EVE&mental disorder

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精神疾患・発達霜害当事者が体験談、学んだ事。日々の出来事。又、趣味のチャンネルイヴに関する事を書いています。

リィンカーネーションとは、「「転生」または「生まれ変わり」という意味を持ちます。

この物語りは、主人公の飼っていた大切な白猫「ロディ」を失い、その喪失感と責任感に押しつぶされている女性「由美香」という女性が、喫茶店の中で目を覚ます所からはじまります。

 

目の前には、亡くなった猫の「ロディ」とよく似た雰囲気をもつ青年がいました。全身白づくめの上下の服を着て、仕草もまるで猫のよう。それをみた彼女は「去年まで飼っていた猫のロディみたい」そう思いました。
そんな彼の姿を見ながら、彼女は猫のロディのとの想い出に浸っていきます。

そして、彼は熱い飲み物が苦手て、猫舌らしく、それをみた彼女は「まるで本当に猫みたいだと感じはじめました。
彼が彼女を見る眼差しは、とても優しく愛おしい人でも見るかのような眼差しでした。

 

由美香は、ずっと飼い猫のロディが亡くなる最後を看取ってあげられなかった事を、とても悔いていました。
そして、ロディが亡くなった時の事を思い出し、自分が飼い主失格であると思い込み、自分を責め続けていました。

その時に彼女が口にしたのは、ローズマリーでした。ローズマリーには、象徴的な意味合いもあり、愛情や親密さを象徴するともいわれています。おそらくですが、彼女は亡くなったロディに対しての、深い愛情や親密さを噛みしめながら、それを口にしていたようにも、思えました。

 

そして、それを飲み終えた彼女に、ロディによく似た青年は、ロイヤルミルクティーを注ぎました。

「気分が落ち着きますよ」と・・・

その後、彼の口から出る言葉は、意外なものばかりでした。亡くなったロディ、飼い主である由美香しか知らないはずの出来事を、青年はあたかも自分の事のように話してくるのです。
彼女なそんな青年の言葉に呆れて帰ろうとしたとき、青年はこういいました「僕、ロディです」と・・

「ロディの生まれ変わりなんです・・」と・・

そして、ロディと由美香しか知らないはずの出来事を告げられ、彼女は青年の事を、本当にロディの生まれ変わりだと信じるようになりました。

しかし、その後に待っていたのは、なんとも残酷で悲しい愛の物語でした。

この世界観は、主人公由美香が、喫茶店で目を覚ます所からはじまります。

過去に捉われ、今を生きる事をできなくなった主人公由美香。飼い主を愛し、ずっと一緒にいたいと願うロディの生まれ変わりだという青年。

ここで思い出すのは、リィンカーネーション。転生と生まれ変わり。
そもそも、彼女が目を覚ました時点で、現実なのか?まだ夢の中にいるのか?それともロディを想うあまりに作り出した虚構の世界なのか?どういう風にも捉える事ができる。

現実世界で考えるなら、青年はロディと偽って、彼女を愛するあまり永遠に一緒にい続けようとする異常者とも捉える事もできる。これが夢なら、彼女が後悔し続けているロディへの想い、「できることならやり直して、また一緒にロディとずっといたい」

という自責からの解放。虚構の世界であれば、彼女が作り出した、「ロディに会いたい」「もう一度やり直したい」「自分の責任だ」そういう想いから作り出された、虚構の人物。ロディの生まれ変わりという青年を彼女は作り出した。

 

どれもが正解でもあるし、どれもが不正解ともいえる、そんな現実と夢と虚構が混在した世界。

それがこの物語の世界観なんだと思う。

 

深い愛情は、時に大きな喪失感を生み、それは自責と後悔を生む。
最後のエンディングで流れる「ナクシモノ」がまさにそれを表しており、自分にとって大切なものは、一度失うと、無くしてしまうと、二度と戻る事はない。

だが、このもの語りでは、ロディという青年として生まれ変わり、「輪廻と転生」の象徴して白服の青年が現れる。
そもそも彼は現実のロディの生まれ変わりなのか?虚構なのか?夢なのか?この物語りでは、その答えは出てこない。
ただ言える事は、最後の青年の笑顔は、「自分の願望を叶えた」という、決して愛情でも信頼でもない、「願望と欲望の笑顔だった」ことは、表情から読み取ることができる。

もし、本当に愛していたロディなら、そんなことをするだろうか?疑問に残る瞬間でもあり、愛情の歪みがそうさせたものとも捉えることもできる。

そんな、見る人によって、最後の解釈も印象も大きく変わる。そんなドラマだと僕は感じました。
ただ、この物語りには、元となる短歌があり、それを聴くと、青年は「猫の仮面を被って招く」と言っている。
おそらく仮にロディであったとしても、もう彼女が知っている猫のロディではないのだと、この言葉から伝わってくる。
なぜなら青年にとって「猫」は「仮面」だからだ。

そんな、短歌とドラマを組み合わせ、不思議な世界観を作り出した、不思議な世界。

それが「リィンカーネーション」
ぜひ、本編のドラマと共に、短歌と一緒に観てもらいたい。そうすることで、より深くこの作品を理解するキッカケになる。

「リィンカーネーション」本編

猫と短歌 短歌朗読編。