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RYUのお話

自作の小説や詩、童話を楽しんで頂き
アレコレお喋りや合同作品、リレー作品、以来作品などたくさんの方々とお話をしたり作って生きたいです

蒼龍 四神を纏えし者 其の弐 宝物庫

大陸の南に位置するここ泰爛(たいらん)に
秦(しん)の国の宮中がありました。秦の国 は大陸の四分の一を占めるそれはそれはとても大きな国でした。

その昔侠(ぎょう)という民族と措(そ)という民族と魏(ぎ)という民族が長い争いの末、参議協定という条約を結び共通の言葉、文字を用いる事で一つの国となりました。
その地に暮らす百十二の民族もそれに従い、秦は全世界で一番大きい国となったのです。

そして秦を治める帝様は、元々甲(こう)とい う小さな民族に生まれながらも非凡な才を持ち。天子様より天命を受け、大乱の覇者となり仏教を元とした学問天智経典を作りまし た。
それから四百年、世界は変わり又秦も国土の大きさこそあまり違えども、その中身は変わりかけていました。
溢れかえる人々、天地経典の教えは外国には通用せず。若者は金を求め、年老いた者は 政治に目を細め異教に神を求めました。
科学の力が大きな内乱も世界の大乱も抑止し緊張と均衡を保っていたのです。

そんなある夜の宮中、黒装束の二人組みが、お城の宝物庫に忍び 込みます。
二人組みは互いの手のひらを重ね前と後ろを見ながら進 みます。
なにかあった時二人組みは手を離し対応するための合図で した。

宝物庫の前には兵が三人立っていました。
黒装束の二人組は左右に分かれると一人は鎌で兵の喉を裂き、もう一人は棒で二人の兵の喉を抑え壁に押し付けると鎌を持った男が二人の兵の喉を切り裂き ました。
二人組は音一つたてられません。音をたてれば回りの兵達がやってくるからです。

二人組は懐から鍵を出し宝物庫の鍵を開け、
宝物庫に入りました。

「兄様見ろよ、金の延べ棒に真珠の指輪、
翡翠(ひすい)の玉印もある、 ん!・・・こっちもすげぇぞ銀の食器だ」
黒装束の男一人いや馬(まお)蛇黄(じゃき)は目の前の宝の山に目を煌めかせ、手にとって眺めたり臭いをかいだりしました。

「蛇黄、我等の目的は天地動転の玉
(てんちどうてん) 」
ともう一人の棒使いの男馬(まお)文喩(ぶんゆ)は言いました。
「チェッ、判ったよ兄様」
蛇黄は文喩の言葉にしたがい恨めしそうに宝をどかしながら玉を探しました。

「・・・?蛇黄」
文喩は何かをみつけた。
「見つかったのか兄様」
「少しくらいなら持っていってもかまわんか」
文喩は一つの古びた鎧を指差しました。
「四神の武具だ」
「ししんのぶぐ?」
蛇黄は首を傾げ傷だらけの鎧に近付きます。
「蛇黄、矛盾の語源を知っているか」
「矛盾の語源?・・・あぁあれならわしとて知っとる、どんな盾も貫く矛とどんな矛も貫かぬ盾を売 っていた商人にどちらが強いんだって問いただしたところ。何も言 い返せなかったところから、二 つの相対する事柄を同時に出し不条理にこじつけたって言うあの話 じゃろ」
蛇黄は答えた。
「そうだ、もし本当に最強の矛と、最強の盾を手に入れたとしたらどうなる」
文喩は言う。
「そりゃー無敵だろうよ、どんな盾も貫く盾と、どんな矛も貫かぬ 盾があれば・・・?それがこの四神の武具なのか」
と蛇黄はいった。

「ふっ」
文喩は目を閉じ見開くと舞いながら歌いあげました

「天に地に乱れる処鬼現れる、鬼現れる処四神、武具と成りて天子の下に集まれしは東方より蒼龍、西方より白虎、北方より玄武、南方より朱雀。天子、天に蒼龍の剣を掲げ白虎の兜を被りて雄叫びを放てば、玄武の鎧が鬼の牙をもはじかぬわ。
いざ戦地に赴けば朱雀の足枷が火 を吹き地を飛び回る。天子阿修羅が如く地はもとより山河、天に到るまで鬼出処(いずるところ)駆け巡る。
民の城に隠れし鬼、天子逆鱗に触れ天の雷を持ってこれを封じせし」

文喩は舞を終えるとゆっくりと立ち上がりました。
「ふっ・・・まぁこんなところだ」
「ふーん、鬼に天子様か・・・まるで神話か御伽噺みたいじゃな」
目を丸くぱちくりしながら文喩と鎧を見比べながら蛇黄はいいまし た。
「確かにな、俺もそう思っていた。もしあったとしても錬金術の進 んだ今、 それよりはるかに硬い素材は発明され、現代の武具にかなうとは到底思えぬ・・・
が、こう目の前にすると・・・
なるほど・・・」
文喩は頷きながら静かに言った。
「どうしたんじゃ兄様」
文喩は目を細め微笑むと蛇黄に振り向きました。
「欲しくなった」
と文喩はいった。
「じゃあこれが言い伝えの四神の武具なのか」
蛇黄は腰をかがめ鎧の周りをググルと回りました。
「・・・ふっ、蛇黄邪魔だ」
「あ、おうおう」
そう言うと蛇黄は体をそらし両手を前に広げました。
すると文喩は何を思ったのか突然
横に置いていあった剣を掲げ鎧を真っ二つに割ってしまいます。
蛇黄は前に 出した両手を引っ込め、目を大きく見張り鎧を見つめました。
「に、兄様いいのかよぶち壊しちゃって」 「本物だがやはり当時の強さであったのだろう・・・
しか し・・・」
文喩はしばし右手に握った剣を見つめると大事そうに元あった所に 戻しました。
「でも美術的価値とかあったんじゃねーのか?」
蛇黄はもったいなさそうに鎧を見つめてました。
文喩は鎧の飾ってあった台から巻物を取り出しました。
「三巻?・・蛇黄いくぞ」
そういうと文喩は巻物を風呂敷につめ腰にしまいました。
「え!あっ?まったく兄様は・・・
っま、わしはわしで適当―に見 繕ってくか・・・まずはこの金の 延べ棒に、そして剣・・・」
「蛇黄何をしてる早く探せ」
「わかってるって兄様・・・おっとこの首飾りなんか姉さまにぴったりじゃ・・・こっちの石も・・・ うーん?これは・・・
兄様、兄様!」
「どうした蛇黄、見つかったのか」
蛇黄は赤い石を手にうなずきました。
「まさしくこれぞ天地動転の玉、でかしたぞ蛇黄」
「この玉と姉さまの術があれば・・・」

「曲者が忍び込んだぞ」

「兄様!」
二人は立ち去ろうとしますが宝物庫前で帝兵達に阻まれました。
蛇黄は両手の鎌を振り回し、文喩は身の丈以上の棍棒で帝兵達をなぎ払い右へ左へ立ち去りました。