6月30日、新宿シアターマーキュリーであったSTAGE VANGUARD「ザ☆アイドル!」千穐楽の公演に行ってきました。
宮本佳林ちゃんが主演で「2022年にスタートした舞台、STAGE VANGUARDシリーズの第二弾」「オリジナル楽曲とカバー曲を交えた新しい形のIDOL SHOW」と表現された、ライブを中心に据えた演劇という感じのステージでした。

演劇仕立てなので、公式に掲載されたストーリーを載せておきます。
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1980年代のアイドル、本宮凛花。
松田聖子や中森明菜など、スーパーアイドルたちの陰に隠れていまいちパッとしない。
ところがある日、2024年にタイムスリップ。
「ドラマとかマンガでよくあるやつだ!」
凛花はポジティブにすんなり状況を受け入れ、『Karin』と名を変え、
現代の様々なツールを駆使し、スーパーアイドルの階段を駆け上がる・・・

6つの新曲と3つのカバー曲で繰り広げられる、
芝居でもない、コンサートでもない、新しい形のIDOL SHOW!

【CAST】
宮本佳林 / えまおゆう/ 島川波菜(ロージークロニクル) / 西村乙輝(ハロプロ研修生)

公演期間:6月15日~30日

宮本佳林ちゃんによる80年代アイドルのカバーを楽しむイベント。企画内容を聞いた時にそう思い、それは間違いなかったのですが、それだけではない魅力もあって楽しいステージでした。
まず、このステージのために書き下ろされた曲が6曲あり、それらの曲をメインにストーリーが展開されていくのですが、それぞれに趣向があって良い曲でした。デビュー当時の松田聖子ちゃんの曲かと思う「バイオレット・サンセット」、80年代歌謡ポップス風で爽やかな「ビーズに願いを」、ラップも入ってタイムスリップ後を感じさせる「一万光年スマイル」、コピンクにも通じる「HANAMICHI」、感動的なバラードの「約束の愛の歌」、エンディングを飾るポップなアイドルソングの「SUPER IDOL −Especial−」。次の佳林ちゃんのシングル曲は、この中から観客の投票で決まるという企画になっています。私は「HANAMICHI」と「約束の愛の歌」に一票ずつ入れましたが、結果はどうなるでしょう?
80年代アイドルのカバーは、期待通りにとても良かったです。ただ、リアルタイムで見ていた世代としては、懐かしさを感じるというより、やっぱり「佳林ちゃんの歌」だなと感じました。あの時代の空気まではコピーできないので、そういうものなのでしょう。また、佳林ちゃんの衣装は、本宮凛花の80年代アイドル衣装(聖子ちゃんカットが懐かしい…)、Karinの今の感じのフリフリアイドル衣装、ショーケースでのお洒落で可愛い衣装の3着が見られました。
次に、共演した研修生の2人がフレッシュで、とても可愛かったこと。ロージークロニクルの島川波菜ちゃんは、顔立ちが正統派美少女でパフォーマンスもしっかりしていて、新グループに即戦力で投入された理由がわかりました。一方、ストーリー展開の鍵となる重要な役柄を与えられた西村乙輝ちゃんはパフォーマンスに加えて、キャラが面白くて個性的。「これは期待の逸材では…」と思いました。
また、共演のえまおゆうさんは宝塚の雪組トップスターだったそうで、さすがステージでの佇まいが違いました。演劇はえまおさんが「狂言回し」でまとめている感じの演出だったのですが、その存在で舞台に品格が生まれる感じがしました。歌唱シーンでは、赤いサイリウムが振られ、「ぶんちゃん!」(宝塚はニックネームで声援を送るんですよね)コールが起きていました。
そして、80年代のアイドルが現代にタイムスリップして…というストーリーはショートショートを思わせる軽妙なわかりやすさで、その中にアイドルとファンの絆を織り込んだものになっていて、グッときました。
あわせて、ステージ上で「ステージで歌う本宮凛花/Karin」たちに、実際の観客がペンライト(演劇部分は使用禁止で、歌うシーンのみ使用可)を振ったり、コールして声援を送るという、入れ子細工的な構成になっているところが、参加型イベントっぽくて面白かったです。

演劇部分が終わった後、千穐楽ということで、出演者が一言ずつ感想を述べました。憧れの佳林ちゃんと指切りするシーンがうれしかったと言う西村乙輝ちゃん、「指を切って飾っておきたいぐらい…」と言い出し、「それはやめとう」と佳林ちゃん。「半年前の私にハロプロ研修生に合格するよ、高校合格するよ、妹が生まれるよ、グループに入ることが決まるよ、宮本佳林さんと千穐楽のステージに立っているよと言ったら、腰を抜かすと思います」と言う島川波菜ちゃん、「この上半期だけで貴重な経験をたくさんできて、宮本さん、えまおさん、西ちゃんと一緒に人生初の舞台に立てたことを誇りに思います」と述べました。
えまおさんは「(研修生たちの)おばあちゃんでもよいぐらいの年なんですが、全てが人生初の初の経験でした。アイドルという文化がわからなかったんですが、アイドルって素敵だな、会場と舞台と一緒に作り上げるものだなとすごく感じました」と言い、佳林ちゃんや研修生の2人とまた会えることを望んでいると述べ、「私たちもスタッフもお客さんも、みんなが健康で終われたことが最高のプレゼントでした」と締めくくりました。
「私がいろんなわがままを言いまくったことを、なるべく実現しようとしてくださったスタッフのみなさんに感謝ですし、そうして支えていただく方、こうして来ていただいている方がいてくださったからこそ、このステージが成功したんじゃないかなと思います」と言う佳林ちゃん。「こんなに毎日ライブみたいなことするのが、楽しいんだなと思うと同時に、無茶なんだな、体力的にこんなに削られるんだと思いましたが、ここに来るとそんなことを忘れるぐらいうれしかったです」と感謝の言葉を述べました。

演劇部分が終了した後のショーケースでは、佳林ちゃんとえまおさんがデュエットで「愛が勝つ」を歌いました。もともと、えまおさんがカラオケでよく歌う曲で、今回の舞台期間中にKANさんがアップフロント所属だったということがわかり、一緒に歌おうという話になったとのこと。「みなさんも『愛は勝つ』は、ハロープロジェクトでもよく聞いたと思いますので、一緒に歌ってもらえる人は歌ってください」と佳林ちゃんが言い、「最後に愛は勝つ!」の部分は観客を含めた大合唱になりました。
ショーケース最後のMCでは「正直、この一週間、喉が持たないだろうなと思いながら始めました」と涙声で吐露する佳林ちゃん。「口パクに近い被せの音源も作っていて、いつそれを使う日がきちゃうんだろうと思いながらきたんですけど、最後まで自分の声で楽曲を届けることができてうれしかったです」と述べ、最後は「ソリスト・ダンス」でステージを締めくくりました。
歌い終わって、文字通り一人ひとりと目を合わせて指ハートを送りながら挨拶。終了のアナウンスがあっても鳴り止まない拍手に応えて、再度登場した佳林ちゃんは「また会いましょう、バイバーイ!」と挨拶して千秋楽の幕を閉じました。

【劇中曲】
01.バイオレット・サンセット
02.ビーズに願いを
03.絶対アイドル宣言(ハロプロ研修生)/島川波菜、西村乙輝
04.一万光年スマイル
05.HANAMICHI
06.青い珊瑚礁(松田聖子)
07.郷ひろみ 僕がどんなに君を好きか、君は知らない/えまおゆう
08.迷宮のアンドローラ(小泉今日子)
09.時をかける少女(原田知世)
10.約束の愛の歌
11.SUPER IDOL −Especial−


*一言ずつ感想
*写真撮影
 

【ショーケース】
11.時間の国のアリス(松田聖子)
12.愛は勝つ(KAN)/宮本佳林、えまおゆう
MC(挨拶)
13.ソリスト・ダンス
カーテンコール