だとか…。


【夕暮れが近くなり、十分遊んで満足げなRIN(凛)君、だけどこっちはクタクタさ~!】



また、本土と同じ読みの苗字であっても、

本土とは表記が異なる苗字、例えば、

・なかむら→仲村

・ふくはら→普久原、譜久原

・とぐち→渡久地

・まえだ→真栄田

・さかい→佐加伊

・よこた→与古田

・中曽根→仲宗根

本土の「中」は、沖縄では「仲」になっているのも特長的ですが、

これにも理由があるのです。

16世紀後半、九州での覇権争いや、豊臣秀吉に従属した戦い、

李氏朝鮮を征服しようとした文禄・慶長の役、関ヶ原と、

歴戦の数々で勇猛果敢な薩摩の島津藩が、

天下分け目の関ヶ原の戦いの9年後、1609年、

約3000名の兵が3月4日に薩摩を出発し、

3月8日には当時琉球王国の領土だった奄美大島に進軍。

3月26日には沖縄本島に上陸し、4月1日には首里城にまで進軍、

島津軍に対して、琉球軍は島津軍より多い4000名を超える兵士で抗戦しますが、

戦闘経験のない琉球王国が歴戦の雄・薩摩藩の相手になるわけがなく、

4月5日には尚寧王(しょうねいおう)が和睦を申し入れて首里城は開城してしまい、

以降、琉球王国は薩摩藩の付庸国となるのですが、

薩摩は異国を支配していることを主張し、

幕府に薩摩の強さを見せ付けることによって

江戸幕府における薩摩の地位を高める意図が薩摩藩にはあったのです。

そのため、琉球国民には服装や髪型を異国風に装うことを強制し、

琉球が外国であることを演出する、さまざまな政策を遂行しました。

1615年の大阪夏の陣で豊臣氏が滅亡し、

家光が3代将軍になった1624年(寛永元年)、

今度はさらに「大和めきたる名字の禁止」を令達するのです。

要するに、

「日本本土にあるような苗字を使ってはダメ!」

ということで、これによって、琉球の氏族や貴族がこぞって改名し、

平民は、住んでいる地名が、そのまま名前化していったのです。

17世紀の後期、尚貞(しょうてい)が琉球王つまり「中山王」に即位すると、

姓や村名に「中」の字を王族以外の者は使用禁止とされてしまい、

「中村」は「仲村」に、「中曽根」は「仲宗根」に変えざるをえなくなったようです。

沖縄の苗字には、薩摩や維新後の日本政府に虐げられてきた

400年の重い歴史があるのです。

根路銘(ねろめ)が「ニャロメ」なんて、言ってられませんね~。しょぼん


【今帰仁(なきじん)村古宇利島(こうりじま)側に夕日が落ちる前に、帰宅さ~!】