「いちばんすきな花」というフジテレビのドラマがある。昨年放送になったものだ。脚本は生方美玖。
ふとしたことから出逢った4人の男女が、自然と松下洸平の家に集まるようになる。
最終回は訳あって、松下洸平が家を元の持ち主に返すことになり、引っ越しをするというお話。結局いつもの4人が彼の家に集まり、各自所定の席に腰掛けて、この家で最後のお茶を楽しむ。
4人は席を立ち、自分のカラーのマグカップをシンク台に並べるように置く。最後に松下洸平が赤いマグカップを置いた。それから4人は窓際に行って、カーテンを外す。
4人がカーテンを外す様子を、カメラはゆっくりと矢印方向に移動しながら、4つのマグカップをイレコミで撮影している。
目ざとい奴はいるもので、「マグカップの位置が動いている。なんでだ?俺の勘違い?」と言う奴がいた。いやホント、よく気付いた。僕も気付かなかったが、言われてみて理由が分かった。ここで添付画像を見て欲しい。念のためTVerで確認してみた。並べた時は真四角に並んでいたのだが、4人がカーテンを外すショットでは、黄色のマグカップだけが矢印方向に動いている。
なぜか? 理由は簡単、カメラからだと奥になる赤と水色のマグカップが殆ど見えないからだ。だから黄色のマグカップを矢印方向にずらしたのだ。
野球では塁を盗むと言うが、映像作品ではこのようなことを「距離をぬすむ」、或いは単に「ぬすむ」と言う。撮影ではよくあることなのだ。
じゃあ、最初からマグカップを横一列に並べればいいじゃん!とはならない。4つのマグカップの並びには意味がある。添付画像の『P点』から、4人が腰掛けていたテーブルと、シンク台に並んだマグカップを見れば分かると思う。

