私はいくつかのアイテムで息子を感じている
まずは、直球だけど
「亡くなった時に着てた服一式」
2本のハンガーを駆使して、息子が着てたようにリビングに飾っている
ヒートテックの上にセーター、その上にブルゾン。
下はボクサーパンツを履かせてからズボン。
上下一式。
まるで息子がそこに立っているように。
息子の身長には少し足りないし、厚みもないのだけど、これを見ると一緒に歩いていたことをすぐに思い出せる。
これを息子だと思って触ったり、撫でたりしてる。
洋服に抱きついて、息子に抱きついていることを想像する。
息子をまともにぎゅっとした記憶は小学生の頃が最後。
生きていても、真正面から抱きつくことは拒否されるんだろうな、なんて思いながら。
淋しくて、淋しくて、息子に触れたい時にこれにすがる。
でも洋服にしか触れられない現実を突きつけられて、さらに悲しくなる。
そのアップダウンを繰り返している。
(アップしてるのか?)
次は「着る毛布」
息子が毎日ベッドでゴロゴロくるまっていたもの。
息子の匂いがたっぷり染み付いていた。
マンションから大事に持ってきて、
私はそれにくるまって寝ていた。
1ヶ月程で匂いが薄れてくると、
次は枕を追加した。
毛布同様、息子の匂いがしっかりある。
私と夫の間に縦に置いて、そこに匂いが薄れた着る毛布を着せて、私の布団に寝かせる。
まるで息子が隣で寝ているかのように。
寝る前にクンクンと匂いを確認し、優しく撫でてから寝るのが日課。
着る毛布の袖を握り、息子の手を掴んでいるつもりになる。
夜中に目が覚めた時も、朝起きる時も、布団がずれていればかけ直し、朝は静かに声をかけ、一人そっと布団から出る。
他に、
息子を感じる密かなアイテムが「蝋燭立て」
ろうそくが燃えたあとの、あの台の温もりが、息子の手の温もりに少しだけ似ている。
実際の息子の手のひらは、いつも汗ばんでいたからちょっと違うけど、それでも眠い時の、あの温かい息子の手だと思いたくて、火が消えると握りしめて目をつぶって想像する。
どうしよう。
枕の匂いが薄れてきてる。
数ヵ月経っているからさすがに超微香。
ここまで保っていることの方が凄いか?
さすが21歳、年頃男子。ありがとう。
このメインの枕には、一応サブ枕もある。
息子は枕を高くするのが好きだったから、二段に重ねて寝ていた。
そのサブ枕は紙袋に入れてタオルをかけて息子の部屋に保管している。
匂い、残ってるかなぁ?
そもそもサブだから初めから匂いが無いかもしれない。
息子の部屋に入る度に匂いの有無を確認しようと思うが、無かった時のショックを考えると勇気がでなくてまだ触らずにいる。
匂い関係はもうこれが最後のアイテム。
使ってた財布とかバッグとかもあるけど、
匂いの有り無しでは、存在感が全然違う。
もうネタ切れだ。
息子の形跡がまた1つ消えていくのが淋しすぎる。
私が日々すがっているモノたち。
淋しくて息子を探して、そんなことしか出来ないことに気付いて、さらに悲しくなって。
淋しさを紛らわしているつもりだけど、そうでもなくて。
写真や動画も見たい、いや、見たくない。
見たくないけど、見たい。
どっちなんだろ?
こんな毎日って、ずっと続くのかなぁ…?