金融緩和が原因で給料が上がらない。


金融緩和でお金をジャブジャブに刷っているので、そのお金が国内にひろまってしまえば悪質なインフレになる。


あれ?金融緩和って国内の通貨量を増やしてインフレにする為にやってたんじゃないの?


それが違うのです。


日銀が金融緩和を始めた本当の理由は、リーマンショックで壊れたアメリカの債権金融システムを日銀の刷ったお金で支える為なんです。


アメリカの力の源泉である経済覇権、基軸通貨ドルの債券金融システムが潰れない様にする為。

これが日銀が大規模金融緩和を始めた本当の理由です。


金融緩和で刷ったお金は決して実態経済の中には出てはいけないお金。

表では、金融緩和を行なって世の中に出回るお金を増やすと言いながら、その本当の目的はアメリカの債券金融システムを支える事。

もしも大量に刷ったお金が国内の実態経済の中に出てしまうと上にも書いた悪質なインフレになってしまう。

なので大規模金融緩和が行なわれている現在、政府と財務省の基本方針は、世の中に日銀が金融緩和で刷ったお金が出回らないように、日本国内のお金の量が増えないように厳重に管理をする事なんです。

一方で大規模金融緩和を行いながら、一方では国内の通貨の量が増えて行かないようにし続けています。

政府がこれまで行なってきた事はそういう事です。

なので表向きデフレ脱却、日本国内のお金を(の流通量を)増やす為だと新聞テレビマスメディアを使い、もう長い間喧伝されていますが、日銀が大量に刷ったお金は、労働者の給料等、日本国内の実態経済の中には絶対に反映される事はなく、リーマンショックで破綻しそうになったアメリカの債券金融システム(米国債や社債、株式等の債券市場)を買い支える為に、株、

債券価格等を維持する為に使われています。(無制限の最期のQEに入った中央銀行群  2020年3月19日
  田中 宇     


(国内株式市場で日銀自身が日銀が刷ったお金で株を買い上げるETF として株価の吊り上げと維持等にも使われていますhttps://www3.nhk.or.jp/news/html/20230127/k10013962821000.html)

この債券金融システムに流れたお金は実際の世の中に出回っているお金とは違って、債券金融市場内(債券金融システム内)いわゆるマネー取引の中でのみ動くお金なので、現実の世の中、実態経済の中に出てくる事はほぼありません。(出てこないように、世の中に出回るお金の量が増えないように色々な施策をしています。正規雇用を減らし派遣労働者を増やして企業の総人件費を減らしたり、企業が社員の給料を増やすのではなく内部留保を増やす方向へ誘導したり、一部の株主に支払われる配当金において、株主の数は日本人口全体からみると極少数のために、そのお金が実態経済に還元される事はほんの僅かで、又そのお金は金融マネー市場に還元されるので世の中の実態経済に還元される事はほぼない等色々な要因と仕組みがあります)しかし、マネー取り引き内のお金とは言っても、日銀が大量にお金を刷って供給している事に違いはないので(マネタリーベースの増大)、潜在的に(悪質な)インフレになる可能性はあり、大規模金融緩和をし続ける事によってその可能性は増大していきます。

なので円の価値が棄損される事がない様に、 インフレにはならない様に、世の中(実態経済)に出回るお金の量をコントロールしているのです。

という訳で日銀が金融緩和でお金を刷り、刷ったお金の量が増えれば増える程、財務省と日本政府は日本国内、日本の実態経済に出回るお金が増えない様に厳重に管理しようとします(プライマリーバランスを維持しようとします)。

その為に、消費税を上げ消費を減退させ、国内経済を停滞させたり、各種の税を上げたり(増税)して日本国内(の実態経済)に出回っているお金の量を減らそうと(管理しようと)します。

日銀が金融緩和をやればやる程、財務省と日本政府が日本国内のお金の量を減らそうとする力(プライマリーバランスを保とうとする力)が強くなります。


財政規律(プライマリーバランス)


「円の価値が棄損される事がない様に」と書きましたが、なぜ円の価値が棄損されてはいけないのでしょうか?


日本は日銀がお金を刷る事によって、そのお金でアメリカの債券金融システムを守る事で、ドルの価値が棄損される事を防ぎドルの基軸性を守っています。

アメリカのドルは第二次世界大戦後、ブレトンウッズ体制で世界(西側諸国)の基軸通貨(決済通貨)となりましたが、それはアメリカのドルが

世界で唯一金と交換出来る通貨(金本位通貨)となり、各国がドルを決済通貨として認めたという処から来ています。アメリカのドルはブレトンウッズ体制下では今とは違ってその価値を金と結び付けて安定させた兌換紙幣でした。

しかし1971年 アメリカ合衆国大統領のニクソンによって金とドルの交換停止が発表され、ドルはその安定性を失った状態となりました。

するとG5 G7のイギリス、フランス、ドイツ、イタリア、カナダ、日本が

為替相場の協調介入等を行いドルの価値(決済通貨としてのドルの地位)を(積極的に)安定させようとする様になり、金本位制からドル本位の変動相場制となりました。

それまでのドルの価値は金に裏付けられた根拠(担保)があり、その根拠(担保)に基づいて各国がドルを決済通貨として使っていましたが、金との交換が停止された後のドルの価値の根拠(担保)は、各国がドルを決済通貨として信任し、決済通貨として使い続ける事、(外貨準備をドル中心にする事)それがドルの価値の根拠(担保)となりました。


G5 G7の信任による根拠(担保)によって新しくなったドルは、金本位制の時にはアメリカが保有する金の量に基づいてしか刷る事は出来までんでしたが、金との交換関係が切れたドルではアメリカの金の保有量とは関係なく基本的にいくらでも刷れるお金にその性質が変わりました。

しかし、いくらドルが決済(基軸)通貨だからと言って、無限に刷り続け、そのドルを各国が決済通貨として信任し、自国の通貨と結び付けて使用しているとドルを決済通貨として使う各国の通貨や経済も不安定になり、最終的にはドルの基軸通貨としての信用が失われ、それを決済通貨として使っている国々の経済も壊れてしまいます。

なのでドルを信任するG7各国は為替で協調介入を行ったり、アメリカとの貿易で得たドルでアメリカ国債を買い、ドルの価値が下がらない様に(棄損しない様に)しました。

この様にしてG7に支えられているアメリカは幾らでもドルを刷れる様になりましたが、支えている側の国の通貨はそう言う訳には行きません。

そこで、登場するのが財政規律(プライマリーバランス)という価値観です。


金と交換制のないドルは本当はとても不安定な通貨です。


ドルを決済通貨として使っているG7の信任によって、その価値が担保されている通貨です。

基軸通貨(決済通貨)ドルの価値は G7の国々との関係で成り立っているとも言えます。

いわゆる「裸の王さま」通貨です。

「王様はカッコいい立派な服を着ている」と言っているのはG7の国々です。

王様のアメリカはG7に支えられて、裸でも何でも好きな事(ドルをどんどん刷る事)が出来ますが、支えているG7の国々が同様に裸だったら、それ以外の国々に「あいつら本当に大丈夫か? あいつらはおかしい」と思われて、ドルの信用がなくなってしまいます。

なので、ドルの基軸を支えているG7

の国々では財政の規律というものが重要になります。

近年MMT理論という経済理論で中央銀行がお金をいくら刷って世の中に配っても、それは国の借金とはならず問題ではないとする意見、考え方が出てきましたが、財務省は財政規律(プライマリーバランス)を理由に此を否定します。

しかし、この財政規律(プライマリーバランス)とはG7各国の通貨が、アメリカドルとの関係において、ドル基軸体制を支える関係性において必要な考え方と価値観であり、もしも我が国の通貨がドル基軸と関係がなければMMTの様な理論も可能なのかもしれません。

しかし先程書いた様に、G7(の通貨)とはドルを信任(担保)する為に存在しているので、財務省、日本政府は財政規律(プライマリーバランス)という事にこだわってMMTの様な考え方を否定します。


つまり、長々と書きましたが、日本政府は日銀を使って大規模金融緩和を行い、ドル基軸に基づくアメリカ覇権を支えるという金融政策を行なっているのですが、同時にドル基軸を支える為に大規模金融緩和で棄損される日本円の財政規律(プライマリーバランス)を守る為に、国内のお金の総流通量が増えない様に様々な施策を行い、それが日本の経済を停滞させている原因になっているのです。それでそのシワ寄せが労働者、国民に来ている。それが現在起こっている事です。


追記

上に書いた今日本に起こっている事は、より現在の状況を踏まえて言うと、アメリカを助け支える為に日本政府と日銀が大規模金融緩和をやり続けた結果、現在の日本政府、財務省、日銀は自分が瀕死の状態になり、にっちもさっちも行かなくなっているという状態です。

つまり、日本政府の対米従属が原因で日本が行き詰まり、

それが物価高、高い税金等で国民生活にまで及んでいるという事なのです。


以下の記事が現在の日銀の状況の参考になります。


「日本円の紙くず化」を日銀は絶対に止められない…植田総裁の「YCCの柔軟化」がもたらす悲惨な結末


https://news.yahoo.co.jp/articles/769be3b115cfa203910f5bdc3aaaa4788e794cbf













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