評価 微妙特撮
得点 58点
・スーパー戦隊シリーズ第49作品(50番目の戦隊ではあるが作品としてはルパンレンジャーとパトレンジャーがセットになっているため)。「ユニバース大戦」と呼ばれる戦隊のレッド同士の戦いを舞台に、テガソードと呼ばれる神による指輪の戦士に選ばれた5人の新たなる戦隊ヒーローの物語。個人的には引き込まれる要素はあったものの、全体的に迷走していてイマイチに感じられた。
評価点はこのようなところ。
①過去作品にも負けず劣らずのカオス展開
・脚本が井上敏樹の娘、井上亜樹子なだけあって父親の手がけた過去作品「暴太郎戦隊ドンブラザーズ」のようなカオス要素の強い、いい意味でのめちゃくちゃな作品の要素を継承しており、笑いを取れるようなシーンからお祭り作品らしいハチャメチャ感を混ぜた熱い場面が豊富に用意されている。また、クロスオーバー要素の目玉であり過去作レッド戦士に変身する「ユニバース戦士」(ディケイドで言うリマジライダーのような異なる変身者による過去作戦隊への変身)の存在や過去作ロボットのパーツの登場など、今までのシリーズを知っている人ほどニヤリとするネタもあって、お祭りものらしさを前面に押し出した新感覚の戦隊ヒーローとして楽しめる。
②演出、バトルシーンが熱い
・戦闘シーン→ロボット戦闘という流れの鉄板から外れ、いきなりロボ戦に突入するという1話を初め、戦闘シーンの良さを感じられる。激しさを感じる接近戦や歴代戦隊の戦い方を取り入れつつ独自の魅力を開発する斬新なバトルが見てて興奮させられる。また、ギャグ的なおふざけ要素の強い「ナンバーワン対決」を挟んでからの戦闘といった、単純な流れに留まらない戦闘シーンも魅力。歴代の戦隊ヒーローが登場するが、過去の歴代クロスオーバー作品とは一線を画したものとなっている。変身者が別の過去作のレッドの戦闘シーンも本家には無かった戦闘スタイルを魅せ、過去作の据にとらわれない新たな魅力を開発できている。ゴジュウジャー側の戦い方も、指輪による変身を駆使した戦い方、疾走感のあるアクションや派手なエフェクトにより激しく面白く魅せるといった、戦いを盛り上げるための工夫が多いのも特徴。
不満点はこのようなところ。
①お祭り作品らしさの代償に話が詰め込みすぎて薄っぺらくなった
・ドンブラザーズでも見られた欠点だが、悪い方にもカオス要素が浮き彫りになっており、話がとにかく行き当たりばったりでキャラの掘り下げが出来ていない部分も多く、ギャグ要素も滑り気味な部分が散見された。作中のナンバーワン対決も、カオスさやめちゃくちゃさを売りにした奇をてらった内容も含まれており、それ自体は試みとしては悪くないのだが正統派な対決からウケを狙いすぎて滑っている対決と、色々と新しい要素を無理に取り入れようとして飽和している感が否めない。キャラクターに関しても、ゴジュウウルフこと遠野吠の兄で因縁のある敵であるクオンの絶妙な気持ち悪さが悪目立ちする場面やクオンとキャラ被りしている感が否めない人物の登場や一部敵幹部の扱いの雑さ、カオスやギャグに全振りしようとして滑る話もある等、話にインパクトを持たせるためにキャラをしっちゃかめっちゃかに動かした結果薄っぺらくなり、迷走感も相まって常に不安定に感じられた。
②一部の戦隊の扱い、伴ってユニバース大戦に関する掘り下げが微妙
・戦隊の総数を考えるとやむ無しではあるのだが、リングのみの登場や能力描写が本家との意識が感じ取りづらい戦隊もあり、戦闘描写のあるなしも左右されるため、お気に入りの戦隊がしれっと退場していたこともしばしばあるのが残念。それに伴ってユニバース大戦の展開も、ゴジュウジャー視点以外の切り口がないためかシリアスなお題目ながら掘り下げが浅く、ユニバース大戦に関する話の時系列も複雑でごちゃついて分かりづらくなっており、ついてゆきづらくなっているのが気になった。ゴジュウジャー関係でも、追加戦士のゴジュウポーラーや追加ロボのグーデバーン(テガソードの息子的立ち位置のロボ)もキャラ造形は良かったものの扱いや活躍を見るとやや不遇寄りで、グーデバーンに至ってはテガソードの活躍との兼ね合いで出番を削減されがちだったのがとても残念だった。
演出面や作品のテンション等のお祭り作品らしい要素や尖った部分は評価できるものの、作品としては色々と詰め込もうとして広げた風呂敷をたたみ切れていない感が目立つ微妙な作品。役者の不祥事をはじめ作品外のゴタゴタや全体的な作品としての迷走など紆余曲折あったが、一先ずここにスーパー戦隊の歴史に幕を下ろすことは遺憾であるが、現行作品であるプロジェクトR.E.D.、「超宇宙刑事ギャバン インフィニティ」も引き続き応援して行きたい。
