新年あけましておめでとうございます。

ボヤボヤしてたら2025年が終わっていました。

 


昨年は想定以上のお客様からのご依頼を頂戴し、独立一年目を順調な滑り出しとできました事を、厚く御礼申し上げます。

 

 

さて本題ですが、前回のブログからの続きになります。今回は弦高~オクターヴピッチ調整となります。

 

ここでの作業は日常の基本調整と同様ですし、ストラト以外のギターも基本は同様です。是非ご参考としてみてください。

 

  最初に①

まず大事な事として、ネックは最初に調整してください。

 



皆さんは基本的にど真っ直ぐを目指す形で問題はありませんが、私個人はベストセッティングはギター個々によって分けて考えています。

 

ど真っ直ぐを目指す個体もあれば気持〜ち順反り辺りを目指す時もあります。

 

もっと言うと弦のテンション感や楽器自体の鳴り感までにも影響する箇所なのですが、これはブログで説明するには難しく、基本的にはそこまで気にする必要はないと思います。

 

「ど真っ直ぐ〜極々僅かな順反り」を目指していただければ大丈夫です。

 

  最初に②

そしてナットの溝高も大変重要です。

 



弦高は指板面に対して、ナットからブリッジサドルにかけて末上がりの状態が望ましいです。

 

しかしナットの溝高が高いとその分サドルを下げる必要が出てきてしまいます。

 

12フレット上の弦高を同じ値とした、ナットの溝高が高いギターと低いギターとを比較した時。

 

同じ弦高であっても前者の方が(特にハイポジション)弦のビビりが発生し易くなり、弦のアクションもキツく、楽器の鳴りも素直さやレスポンス、各弦のバランスも悪く感じてしまう事が挙げられます。

 

その為私が調整を承る時もまずナットの溝高をチェックし、場合によって「ナットの溝高調整」をお勧めする時もあります。

 

必須ではないですが、ここの状態次第では調整後の仕上がりが段違いとなるのも事実です。気になる方は併せてご相談ください。

 

 

  弦高調整

まず弦高ですが、これも万人に対する正解というのは存在しません。

 

私自身、同じモデルであっても個体の状態やプレイヤーのお好みに合わせてバランスを考えます。

 

それを踏まえた上で、私個人の基本的なセッティング値をご紹介します。

 

 

 

1弦…1.5〜1.6mm

 

2弦…1.5〜1.6mm(1弦と同等かごく僅かに高め)

 

3弦…1.6〜1.65mm

 

4弦…1.65〜1.7mm

 

5弦…1.7〜1.8mm

 

6弦…1.75〜1.9mm

 

 

 

私は上記を標準としてますが、大まかなイメージとしてFenderやGibsonの工場出荷時の状態と比較するとこの時点で低めと言える筈です。

 

ここから更に低めがお好きな方であれば更に低めのバランスを作りますし、高めがお好きな方であればお好みに準じたバランスをご提案いたします。


因みに私が所有しているchar Stratoは184Rというヴィンテージスペックである為、1弦は更に高く1.7mm程度としています。

 

  ​オクターヴピッチ調整

オクターヴピッチ調整ですがこれには幾つか方法があります。

 

私は"実音のみで合わせる"方法をとります。方法そのものは大変シンプルですが、実は一筋縄では合わない事も多々ありますので根気強く向き合ってください。

 

それと注意点として、チューナーはそれなりのクオリティーのモデルを使用してください。普段のチューニング程度であれば問題ないレベルであっても、セットアップ時にはよりシビアな精度が求められます。

 

因みに私はSonic Research ST-200を使用しています。(後述する「左右どちらかに動こうとする微妙な感覚」が実に分かり易いです。)

恐らく廃盤なので中古市場を見るか、他の現行モデルであれば同程度の優れたチューナーを準備してください。

 



 

 

①まず普通に全弦チューニングします。

 

②開放弦を完璧に合わせます。

(私は6弦から1弦に向かって順に行います)

 

③合わせた弦の12フレットを実音で鳴らします。

 

④(a)12フレットの方が開放時より低い場合…ブリッジサドルをネック側に動かします。

 

④(b)12フレットの方が開放時より高い場合…ブリッジサドルをエンド側に動かします。

 

※12フレット押弦時にチューナーの針が左側ならサドルも左側。針が右側ならサドルも右側と覚えれば良いでしょう。

 

 

 

説明してしまえばこれだけです。

 

ですが以下のような事象も起こります。

 

 

A. 一度合わせた後、全弦の調整が一通り終わり、しかしもう一度確認するとずれている。

B. サドルを動かしているのになかなか合わない。もしくは特定の弦だけサドルの位置が極端にずれる。

 

 

まずAに関しては開放の"完璧な"チューニングからもう一度やり直しです。

また、12フレット時に真ん中に針が位置していても微妙に左右どちらかへ動こうとする感覚を見逃さず捉えて、もう一度サドルを動かしましょう。

 

Bに関しても基本はAの対処法を取りますが、同様に11フレットや13フレットなど近くのフレットも確認してみてください。多少ズレが発生すると思いますが、12フレットに拘らず他のフレットで合わせてみると結果的に12フレットでも良い感じのピッチで落ち着くこともあります。

 

加えて弦のクセ、弦の緩み(ストレッチ不足、また過度なストレッチも原因となります)そしてハズレ弦の可能性も否定できません。あまりに極端に合わない場合は、一旦サドルの美しい位置関係を目指してしまっても構いません。


※サドル位置の参考としてください。



ハズレ弦の場合は絶対に合わないと思い、今回は諦めるという選択肢も。

 

 

そして重要な事として、最終的なチェックはチューナーだけでなく耳で行います。

 

私はハイポジションでのメジャーEコード(6弦のみ開放でOK)。そして12フレット以上での各弦オクターヴ奏法などでチェックします。

 

その時チューナーも見ますが、何よりも耳で聞いた時に気持ち悪くないかどうか、この感覚は大事にしています。

 

というのも、例えば前者のEコード。

12フレット上を人差し指でセーハするフォームになる為、各弦に加わる力がバラける事によりどうしても1、2弦辺りはピッチがシャープするなど、弦6本完璧とはいかないですよね。

 

そこで躓いても仕方ないので、大事なのはその上で気持ち悪さを感じないかどうか、、、この観点を重要視しています。(絶対音感を持っている方は多分ゴールできないのでこの方法はやめましょう)

 

 

勿論これらチェック方法含め、結果には主観による個人差が生じます。

ただ"フレッテッドの弦楽器"である以上、鍵盤楽器レベルの安定したピッチというのは実現不可能です。その上での"音楽的な美しさ"はやはり人間の耳で終着させる他ないと考えていますので、ご自身の耳を鍛えに鍛え、そして大いに信じてあげましょう。

※自信が無ければ一旦私に預けてみてください。(PR)

 

 

因みに私が過去にセットアップを施したギター(恐らく千本以上でしょうか)で、オクターヴピッチズレ等によるクレームは皆無でした。

むしろ他メーカー、他工房によるセットアップからの改善では喜んでいただいている方のみであるという認識ですので、自信を持って推奨しております。

 

しかもこのオクターヴピッチのズレというのは意外と認識できていない方が大半です。

私のセットアップの後ふとした瞬間に気が付くそうです。

「最近、和音が綺麗に聞こえる」

「ハイポジションでのリードフレーズが安定して気持ちよく聞こえる」など。

 

これまで不満はなかったけどとりあえずやってみるか、という動機であっても結果でお応えできると思いますので、是非ご相談ください。

 

 

勿論、ご自身でやってみたいという方も本ブログを参考としていただき是非挑戦してみてください。

 

 

次回はピックアップのセッティングを予定しています。ご期待ください。



お仕事ご依頼やご相談はメールにてお待ちしております。

RX-Guitar Lab 宇佐川 慎一