内に秘めた激情を滾らせ、自らまでも焼き焦がそうとせんばかりの男が、このバンドで熾烈な戦いに挑み続けている
彼の名は平松将太郎
現Coup of the Baby(クーオブザベイビー)、
ex.Rock-onのベーシストだ
俺が知る限り、
誰よりも自分の渇望を剥き出しにして、
誰よりも血の滲むような思いで自分の道に
食らいつき続けている
あいつとの出会いは去年の4月
好きな音楽をはじめとして、言いたいことやりたいことは周りの事さえ気にかけず言動に移していく奴だった
基本的に、俺はそういう奴は苦手だ
でも将太郎に対しては
何故かそう思わなかった
冗談や悪ノリが好きで、人懐っこい後輩という一面もあったからかもしれない
でも一番の理由は、自分の願望に対する
強い意志を垣間見ることができる奴だったから
周りの人達を眺めていると、大抵はそこそこの暮らしを求め、そこそこの満たせるものがあればいい、過剰なまでに何かに対して固執するリスクをわざわざ背負う必要はない、そう考えながら生きているように見える時がある
俺はそんな空気に耐えられないことが
度々ある
そして将太郎も、そんな世界を受け入れる事に対して抵抗しているように見えていた
誰もが強烈な願いを奥底に秘めながらも、自力では変えられない現実を受け入れ、
そこはかとない諦めを携えながら生きる世界
周囲から浮き足立つ事で、嘲笑や排斥の対象、または不条理な一般論で人の心を蝕む世界
そこから逃れようとしても、その世界はどこまでも続いていて、出口はどこにも存在しない
だから、此処で戦い続けるしかないのだろう
その一つの方法が、
ロックじゃねーのかな
将太郎の家に何度か遊びに行くと、
決まって好きな曲を流したり、
ギターやベースを手に取って、このバンドのこのフレーズがカッコいいんすよ、なんて言いながらAC/DCのリフなんかについて俺に語ってくれた
あいつは昔からずっと独りでベースを引き続けて、バンドやライヴの経験は一度も無かったらしい
今まで音楽について語る相手がいなかったせいか、俺や周りの奴らに飽きるほど熱く語ってくれた
自分の欲を満たす相手が欲しかったのか?
違う
きっと“仲間”が欲しかったんだろう
自分と同じように、この世界の中で
同じ気持ちでバンドをやれる仲間を。
最初に始めたバンドがRock-on
そのメンバーの中で多分、一番仲が良かったのが吉田 空(現クーオブのgt担当)だったと思う
空は誰からもイジられて、何かにつけて面白い奴で、懐が深く冷静な一面があって、だからこそ、将太郎にとって欠かせないパートナーだったと思う
空とも同じくらい絡んできたけど、あいつもまた、その優しい人柄の中に激しさや鬱屈したものに抗うような何かを感じさせた
あの2人はRock-onの音と気迫の核を担っていた
でも、解散してしまった
強い自我は、常に対立や誤解、
そして反感を招きやすい
解散について、当事者でない俺はこれ以上は言葉を控える
それでも将太郎は立ち止まらなかった
焦燥や恨み、悔しさに苛まれながらも、
新たにメンバーを探し求め続けた
将太郎の言動に対する批判や侮蔑の言葉は時折耳にした
良くも悪くもそういう人間はどこにだっているし、ましてやその相手に対する理解が浅いなら、誰だってそんな奴になり得る
あいつ自身もそのことについて何度も自嘲気味な様子を見せていた
どれだけ傷ついたのか
どれだけ孤独だったのか
どれだけ自分も周りも憎んだのか
将太郎は先日、自身のバンドのブログにこれまでの思いを綴ってくれた
まだ読んだことの無い人がいたら、将太郎のブログを読んでほしい
【閲覧注意】ベースしょうたろうの自分語り|http://s.ameblo.jp/coup-of/entry-12151355056.html
これ読んでまだ将太郎に対してゴチャゴチャ言う奴がいるなら
もう黙れよ
あんたらの言葉よりも
将太郎と
Coup of the Babyの言葉と音楽は強いぜ
Coup of the Babyの1番最初の打ち込み音源を聴いた時、ハッキリ言うが俺もバカにしてた口だ
将太郎の加入を知って、本当にそれで
いいのか心配になって、将太郎に直接あんなバンドに入って大丈夫かと聞かずにはいられなかった
お前が言うなって話だよな
でも、変わった
自分で変わったんじゃない
彼らが、Coup of the Babyが
俺の見方を変えたんだ
後編に続く