ATOMIC GODZILLAの1st mini album
“アトミックリボルバー”が
リリースされて2ヶ月が経つ。
主な活動拠点である盛岡を代表する
バンドの1つであり、年月を経ると共に
確実に支持が広がっている。
これまでも過去2作品の自主制作音源を
発表し、ライヴと変わらない熱量がこめられた楽曲で多くのリスナーを惹きつけてきた。
ATOMIC GODZILLAを知らない方々に念のため言っておきたいのは、
“たかが地方のアマチュアバンド”という
認識を持つのは大間違いだ。
彼らはメジャーで活躍する
アーティスト達にひけをとらない
“本物の感性を持ったバンド”
そうか否かは実際に
ライヴを目にするか
この最新作“アトミックリボルバー”を
一聴してから判断すればいい。
どちらにしろあなたの鼓膜と心に
大都市を破壊していく怪獣ゴジラの如く
爪痕を残していくはずだ。
今作はすでに岩手のラジオ局でも
オンエアされており、
店舗販売を行っている
レトロブティックことりでは
初回納品分は入荷から僅か1週間で
完売している。
販売促進の為のチープな謳い文句を
口にしたくはないが、
地域を問わず多くのリスナーに届いて欲しい、届いて然るべき名盤だ。
ここからは収録曲の内容について
簡単に述べていきたい。
M1 ネガティヴ・シリンダー
ニヒリズムと鋭利なサウンドが
交錯しながら“お前のヒーローを殺す”
という必殺ワードを凜としたメロディで
叩き込むオープニングトラック。
曲名の通りネガティヴな言葉が並ぶ詞なのに奮い立たせるような力を与えてくれる
ATOMIC GODZILLAの強さが顕著に表れている。
M2 青龍刀ガール
四つ打ちビートとコミカルな言葉遊びが
中毒必至のキラーチューン。
二代目ベースボーカル上澤梨紗の加入が
バンドの進化に直結したことを証明するかのような一曲だ。
彼女の歌がゴジラに加わった事でキャッチーさを増しただけではなく、より攻撃的な表現を手に入れたはずだ。詞を担当するギターボーカル菊池拓の筆腕が今まで以上に吹っ切れ、今のATOMIC GODZILLAの充実さに胸を高鳴らせているように感じる。
M3 変形!!
ゴジラの代名詞とも言える神経が軋むようなイントロから始まる一曲。
Aメロやサビは今までのスタイルを昇華したようなグッドメロディだが、随所に新たな試みである菊池拓のラップのようにキレのある言葉の連射が炸裂する。ヘッドホンで聴くとよくわかるが、このラップパートと並行して、Lチャンネルでレイジアゲインストザマシーンを想起させるような暴力的なベースラインの猛攻ラッシュに襲われる。
M4 ○×△
“ノラ”に続く名曲バラードの誕生。
歌詞を読み解く限り、恐らくは
怪獣ゴジラに住んでいた街も
大切な人達も滅茶苦茶にされた後の
主人公の心情を綴った詞だと思う。
全てを失った後に自分の中に残ったものは何なのか、もっと自分がマシな人間だったら少しは自分と周りの運命も変えられたんじゃないだろうか、大切なものを壊していったのは果たしてゴジラなのか、それとも不甲斐ない自分なのか。
憶測を挙げると暇が無い。菊池拓の描く
世界観のレベルがより引き上げられただけでは無く、一歩一歩踏みしめながらその詞に寄り添うようにビートを刻む高橋二三弥のドラムが楽曲に雄大なグルーヴを与えている。
M5 くだらない夕暮れのクーデター
M4を聴いた後の張り裂けるような胸の痛みに光を射すような歌い出しから始まる。
歌詞にある通り、まさに
「わかるよ、わかる」なんて言われたくない僕らの為にあるような歌。
M1~M3の狂騒的な闘い、そしてM4での
答えが見えないまま迎える徹底的な喪失を経て胸を暖かくしてくれるラストナンバー。ただし陳腐な慰めや無責任な言葉は皆無で、本当に信じられる言葉だけが選び抜かれている。
“消えてしまいたいは飽き飽きだろ
変えてしまいたいって生きてくれよ
最後の3秒も”
自分自身と周囲を取り巻くネガティヴさを
リアルに描きながらもその中を生き抜き、自分が自分であるために、
そして何がなんでも死んで欲しくない
“君”のために作られたアルバム。
自分は初めてこのアルバムを聴き通した後にそう思った。
あまりにも容赦無く、
しかし生の暖かさと尊さを
教えてくれるゴジラ。
人を疑って
誰かを殺したいくらい憎んで
同じくらい自分を恨んで
明日が来る前に何もかも
終わらせてしまいたくなって。
でも。
誰もが一度は抱え込むようなそんな葛藤を
リボルバーに籠められた5発の弾丸が
撃ち抜き、その風穴の向こう側を見せて
くれる。
そしてその向こう側にある未来は
他でもない自分自身の力で勝ち取るべき
なんだと、ATOMIC GODZILLAの3人が
教えてくれているような
気がしてならない。
収録曲中の歌詞には書かれなかった、
大切なメッセージがCDパッケージの中に
隠されている。
アトミックリボルバー。
必聴の新たなマスターピース。
多くの人達に届くことを願う。
既に撃鉄は起こされている。
その引き金を引くかどうかは
あなた次第だ。