(前回更新に少々修正したものっす。)
やっと更新のお時間でございます。
前回どーして突然に月の魔法の話をしたかといえば、とても美しい月が見えてて、皆が騒いでたから。月の魔法を思い出して書かずにいられなく。。
ほんとはもっと別な事を書きたかった。
昨日職場で、ひょんな事から昔やってた店の話をしたら、めためたウケまくって、他の同僚から同じ話を何度も頼まれるので、もうそれブログにかいちゃおかなー。
昔々、コンビニやってたのね。
家族が。正式には兄弟が。
んで、当然手伝ってたのー。24時間てさ、責任者1人じゃまわりきらんから。
かといって、赤の他人を責任者にはなかなか…しづらいから。
そんで、私の担当時間帯に、毎度必ず現れる、
万引きするけどついでに買う
買うけどついでに万引きする
しょーもない老人がいた。
取りあえずジジィとする。
この万引きジジィがボケを装って盗む物は値段とか全く関係なかった。
高い方を買って安い方を盗む時もあれば、逆もある。ようは買い物ついでに盗まずにはおれない習慣のような感じ。
警察も呼んで何度かしぼってもらってんのに、である。
出禁の宣告もしとるのに、である。
繰り返すのである。
前日にバイトから「またアイツ来て、俺見てたんすけどポケットに何か入れてました。」
と言われた。
ビデオも確認した。
バイトだとどうしても入店を断りきれない。
ジジィもバイトだとナメている。
何度警察を呼ばれても懲りない。
どんなにお巡りさんに注意されても脅されても止めない。
ジジィには、自分がジジィである事を利用して、人々の同情心を揺さぶり、生きながらえているフシがある。
どれ。
私が、〆よう。←
私はついに重い腰を上げた。
山が動いた!!
アルバイトたちはそう思ったに違いない。
何故なら、私は、どんな場合も、いつでも、動いた時には必ず結果を出すからである。
(めったに動かないが)
ジジィの来店時に時々現れて、出禁なので出て行くように何度か注意しているので奴も私の顔は知っている。
私は必ず奴を追い出す。
奴も私の事は“鬼メガネ”と思ってるに違いない。
しかし今日の私は、ただの鬼メガネじゃねぇぞ!
二度と貴様が入店する気にならないようにしてやろう。
私はバックヤードで超絶メラメラ燃えていた。
諜報部員のバイトが
「ジジィ現れました!外をチョロついてます。」
参謀役のバイト長が
「入店させて少し泳がせて油断させましょう。」
私は
「まだ出ないほうがいいな。」
かなりキョロキョロしながら、ソロソロと入店してきたジジィは、真っ直ぐにスニッカーズ的な“確かな満足系バー”の並んでる棚の所に来た。
コイツは昨日もこの種類を盗んでいるのだ。
バーに手を伸ばし1つ掴んだジジィ。
少しずつポケットに近付ける。
完全にポケットイン。
そっと背後から近付く鬼メガネ。
「それレジに出すつもり?売らないよ。」
飛び跳ねる程驚いたジジィ。
ジジィの驚きっぷりにこっちが逆にたまげたわ。ショックで店内で死なれるかと思った。
笑いを堪えるバイト達。
振り向き様
「これだけ~これだけ買わせて~」
と懇願するジジィ。慣れてるな…。
「アンタ出禁なのに昨日も来て、これ盗んでるじゃん。バイトも見てるしビデオもあるよ。また警察呼ぶけどいい?」
「昨日~?どれ盗んだ~?」
「これだよ(ハッタリ)」
「じゃあそれ払う~」
「あ、そ、払いなよ。でも、それは売らない」
万引き分(100円)を支払って「コレも買わせて~」と涙ぐむジジィ。
「売らない。出てって。」
泣き出すジジィ。「あとひとつ買わせて~」
鉄の鬼メガネ。「出てけ。帰れ。」
入口まで同じやり取りを繰り返しドア外まで追いやる。
両手でシッカリとドアを固定してキープする鬼メガネ。
オーナーや店長は年寄りに弱い。
このあたりで完全にジジィの泣き落としの術に落ちていただろう。
オーナーも店長もメガネではあるが鬼ではないのだ。(メガネファミリーであるとは言えよう)
しかしこの鬼メガネは違う。
ダテに鬼の称号を賜っている訳ではない。
売らねーったら売らないし、絶対に二度と入れないのだ。
ジジィがそこに居る限り絶対に、このドアの両手は離さないからな!
死んでもだ!!!
ジジィを睨み付ける鬼メガネの奥が、激しい強い意志でキラーンと光る。(バイト後日談による)
諦める万引き泣きジジィ。
店内で足を引きずりながら歩いていて、外に出てからもションボリ俯きながら、引きずる足でトロトロ歩いていたのだが
ずーっと見張っていると
角の信号の所まで引きずり歩き、信号を渡る時にも引きずり歩き、なんと、渡り終わった後で急速にスタスタと顔を上げて普通に早歩きし始めた。
思いっきり足腰達者なジジィである。
信号渡り終わってから普通歩きOKの基準が分からない。
糞ジジィめ。
こっちはあれから“ジジィ泣かし鬼メガネ”の不名誉な称号が付いたというのに。
しかもこのジジィには後日談がある。
沢山ある。
ある日バイトに彼氏が出来た。
店の客である。
「Pさん聞いて下さい!こないだ初めて近所の彼氏んち行ったんすけど、なんと、同じ階に万引きジジィ住んでるんすよ!!」
凄すぎる情報をぶっ込んできた。
マジか。マジにか。
「やっぱり近所でも評判の有名人でした。」
そうかそうか。そうだろうな。
「そんでアイツ、ヤバいんですよ。」
うんそれは知ってる。
「表札あるじゃないですか。自分家のドア外の表札。」
うんうん。(ドキドキ)
「その表札の自分の名字の上に紙貼ってて、そこに手書きで『画家』って書いてあるんです。」
でーーーーたーーーーー。
うわーヤバい。
つまり、『画家 ジジィ』って書いてあるのね。ジジィ部分が本名ね。
ありえねーー。
そのバイトちゃんに指令を出した。
「写メってきなさい。」
さらにその数日後。
「Pさん聞いて下さい!あの画家ジジィの話!」
勿論聞くよ、興味シンシンだよ!
(写メどうした?)
「ある日突然画家ジジィん家に貼り紙がしてあったんです。」
ゴクリ。んで?
「チラシの裏みたいな紙に
『どなた様も、ご自由にお入り下さい』
っつって書いてあるんすけど!!」
……で、た、。
でーーーーたーーーーーーーーー。
どうやら画家ジジィは、あまりに多くの悪行を重ねた為に、年寄りに同情的な数少ない優しい人にさえも匙を投げられたらしく、暫く誰にも構ってもらえなかった。
そして近隣の店は全て軒並み出禁となっている。
つまりジジィの究極的カマッテちゃんなのである。
当然のように画家ジジィのカマッテちゃんの方向性は、更に人々を遠ざけていった。
てかもう、近所の小学生でさえ面白半分に見に行ったりしなくなったからね。
そして後日、このカマッテちゃん病は更なる進化を遂げる。
続く。(読んだ人が多かったらww)