自分が仕事として音楽を辞める事に、格別難しい事なんかねぇよ。


彼女の温もりがこの手から零れ落ちて、

一言でも自分の名前を呼んで助けを求めてたかも知れないさなか、

自分は其れでも仕事机に向かって仕事をしていた。


裏を返せば、いつもの様にあからさまに下手な嘘な「大丈夫だから」っていう、

彼女の言葉も、彼女の事も信じていたから。


信じたかったから。


だけど、

そうした自分の詰めの甘さ、何時もは「よく当たる」と彼女に日頃言われてた自分の勘、直感も其の日は気温も36度とか、

元々、自分も体が弱い事もあり、仕事への熱中とで、

彼女が一人でいる事に気付くのが僅かに遅れた…


最低でも、テレビ電話でもしてれば… 違った。


だから、

其ういう事を考えては仕事机に向かい、音楽という仕事上、モニターヘッドホンに集中する度…


言い方が悪い様でもトラウマみたく彼女を失った日の記憶が蘇っては過呼吸と、時には涙と、其れでも無理してやる程か?


そんな仕事して、

何も守れませんでした、手遅れでしたで済まされる筈がない。


自分を許せる阿呆が何処にいる… と、2、3ヶ月毎晩泣いても、

知ってる人からしたら痛々しくとも動揺する俺は…

そんなの俺じゃない、俺がもう一人いたら、そんな俺はみたくない


そういう、虚像、型に自分を嵌め込んでたのも他の誰でもない自分。


其れも、長く続かなければ無理が祟って当然、自業自得と想われて仕方ない。


負の連鎖は続いた。


其れ迄、夢だろうと、仕事だろうと、大切な人失って、犠牲にしてまでする事じゃねぇよ… って…


崩れ落ちる様に創作意欲も、

其れまでの功績も地位も何も要らない…


何より其れは、彼女の生前に…

「其れってそんなに大事な事?」って、話してきた事。


現に、少しだけ才覚買われたら、

元いた大手事務所主催のライブ番組にゲスト出演として呼ばれ…


まぁ、言わば金の成る木、使えなくなりゃ後は知らない、の使い捨てでどんな人間が寄ってくるか(後は宗教関係やマルチだの) 凡その見当付かない程、馬鹿では無いから


そういう上辺で判断されるのが嫌いなので、程よく売れなくて良かったのは本音。


例えば、家庭を持つにあたり、お金は必要とあらば、目先のお金に目がくらんでしまう事もある。


が、

元々、事務所にいた側からすれば、其れに伴う嫌な付き合いだとか、マトモな人ほど生き残れる世界ではないのも知り、

其の上、潰しが利かないともなれば縋るしか無くなるのも芸能界。


自分が役者から、音楽だけに絞った事の一つにタトゥーというものもある。

言うまでもなく、色んな役を演じるには刺青なんぞ致命傷なので、Vシネでもないんだから、好青年的な役はまず無理。


そんな刺青だらけの奴が何を言うってところだが…


タトゥーというもの自体、いいモノではないのは事実。


とはいえ、近年じゃ特に其処迄、他人の事なんか考えなくね? ってのも事実。


強がりでも何でもなく、別に後悔無いよって言う事の一つに、抑々、精神疾患とも言えない持病の癲癇、

其れで倒れて運ばれて、当時学校側には迷惑をかけたのは解ってる。


だが、其の後が問題、

今なら… というか20年前の当時でも問題のある“差別”から「キミは無理に授業受けなくていいよ」と、挙手しての発言権さえ奪われた。


じゃねーと進まねぇ授業、苛々する反面、それを買って出てたから国語系、社会系は記憶力だけでやり過ごした自分には得意であり… 一番最初の試験で学年トップだったのもある意味では失敗だった。


昔からそう、自慢でもなければ自虐に近い。

器用貧乏で、何かと“出来てしまう”からこそ、一番になっちゃったらそこを維持するのって倍の努力要するし目標も何もない。


其処からつまんなくなって、一定の所から成長出来なかった。


まぁそんなのはいいとして…


勝手に期待しといて勝手に裏切られた気でいる大人側(当時は)は、遠回しに休学を薦めた。

要するにダブって自主退学に持ってく方向に愛想尽かしたもので。


どうせなら、と、最後には教室の一番後ろで酒飲んでタバコ吸って露骨に示し退学になる、

と、いう、あくまでそれが奇行と想われようと、嫌われようと“学校側の判断”で退学に成りたかったので。


そう決めた矢先には、即、学歴だの病気だの… 上っ面で判断する事、其れが正しいかどうか試したかった。


言っちゃえば元は勉強も出来た、

肌だって無駄に綺麗で、顔も普通、異性に困った事も別にない。


環境としては最悪でも、表向きにみりゃ育ちがいいようにも想えたかも知れない。


港区中心部に構える会社の経営者である父親と、元銀行員の母親と。


確かに言葉遣いから、人がみてない所でも自分がどう立ち振る舞うかの判断、食事のマナー、レディファーストから左利きな事なある意味では人権さえ否定され、存在する事さえ否定されて尚、ぶん殴られるほど矯正され。


反面で、哀れみとか見下し、観察とか分析には長けた、

其処から捻じ曲がったなりに試してもみたかった。自分の体を使って。


人は見た目で判断するのか、

人はみかけによらないと判断するのか。


それに、その上で本当に優しい、いい人と想われるか、も、自分次第。


恋愛なんて、例えば10人でも100人でも、そのほとんどが結婚まで至らない。

せいぜい1人2人…

ある意味では、初恋からその人だけっていうものは、離婚歴ある自分には口が裂けても言えないからある種、羨望にも近い。


天秤座の性なのか、何なのか、なるべくは公平、平等、争い事など面倒くさい、面倒くさいから神妙な面持ちで「(何食べよっかな…)」くらいにしか考えてない。(てんびん座あるあるでの後者はちょっと笑ったほど)


まぁそういうのも、取っ払っちゃえばいっその事ラクだろうなぁ、と。

卑怯っちゃ卑怯でも、ラクしたいなんて誰しも本音だろうから。


偏見抜きに「バカでーす」「試の弱い人間でーす」って書いてありゃ、嫌な奴なら寄ってこねーし、

それを弁えた上で、ギャップみたいなものが欲しかったから。


其れくらいで判断しない其の人を試して、理解示さない人間は80年生きても理解し合えないから諦めがつく。

解りやすい指標として。


タトゥーに偏見ある人が、何かの拍子に掌かえした時には笑顔の下で、凄い冷めてもいた。


「(あ、そんな事で覆っちゃう程度なの?)」って。


心から蔑み、罵倒もした。


逆に、何かしらの下心を持って近寄ってくる様な人間は、

むしろ、アシに使ったり、その辺は口八丁。


化かし合いや騙し合いはお互い様なのだから仕方ない事。


言っちゃえば、

思春期だとかにある衝動的な万引きだとか、前科として警察にお世話にならずとも、前歴のある小悪党は腐るほどいる。


当然、大人になっても裁かれない悪党も山ほどいる。


例えば大麻だったりは煙草や向精神薬なんかより依存性が全然低いので、

其れらは茶の間で皆さんが観ている様な芸能人、業界人「あ、コイツマトモじゃねーな」と、直接逢って話した中でも当然いっぱいいる。


抑々、マトモな奴ならそんな明日も解らん仕事より公務員とか選ぶでしょ。


其れらを試せてよかったのはあるけどね。

現に、上っ面の中の、二重底の中身を愛されても満たされない。


二重底にある、

もっともっと醜く深い闇に触れても愛してくれた人だけが特別。


とはいえ、

結婚とかなると、自分もそういう機会が4回ほどあった。


相手との親、それが世間体とか気にしまくる様な人なら、理解される気はないから… 自分が心痛めたのはそういう事をまだ理解出来ない幼い連れ子がいるケース。


抱き抱えたり、繋いでる手はあまり綺麗なモノではないんだよって、そういう自覚はあったから。


それでも、そういうリスクを乗り越えてこそ、自分に課した人生の中での答え、ゴールとも言えたのかな。


それは、もう、永遠にたどり着く事がないと言えるのは…


言うまでもない。


最愛のヒトとの死別。


それまでの挫折、

一生忘れられないトラウマも山ほどあるけれど、それさえも本当にどうでもいいと想うほどの挫折。


もはや、喪失感とかも生ぬるい、この世の終わりの様な絶望というに相応しい。


それだけ、奥さんを今でも愛していれば、体中埋めつくされてもいる…


ただ、そういう反面で、半ば普通の人より平静を装えたのは、交際前から難病、長く生きられない事は承知の上で愛し、告白し…


彼女なりの優しい嘘で、何度も何度も別れ話を切り出され…


まるで互いが、その事態…

今の自分に至るのが余命よりも遥かに早い事を熟知してるかの如く、

頑なに自分も別れを拒み…


後半には… 「別れなくてよかった」と言ってくれた事や、後は誰に言うまでもない色んな愛の言葉は、振り返る度まだまだ泣いちゃうから。


何事もフェアを求めるのは、さして悪い事でもない。


そう言い切れるのは、自分と、それぞれの娘様と歳の計算からしてそういう事。


女の人、子連れで再婚とかなると、親として… 女性として、を揺れ動く。


其れは相手が誰であれ事ある毎に、子ども優先にして欲しいもので、

極論、何時でも自分を取るようなヒトなら別れてた。


ずる賢さとは違う聡明さ、判断力、言葉遣いや品性、最低限のマナー、何より、自分なんかがいなくても狼狽えず生きていける…

そういう逞しさ、素直に尊敬出来る人と、

上記の二重底の、自分が気を許すほどの弱さや脆さも愛してくれた人としか結婚しなかったし。


それ以前の結婚も、2度目以降考えちゃいなかった。

…というのも、25でバツ2なんて割と奇特でまだ若かったですし。


そういう中、

最後の奥さん、3度目の正直、彼女が落ち度、一番気にしてたのは年齢差でも“こんな私”なんて言わせないところだけは、

皮肉なようでも自分にしかなかった面でもある


年上なら二度の離婚、子を亡くし、前科もあれば刺青だらけ、その上いつ倒れるかもわかんない体の弱さの何重苦。

過去2回も年上だから、自分からしたら年の差なんかより、自分のが落ち度感じて当然だから。


其れでも言えるのは、

育ちがいい様でも、其処だけは見たまんま言葉遣いも礼儀もマナーも過去に捨てた代わり、親の援助や助け、恩恵もなしに縁切ってひとりで生きて来た。


だからボクは心から笑えてる、あなたのおかげで-


って…


其れが、一番の答えだったから。

何の強がりでもない、彼女を真っ直ぐに嘘偽りなく愛している証。


彼女には自分しかいない


自分には彼女しかいない


そう、想えたのは、

前者の奥さんには悪くとも感じられなかったから。


…自分が挙げた好きな女性のタイプの、最後の「自分なんかいなくても~」というケースから外れているのも…

二人にとって、掛けがえのない命を失い、

彼女には敢えて厳しい言葉を掛けた「一生自分を許せなくて当然、じゃなきゃ親じゃない」と。


だから、それを言った自分自身、今の自分、そして是からを許していい筈もない。


其れが例え、互いにとって優しくない嘘でも、残された時間に与えられた希望は在ったし、

其れ迄、疾うに自分の子どもは諦めてた自分にも辛い事も課した。


其れが彼女にとって生きる希望に成り、一日でも長く生きてくれるなら… 自分なんかの子どもを欲する彼女と…

心の何処かで、子どもに優劣を付けてしまいそうな怖さ抱えてた自分なんか取っ払うほどに。



大袈裟な言い方、

其れは少女漫画とかラブコメ的な「誰がこんな奴と…」ってとっから入ったから、

償い切れない気持ちは生涯かけて抱き締めていく。


無論、捕らわれて欲しくないのが彼女の意思だとしても、

自分を許せる訳がない事、其れを止める権利は誰にもない事も解ってるから何を言われても変わらない。


当然、もっともっと早く出逢えてればって事も、

子ども達の手前、考えた事はなかった。


けれど、其れがお子さん連れの女性と交際や結婚を考えた事があれば何とも言えない涙する程のジレンマ、

叶うんなら“本当の父親”でありたかったよ、って。想うのは至極当然なマトモな判断。


自分第一で「自分が一番大切」と言い、自分を産んだ事を否定した親を持てば尚更…


どう想われて様と自分の子が大切に決まってる、

その子どもらが無残にも、そう何度も失っては気が狂いそうにもなる。


傍からみたら、

アンバランスな、一見したら逆な格差婚、年の差婚とか、元は遠距離だとか自分にとっては其れも課せられた試練なら遠回りでもリスクでも何でもない。

楽しむくらいの気持ちでいた。


本当は、

彼女のがよっぽど強い心の持ち主で、優しく、逞しく、それでも弱さも脆さも解ってるからこそ、

綺麗事の様でも初めて家族というものを感じれたから。


…悔いは、ない、

自分を許せない、自己嫌悪、本当の愛には怒りにも似た感情…

何か、自分には後ろめたさや、人前に立つ仕事柄の張り付いた笑顔であなたの前で笑ってないか、其れが不誠実になっていないか…


隣で眠る吐息が、何時途絶えて仕舞うか、考える度、震えて怯えて泣いて…

普段、寝起きがいいとは言えない彼女が、そういう時に限って軽く目を覚ましたのか、

抱き締めてくれたり、頭を撫でられる様は…

もう、男だからとか、大人だからとか関係ない人間の本能だった。


どんなに強く装ってる人でも、泣きたい時もあれば甘えたい事もある…

其の温もりが残り続けてる以上、他の人となんて… 其れはもう自傷行為を超越した自殺行為、

自我を殺す様なモノ、例えそんな相手が現れた所で…


「どうせ亡くなった奥さんの事忘れらんないんでしょ」とか、

もしくは悲しんだ振りでもして気を引いたり、喧嘩した拍子とかに出るのも女性という生き物。


だとしたら「当たり前じゃん。そんな忘れられる人のがマトモじゃない。それともそんな冷酷な俺をみたいのか?」と、鼻で笑うしかないですから。


だから… 今の想いは一生、抱き締めて…


自分が自分として生まれ落ちた事肯定してくれた一人に報いる事


ただただ


死ねないから生きている

過去に何度も死のうとして、現に死にかけても死に切れなかった…


結果論として

だから彼女と出逢えたとも言えるが


本当の死の恐怖が解るからこそ

彼女の本意と… 自分のそうした悪運とも言える運の強さから、もし死に切れなかった事とを全部わかっていては

其処に踏み込むまでの気力も残されちゃいない


希望もなく、暗闇を手探りで彷徨って


かといって死にそうになっても本当に救急車を呼べないほどにもなった

彼女は、病からの事故として亡くなった際、助けを呼べなかったのに


其れに気付かった自分が、助けを求めていい道理はない。


其の時は其の時、

彼女は悲しんででも、馬鹿だなぁ、本当に私の事好きなんだから… と、涙する反面、優しい笑顔で迎え入れてくれるかは、

其の時まで分からないのも、また、皮肉なものだけれど