BEFOREテロリスト AFTERヤクザ 1
ある朝パソコンを開いてみると、ネット上で一通の風の便りが届い
ているのに気がついた。その差出人の名を見てある種のノスタルジー
と不安とが入り乱れて僕の体は震えだした。 彼とは20数年会って
いない。 僕の記憶によると確か、お気に入りのメタルバンドのCD
持って彼ん家へ出向き、何やかんやメタル談義したあと、彼の
お気に入りのヤツと交換して別れて以来の音沙汰だ。 要するに
僕は彼のCDを20年間没ったくったことになる。しかも、そのCDに
入っていた曲を僕はえらく気に入り、自身のバンドでもよくやっている。
「…ついに現れたか~! もう逃げきれねぇ~、白状するぜぇ~」
と、いうことで返答することにしたのです!
彼とコンタクトを取る前に彼の運営しているサイトを覗いてみました。
ひとつ先輩の彼は地元では有名なギタリストでした。高校生にしてラウ
ドネスやメタリカを弾きこなすということで僕は一目置き、自分がギター
を弾き始めるキッカケにもなっている程でした。 その彼のサイトを見
ると、その一室のリビングの壁にはラウドネスモデルやメタリカモデル
など数台のギターが掲げられ、その中央にはソファーに座ってギター
を奏でる彼が陣取っていた。 メタリカの「BLACKEND」を弾いてい
た。相変わらずダウンストロークは軽快であった。そこには僕の知っ
ている彼がいた。紛れもなく彼であった。彼の好きな事、興味のあ
る事、やる事は何も変わっちゃいない。しかしひとつだけ決定的に
違っている。いや、違っていそうだ。それは彼の風貌、いで立ちで
あった。
「…、…テ、テロリストやんけ~!」 …。 ギターを振りかざす彼
の頭にはターバンが巻かれ覆面が施され、全身は迷彩の軍服をまと
っていた。僕には、あまりにもその光景が愉快でたまらなかったので
すぐさま電話番号を交換してコチラから連絡することにしたのです。
電話口に出た彼の声はサイト上での風貌とは違い昔と変わらぬ声音
(こわね)であった。 彼はどうやらCDの事はすでに忘れているようだ。
それよりも僕という昔のメタル旧友に再会したことへの感激のほうが
大きいみたいである。 話していると偶然にも今日は双方共、仕事は
オフだとわかったので、
僕 「…もしよかったら今から会わない? 俺んち、
いいスタジオあるよ~。(私はキックボクシング
GYMを経営している)」
彼 「…手ぶらでいいのかい?」
僕 「もちろん、ギターはお忘れなく!」
と、いうことで会うことになったのです…!
…つづく