『岬に待つ恐怖』
《知らされた恐怖❽》
八月、猛暑の続くなか二人は『岬』の階段の近くで錆びついた剣を見つけた。
その場所は彼等が何回も潜った辺りだったがそれまで剣があることなどまったく気がつくことはなかった。
何故なら、剣は海底に落ちていたのではなく、岩肌に突き刺さっていたからだった。
永い年月の間に岩肌のほとんどに海藻が繁り珊瑚などが密集していた。
そのため剣を発見することが出来なかったのだろう。
この剣は岩肌に深く突き刺さっていた。
初めて海中で階段状の窪みを見つけてから五年、彼等の好奇心にさらに火がついた。
その高揚感の中で二人は同じことを考えていた。
土井が帰って来れば俺達の計画は間違い無く進む。
土井を含んだ三人の関係の中で子供の頃からその中心に居たのは土井だった。
彼の明るい性格が織田や水盛にとって掛け替えのない支えに成っていた。
それはよくある力関係から生まれた立場の上下や第三者に対しての忖度から生まれるようなものでは無く、心地良い人間関係だった。
とにかく土井と織田、水盛の関係は清々しいものだった。
九月になればあの関係がまた始まる。
あと少しの辛抱だと二人は思っていた。
自分達が今までに準備した事、岬で見つけた剣。
土井も喜んでくれるはずだ
。
その年の夏、二人は社会人としてそれぞれの職場に溶け込みながら時間を作っては『岬』へ出かけ海に潜った。
そんな二人が、日没の早くなって来たことを感じた頃
。
土井が帰って来る九月が近づいていた。
