【姿勢は動作で変化する】
〈最初の動画は去年の9月。まだ右足関節の可動域制限と痛みのため、右足に体重を乗せ、すぐに左足に逃すことでバランスをとっています。印象としても、力が入り余裕がありません。右足のロッカー機能も上手くいっていません。それと、前への推進力を稼ぎたいがために、腕を強く降って肩がすくんでしまっています。ちなみに、右に手荷物を持つのがクセになっています〉
今回、当スタジオに治療やリハビリにいらしている方の歩行や姿勢に関してご紹介します。
足首の骨折がきっかけで、悪い歩行や姿勢がクセになってしまった症例です。骨折以来、通院はしていたとのことですが、長い間(10年以上)十分な治療やリハビリを行えていなかったようです。
まだ治療の過程ではありますが、約5ヶ月で歩行が変わり、姿勢も変わってきているので、「姿勢と歩行」がいかに関連するか分かると思います。
患者さんは70代半ばの女性。
「歩くと右足首や右膝が痛い。街に買い物などには出かけられるものの長時間は歩けない。仕事も引退し、お伊勢参りで行きたいところがたくさんあるけど諦めなければいけないかな😢」という方です。
かなり長い間治らなかったようで諦めムードになっています。他にも、同じような状態の方は世の中多いと思います。諦めなければ改善はできるので、ご参考までにぜひお読みください。
以下の3つの動画は、クライアント様がお帰りになる際、意識しないように不意打ちで撮った動画です。
〈最初の動画は去年の9月。まだ右足関節の可動域制限と痛みのため、右足に体重を乗せ、すぐに左足に逃すことでバランスをとっています。印象としても、力が入り余裕がありません。右足のロッカー機能も上手くいっていません。それと、前への推進力を稼ぎたいがために、腕を強く降って肩がすくんでしまっています。ちなみに、右に手荷物を持つのがクセになっています〉
ロッカー機能に関してはコチラ
〈2つ目の動画は、去年の11月。まだ傾きは多少あるものの、右の立脚相(右足への体重移動と荷重)がしっかりしてきました。右足関節の機能が回復してきたので、荷重ができるようになってきて、ゆったりした余裕のある歩容になっています。〉
〈3つ目の動画は、今年の1月。歩容はさらに安定し、歩隔(足と足の幅)が狭まり、無駄な重心移動が減り、前への推進力を作りやすくなっています。膝と膝の隙間も狭まり、多少O脚と左肩下がりが軽減しています。まだペタペタ歩きに近いですし、トレイリング姿勢は綺麗に出せていませんが、この方のご希望は長い距離で歩けるようになることです。トレイリング姿勢が綺麗に取れなくても、健康に歩き続けることはできますのでそこは求めなくても良いかな、と考えています〉
トレイリング姿勢に関してはコチラ
動画で歩行の改善により、姿勢にも変化が出ていることが分かると思います。
クライアント様も、かなり手応えを感じているようで喜んでくれています^_^
簡潔に言うと、このクライアント様の姿勢は
「O脚・でっ尻・反り腰で左肩下がり」
となります。
しかし、歩行に余裕ができたことで、姿勢の治療をしていなくても姿勢が改善方向に向いています。
このことから、人間の姿勢は、日常の動きが反映されることが良くわかります。
姿勢を崩す大きなきっかけとなったのは右足首の骨折です。骨折治療の初期段階は整復してからの固定となったとの話ですが、その間に筋肉などの軟部組織も固まりすぎて、その後リハビリをしたものの、右足首の動きの可動域や筋力の回復がなされないまま無理やり歩き続け、身体のバランスがガタガタに崩れ、足首や膝に痛みが生じた、
という順番だったと思われます。
当スタジオでやったことの概要は、
治療で右足首の動きを作り、ある程度それが出てきた段階で筋力トレーニングやバランストレーニング、歩行トレーニングを行ないました。
※治療は、距腿関節の前後や内外の筋・腱を緩め、足根骨や足趾まで全ての動きを出します。特に後脛骨筋や長母趾屈筋(長母趾屈筋腱溝の部位)、長趾屈筋の深後部コンパートメント、膝窩筋を緩めることで上脛腓関節の動きを出すことが効果的でした。筋膜でいうと、ディープフロントライン(DFL)。経絡でいうと腎経の動きに問題があるため、相生関係から心経に関係するエクササイズを行うなど。
それと同じくらい大切と考えているのが「身体意識の促通」です。よくいう「体軸」や「センター」などがその一部ですが、それを肚に落とす為の順番も重要です。さらに改善するためには、様々な身体意識を身につけていただく必要があります。
良くなってきた手応えがあるので、3月に遠出の予定を入れたとのことです^_^今後、もっと回復していくと思います。
最後までお読みいただきありがとうございました。
追伸
ある程度詳しく、このクライアント様の症状や既往歴を載せます。
〈整形外科の診断〉
・変形性膝関節症
→右足首の方が痛い症状ですが、右膝の診断しか出ていない状態のようです。
〈主訴〉
・右足関節 歩行時痛(++)圧痛(++)
・ 右膝関節 歩行時痛(+)
・慢性的な肩こり
→主訴は、やはり右足関節です。
〈既往歴〉
・右足関節 骨折(10年以上前)
→詳細はお忘れのようですが、詳細を聞くとおそらく外踝骨折と思われます。整形外科には右膝関節の診断で通院していたが、実際は右足関節が大きな後遺症を抱えています
〈下半身のアライメントの特徴や可動域〉
・右アーチの低下による回内扁平足 、開張足、外反母趾
・O脚(立位で膝関節内反、大腿骨内旋+脛骨外旋 ミクリッツ線の破綻)
・右AS腸骨、In腸骨(ASISとPSISの位置関係、両ASISと恥骨結節の位置関係)
・右長下肢
・右足関節の可動域は、正常の半分以下。特に背屈制限が強い
・右母趾の背屈制限
→アライメントとしては、右半身に特徴が出ているが、左半分も含めた全体の問題
〈MMT〉
右足関節 底屈2+(poor+)
→単関節で力の発揮が不十分。長い間、関節可動域制限があったため、足首を伸ばしきる能力が損なわれている
〈関節可動域検査〉
右足関節背屈5° 底屈20°
内返し40° 外返し5°
→正常の半分以下。内返しは反対に不安定な程に柔らかくなってしまっている
これらは主に下半身だけですが、下行性の原因もありえるので、上半身も詳細に診る必要はあります。今回のクライアント様は背骨や肩甲骨周りの運動不足以外は問題なさそうでした。
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