ad:tech tokyoに出展しました。
広告テクノロジーに関わるスタートアップ5社共同で1つのブースを間借りし、茶の間だけ作ったほとんどお金をかけずにどこよりも集客ができたブースの1つだったと思います。
対談企画をUst放送したり(ちなみに2日間で1,200人以上の人に視聴された)、みなさんのご協力を頂きながらとても楽しい2日間でした。ありがとうございました。僕らはいわゆるカンファレンスへの出展は初めてで、全くお役に立てませんでしたが、来年もご一緒させて頂きたく。
さて、この2日間はインターネットディスプレイ広告についてどっぷりと浸った2日間でした。アドエクスチェンジ関連の対談になると、ブースに物凄く人が集まり始めたりするなど、ディスプレイ広告においてのアドエクスチェンジの注目度の高さは本当にスゴいなと感じました。まぁ、各社の代理店なども含め、この領域に非常に前のめりになっており、今回のad:tech全体を通して、「日本でのアドエクスチェンジはガンガン行ったるで!」という感じだったと思います。僕個人としては、アドエクスチェンジについては以前から現実的な考え方をしており、ad:techに参加してみて改めてその考え方は変わっていなかったりします。ad:techでアドエクスチェンジ議論が白熱する中、敢えてここでアドエクスチェンジ悲観論(というか、僕の分からないところ)でも書いてみようかなと思います。
【目次】
・そもそもアドエクスチェンジの前提条件を思い出そう
・ゴミimpを集めてアドネットワークなどの商品化をしてもゴミになる
・日本国内でのターゲティング広告ってどうなの?
・意外と知られていないカオスマップの本当の意味
・米国では80%くらいがアドエクスチェンジ経由で買われている?
※書いているうちに気分により変わったりします、というか長かったのでいくつか途中で消しました。
■そもそもの前提条件を思い出すと…
アドエクスチェンジというモデルを考える際の前提条件は「1impの価値は全て同じである」ということでした。つまり、アドエクスチェンジの前提となるターゲティング広告では、どの媒体のどの広告枠に広告を掲載するのかは関係なく、ターゲティング対象となるCookie(まぁ、オーディエンスと呼びますか)の質が価値を左右するという考え方に基づいています。とにかくデータに価値があるという考え方です。
さて、この前提条件からアドエクスチェンジについて考えると、当然なのですが、価値の高いimpは不利になってしまい、結果としてアドエクスチェンジに流れてくるimpは価値の低いimpばかりになってしまいます。まぁ、媒体サイドでのプライシングどうこうの細かい議論があるのは置いておいて、アドエクスチェンジという考え方そのものがそういった問題点を内包しています。従って、アドエクスチェンジは中小規模のパブリッシャーの価値は上げることができますが、大手のプレミアムなパブリッシャーの媒体価値を下げてしまいます。となると、アドエクスチェンジで買える広告枠は残念なものばかりになってしまいます。フッターの誰も見ないような広告枠はアドエクスチェンジへ、ヘッダーのファーストビューの広告枠は純広告で手売りしよう、ということですね。だって、アドエクスチェンジだと、ヘッダーとかフッターとかは関係なく、とにかくオーディエンスがそこに来れば価値が出るんでしょうよとなるわけです。
ただし、ご存知の通り、現実的にはこのようなことにはなりません。パブリッシャーやロケーションには大きな価値があり、この部分のプライシングをどう考え、どのようにアドエクスチェンジが実装すべきなのか?そういったことを今後の課題として考えなければいけませんが、これもなかなか難しい問題ですよね。
■ゴミimpを集めてアドネットワークなどの商品化をしてもゴミになる
意外と多くの人が過信しているというか疑問すら抱いていないことがあります。それは「オーディエンスターゲティング」という最先端アドテクノロジーについてです。価値の低いimpしか集まらなかったとしても、「オーディエンスターゲティング」という魔法のような技術を使えば、効果がビシバシ上がるから大丈夫!といつの間にか思っていたりすると思います。しかし、本当にそんなことがあるんでしょうか?僕らも日々様々な実験をしていますが、そんなに簡単ではありません。確かに効果を上げることはできますが、データを物凄くきちんと分析して作り込まないといけませんし、それで効果を上げたとしても消化規模が小さくなってしまったりします。データマイニングの某社さんと情報交換した感じだと、彼も似たような見解を持っていたようで、なかなか技術的に難しいところだよなと感じています。
もしかしてAudience Scienceを使えば、全て自動的にこういった問題を解決してくれるのかもしれませんが、僕は使っていないのでよく知りません(まぁ、んなこたーないと思いますけど)。ちなみにAudience Scienceはそもそもブランディング広告向けソリューションで、ダイレクトレスポンス広告で求められるような効果向上については特に言及していないってXiaoさんから聞きましたが、実際のところ効果とかどうなんでしょう?
まぁ、ということで価値の低いimpを集めてしまった場合、これを商品化するのはすんごく大変になります。アドエクスチェンジでimpをかき集めて、オーディエンスターゲティングで配信すれば出来上がり!っていうことには現実的にはなりません。
■意外と知られていなかったカオスマップの本当の意味
カオスマップはもともとGCA SavvianというM&Aファームのアナリストレポートに出てきたものです。その意味は「ディスプレイ広告市場なんて80億ドルっていう小さな市場しかないのに、約1,000のプレイヤーが集まっちゃって、混沌として非効率なことこのうえないから、GCA Savvianが主導となってビシバシ業界の再統合やってM&Aのお手伝いしまっせ!」という意味です。つまり、カオスマップが示すエコシステムはアホみたいに複雑で残念なものだから、もっとプレイヤーの数もレイヤーも減らして、効率的なエコシステムを作りましょう、という文脈で語られたのです。
それがなぜか日本国内では、「アメリカではこういう素晴らしいエコシステムが構築されているから、これを目指して業界全体でがんばりましょう」となってしまったらしいです。今回のad:techでAudeince ScienceのDeniseさんが「日本は米国のマネをするな」と言っていたということが少し話題になっていましたが、それはそういう誤解が業界内にあったからなのだなぁと思います。カオスマップのようになってもいいという意見もあったようですが、それは僕は明らかに間違いだと思います。しかも、日本国内でシステムを自社開発している会社も限られており、Cookie Syncしたり、そのような細かいシステム連携もカオスマップみたいな状況だととてもめんどくさいです。
米国のエコシステムは明らかに失敗しているのです。日本はその失敗の事例を見ながら、もっとシンプルで分かりやすく効率的なエコシステムをみんなで作っていかなければいけません。恐らく国内で考えられるエコシステムは効率的ではあるものの、確かにあんまり面白いものではないかもしれませんね。
ということで、アドエクスチェンジについて現実的に考えた場合に、実現可能性を考えるとそんなに簡単ではないし、時間もかかるだろうなということをダラダラと書いてみました。悲観論とは銘打っていますが、今後このような課題をクリアをしながら、アドエクスチェンジ市場がゆっくりと成立していけばいいと思います。
恐らくこの市場はこのまま行けば、今はみんなで共存しましょうという空気で動いていますが、そのうちまた競合関係が出来てきて、戦国時代みたいになるんだと思います。その前にみんなで協力して1つのエコシステムを考案し、それぞれのポジションを全うすることが大事じゃないかなと思います。
まぁ、今回はこの
Googleのムービーが秀逸だと思いますので、こちらを見ながらさようなら。