映像作品を作ろうとあれこれ考えるとする、痺れる。日程だの場所だの決めたり頭を下げたり文句言われたりして痺れる。人を決める、痺れる。金を集めなくてはいけない、痺れる。金を払わなくてはいけないので痺れている。そもそもなんだかよくわからなくてさらに痺れる。法令遵守することにも痺れる。世間にそれなりに機嫌よくアピールしなくてはいけなくて痺れる。映像作品に選ばれた俳優の美しさとか才能とかに痺れる。作品の役を勝ち取ろうとみんな痺れる。持て余した俳優が痺れたくて痺れる。痺れているのを見つかってみんな痺れる。メディアに話をすり替えてもらった痺れてた人がそれにまた痺れる。作り直さなくてはいけない、痺れる。長年かけて仕上げた建物が全焼して痺れる。またやり直しだということで痺れる。台風に痺れる。助けなくてはいけない痺れる状況。殴られて痺れ、殴り返した拳が痺れる。罪悪感に痺れ、罪悪感がなくなった頃の涅槃のようなざらついた静寂に痺れる。とても触れたかった人との深い交わりに死にそうなほど痺れる。久しぶりに会うたびに壊れかけていく親に痺れる。知らないうちに海を汚していたプラスチックに魚たちも痺れる。気温上昇や環境の変化に餌を求めて熊たちも痺れる。知らないうちに増えていた宇宙ゴミに痺れる。子供たちが老人の運転する車に轢かれる、痺れている老人はまた痺れる。子供を失った親も痺れる。仕事に追われる警察も痺れる。弁護しようのない弁護に痺れる。痺れた自分を許そうと痺れる。痺れた誰かを許そうと痺れる。