口にいひ身になすまては其れながら
心よりせぬ道やことなる
三輪執斎の『覇術』と題する詩です。佐藤直方の門下で朱子学を学んだ三輪執斎は、後に陽明学に転向しました。三輪執斎の話を聞いた人は、皆心酔したと言われており、中江藤樹の故郷である近江の小川村で地元民に学を講じた際は、聞く人が皆感涙し、藤樹の再生と評したと言います。
◆徒然日記
以前、看護師をしている方から聞いた耳を疑うような話があります。心肺停止した入院患者さんがいて、その看護師さんは、医師の指示でご家族に連絡を取ったそうです。更に、医師からは、ご家族の方が病院に着いたら報告するように言われたそうです。暫くして、ご家族の方が到着されたので医師に報告すると、事務作業をしていた医師は、心肺停止した入院患者のところへ行き、必死になって心臓マッサージを始め、「最善を尽くした」ふりをしたというのです。
もちろん、このような医師は、ごく一部で、ほとんどのお医者さんが使命感を持って仕事に従事されているのでしょうが、この医師のように、言っていること、やっていることが同じでも、心からやっていないことは仁術とは言えません。他山の石として、自分自身も戒めていきたいものです。
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