7月10日、東京オペラシティコンサートホールで開催された「Love from Orchestra 2024」に行ってきました。鈴木愛理ちゃんが出演したコンサートです。
クラシック専門の名ホールで生のオーケストラの迫力や繊細さを楽しみつつ、愛理ちゃんの歌を聞けた、貴重で素晴らしい体験でした。

公式サイトには「クラシックの殿堂=東京オペラシティのステージで、ジャンルを超えて多才なアーティストとオーケストラで届けるコラボレーションコンサートの第2弾。普段クラシック音楽を奏でるオーケストラが、“今”共演したいアーティストに出演をオファー。招待状を受け取ったジャンル不問のアーティスト達が集い、オーケストラと夢の共演を果たす」と記載されていました。
東京オペラシティは、なかなか足を運ぶことのない、クラシック専門の本格的な大ホールなので、今回行ってみるチャンスができたわけですが、エントランスから荘厳で格調の高さを感じました。ホールは木の素材感が活かされた温かな雰囲気で、音も優しく響く感じがします。オーケストラはグランドフィルハーモニック東京で、指揮は松元宏康さん。

まず、オーケストラが登場し、挨拶がわりの「カルメン」前奏曲に続いて演奏したのは、この日の出演者の楽曲をオーケストラアレンジしたメドレーでした。正直に言うと、最初はわからなかったのですが、愛理ちゃんの「start again」が流れて「あっ!そういうことか!」と気がつきました。コンサートの「Overture」(序曲)と言った感じです。
MCはやついいちろうさん、Special guestの井ノ原快彦さんも一緒に登場してオープニングMCを務めました。
最初に登場した元BiSHのセントチヒロ・チッチさんは、詩的な雰囲気のある世界観を表現。「夜王子と月の姫」がドラマチックで素敵でした。続くサニーデイ・サービスの曽我部恵一さんの楽曲は、オケと一緒になることでシティポップのような印象を感じました。

3番目が愛理ちゃんのブロックでした。
やついさんの「クラシック音楽ファンのみなさんには、NHK『クラシックTV』でお馴染みの鈴木愛理さん」と紹介するのを聞いて、こういう現場でも必ずしもアウェーでなくなった推しの活動領域の広がりを改めて感じました。
鮮やかなゴールドのドレスで登場した愛理ちゃん、低い位置で髪を後ろで束ねているのが上品で清楚、オフショルのデコルテが美しい。
「今日は、みなさんそれぞれ応援されている方がいると思うんですが、推している方々に向けて気持ちを高めながら聞いていただきたいと思います」と紹介して披露した「最強の推し!」は、映画音楽のような華やかさと明るい楽しさがありました。
「結婚式をイメージして作っていただいた曲」と紹介した「光」は、伸びやかな歌声がオーケストラの繊細な音と溶け合って、厳かで柔らかい世界を作り出しました。
そして、「start again」がカッコよかった。「今回のために、とても壮大にアレンジしていただいた」と言っていましたが、まるで最初からオーケストラ用に書かれた曲であるかのようにスケールが大きく、それに乗ってダイナミックに歌声を響かせた愛理ちゃん。特に「何が見えるだろう 眼差しの向こう」のロングトーンは圧巻でした。
聞いていると、愛理ちゃんの歌は例えて言えば協奏曲(コンチェルト)で、オケを伴奏にしたり、背負って歌うのではなく、オケの中で声が響く感じがしました。指揮者の松元宏康さんとアイコンタクトを取りながら歌う様子も、一緒に音楽を奏でている印象を強く感じさせました。そして、ちらりと見える笑顔がまた可愛い。
歌い終わった後、次のセントチヒロ・チッチさんとのコラボの間に、オケのチューニングタイムが入って、愛理ちゃんがステージ上に残された格好になりましたが、その時の表情や仕草がナチュラルに可愛かったので、これもファンとしては見所でした。
コラボ曲の「上を向いて歩こう」はチッチさんの選曲とのことで、「これを私と一緒に歌いたいって言ってくれて、うれしいです」と愛理ちゃん。2人の声質の違いが活かされたハーモニーがきれいで、聞く人を優しく励ますようなパフォーマンスでした。

次の登場した真心ブラザーズのYO-KINGさんは、迫力ある歌声を聞かせました。曽我部恵一さんと歌った「スローバラード」が素晴らしかった。
井ノ原快彦さんは俳優としてしか知りませんでしたが、ステージに立った時のスター性がさすがで、オケとの共演も様になる感じがしました(元V6でしたね。ファンもたくさん来られている様子でした)。また、YO-KINGさん、曽我部恵一さんはそれぞれ、井ノ原快彦さんが所属する20th Centuryに楽曲提供をしているとのことで、その曲を井ノ原快彦さんとコラボ。最後は出演者全員で「BELIEVE」を披露し、2コーラス目は客席も一緒に合唱しました。

「オーケストラだと、元の楽曲とは全く別物に聞こえる」といった話もMCでありましたが、私が子どもの頃は、テレビの歌番組でも普通にオーケストラの演奏で歌手が歌っていたので、そうした懐かしさを感じたパフォーマンスもあり、オーケストラと歌がそれぞれの魅力を引き出すものもあり、良いホールに良い演奏、歌い手のみなさんもそれぞれに魅力的で、ちょっと贅沢な雰囲気が味わえたコンサートでした。

セットリスト
01.歌劇「カルメン」前奏曲(G.ビゼー)
02.Overture(出演者の楽曲をオーケストラアレンジしたメドレー)
03.向日葵/セントチヒロ・チッチ
04.夜王子と月の姫/セントチヒロ・チッチ
05.魔法(サニーデイ・サービス)/曽我部恵一
06.あじさい(サニーデイ・サービス)/曽我部恵一
07.花火(サニーデイ・サービス)/曽我部恵一
08.最強の推し!/鈴木愛理
09.光 (28/29 Ver.) /鈴木愛理
10.start again/鈴木愛理
11.上を向いて歩こう(坂本九)/鈴木愛理、セントチヒロ・チッチ
12.ENDLESS SUMMER NUDE(真心ブラザーズ)/YO-KING
13.遠い星と近くの君~HOLDING ON TO A DYING LOVE/YO-KING
14.スローバラード(RCサクセション)/YO-KING、曽我部恵一
15.トライアングル(20th Century)/井ノ原快彦
16.カノトイハナサガモノラ(20th Century)/井ノ原快彦
17.君の笑顔につられて(20th Century)/井ノ原快彦、YO-KING
18.夢の島セレナーデ(20th Century)/井ノ原快彦、曽我部恵一
19.BELIEVE/全員

(MCは演者交替時、各曲の間に入っていた)