チャプター1最後の音楽番組の公開が終わって、私たちが知っている今の所の7人でのお仕事はこれでなくなりましたね。

 

直接的に動くのかどうかわからない万博の大使や、CM各社の契約もまだ残っているだろうし、携帯ゲームの公開もまだ控えてはいるし、そんなに急にパタリと寂しくなることはないのかなぁ・・でもやっぱり寂しく感じるんだろうか。

 

そんな中、メンバーのインスタは久しぶりに全員稼働中で、まぁまぁお留守だったジミンも来てくれたり、逆にナムジュンは少し減ったり(本当にスイス?)、ジョングクがとうとうタトゥを見せてくれたり、変わらずのペースの人もいたり、インスタが開設された時に本国のアミが若干騒ついた事が本当になった今、それでもやっぱり開設してくれて良かったなぁ、と思います。

 

 

ジミンが会食の中で、「アイデンティティを今になって見つけようとしている」と言っていた。

「僕たちがどんな歌手としてファンの記憶に残りたいか」とも言っていることを踏まえると、これは防弾少年団として、どんなアイデンティティの認識があるか、ということだと思う。

 

私は「アイデンティティ」という言葉をちゃんとと意味を知らないまま使っているような気がするので、しっかり考えたくて調べてみると

 

「自己が環境や時間の変化にかかわらず、連続する同一のものであること。主体性。自己同一性」

 

と出てきた。

 

あれ?思ったのと違っていた。(お恥ずかしい)

 

どちらかといえば、私はアイデンティティは存在意義、のようなものだと理解していて。

自分は何者なのか?なぜ今自分がここにいるのか?なぜ生きているのか?というようなことの答えだと思っていた。

 

だからそれは時間や環境や自分の成長と共に、変わっていくものだし、見つけていくものだと思っていて。

 

これを読むと、逆だった。

 

「変わらないもの」

 

彼らはそのアイデンティティがわからなくなったのだろうか。

そもそもアイデンティティについて考えたことがなかったということなのだろうか。

 

だからジミンの言うとおり、今考える時が来たのだろうか。

 

防弾少年団のアイデンティティってなんなのだろう。

 

「変わらないもの」

 

その筆頭はやはり「音楽」なのではないでしょうか。

 

 

今回の決断をするにあたって、きっとこのアイデンティティについても話をしたと思っていて。

 

でも、当たり前のことだけれど、防弾少年団としてのアイデンティティと個人のアイデンティティは違う。

 

ただそれが合致しているんじゃないかと感じるのが、ユンギとジョングクで。

 

この決断を聞かされるよりももっと前から幾度となく2人の腹の座り方については書いてきたので今更書くまでもないけれど、会食でこのジミンの発言を聞いてまた、あらためて確信したというか。

 

会食でのユンギとジョングク。

どちらを見ても、その言葉や表情からは「どこでも、何者でも、音楽は出来る」というような安心感を感じた。

 

自分が防弾少年団の一員であっても、ソロであっても、ユンギであってもSUGAであってもAgustDであっても、ジョングクであってもJung KookであってもJJKであっても、音楽をしたいという欲に変わりはないし、音楽さえ出来ればそこに肩書きはあってもなくても良い。

 

ただ良い音楽を作れる環境があれば。

 

自分が誰であっても良い音楽は良い音楽として評価される。

どこの誰が作ったか、ではなくて。

 

現実は、誰が作ったか?はおそらく大衆音楽においては重要だと思う。

それでも、2人の中では音楽の可能性を心から信じているように感じるし、何よりも、自分が出来る事は他にはない、という確信を持っているように思う。

 

だから、一見夢見がちなその音楽への可能性を、心から信じられるのだろうと。

 

かたや、ナムジュンはどうでしょうか。

ナムジュンも音楽に魅せられ、音楽を愛し、人生を賭けてきた1人だと思う。

でも、今は音楽を信じられなくなってしまったように感じていて。

 

自分が納得のいっていない音楽が、世界でトップに上る。

それも一曲だけじゃない。

 

この矛盾を解消できずに、何が正しくて何が間違っているのか、自分がしたかった音楽はなんだったのか?

そもそもこの曲は自分の曲なのだろうか、自分の名前が載っているだけの作品のように。

 

どこかで音楽への期待が裏切られたように感じたとしてもおかしくないんじゃないかなぁ、と思う。

 

割り切れたユンギとジョングクとは対照的に。

 

それはチームの中で置かれた立場が当然違うし、ナムジュンの防弾少年団の音楽への貢献度、責任感の違いは相当に大きかったはずで。

その分落胆も大きくくるはずで。

 

 

この会食の中で、ナムジュンもユンギも「歌詞を出すことが難しくなった」と言った。

 

私はユンギの「2013年からずっと大変だった」という言葉に少なからずショックを受けてしまったのだけれど、思えばユンギはずっと大変だ、って言っていたような気がするのだ。

 

お小遣い稼ぎのために作っていたことだってあったし、作業をする理由を「暇だから。他にやる事がないから」だと言っていたのだった。

 

あの日、ほぼ同じ意味の言葉を防弾少年団の柱のPDである2人から聞いたわけだけれど、ナムジュンとユンギでは意味が違うように思う。

 

ずっと大変だったユンギと、大変になってしまったナムジュン。

 

圧倒的に切実で勝手に漏れ出てしまう苦しい胸の内を明かしたのはナムジュンだったと思うのだ。

 

同じ言葉を発していても、ユンギのそれは受け入れている人の言葉で、ナムジュンのそれはまだ受け入れきれていない人の言葉だったと思う。

 

だから、ユンギが比較的さっぱりしていて、清々しさすら感じるように思えたのは、大変だけど辞められない、大変だけど音楽が好きで、大変だけどもっとやってみたい音楽がある、っていう前向きな気持ちを持っているからなんじゃないか、と思う。

 

それはジョングクでも同様で。

ユンギと違うのはジョングクはまだこれから、だってこと。

完全にチームに軸足をおいてパフォーマーとしての努力をし続けてきたジョングクが、これからはクリエイターとしての時間も増えていく。

あんまり器用じゃないタイプなので、あれこれやりながら、では自分の満足のいく作品は作れない。

だからひとつのことにじっくり向き合える時間が増えることは良いことしかないと思う。

その期待のワクワク感で、ユンギとはまた違った清々しさというかキラキラ感があったように感じる。

 

もちろん編集が入っているので絶対とは言えないけれど、この日のジョングクは一度も「辛かった」と言っていない。

ネガティブなエピソードについても言及せず、難しかったよね、くらいに留めていて。

 

泣いている姿がセンセーショナルに何度も報道で使われたと思うけれど、あれは自分が辛いから泣いてるんじゃないことはファンならすぐにわかることだと思う。

 

ジョングクは自分が辛いと思ったことはなく、ヒョンの辛い顔を見るのが辛い、とかつて言ったけれど、きっとあれは未だ変わっていないんだね、と感じる姿。

 

このパンデミックの渦中でジョングクは、抗っても仕方のない状況でどうすれば前向きで生きることができるか、の答えを得たように思う。

 

最近のジョングクの発言を鑑みてもそこにあるのは「音楽への情熱」であったことは疑いようがなくて、それがあの日のジョングクの立ち振る舞いにつながっていると思う。

 

だって、メンバーの中で唯一はっきりと「期待して欲しい」と言ったのはジョングクで、「また戻ってくる日が絶対にくる」し、「もっと成長しているはずだから心配しないで」と言ったんですよね。


これってヒョン達がこぞってジョングクが大人になった、と目頭を熱くしていたけれど、本当に立派だったし、本心だと思う。

 

ユンギも「解散するわけじゃあるまいし」や「少し離れることは必要だよ」「こうするしかなかった」というような一見ドライに聞こえる発言を挟んできたけれど、これもまたしっかり受け止めて最善の答えを出したことへの自信なのだと思う。

 

そして印象的だったのは2人ともが「時間はまだまだある」というような発言をしている事。

 

「アイドルとして生きよう」としている人にとっては「限られている」と感じているであろうその時間を「音楽と共に生きる」という考えにシフトできたのならば、その時間軸が変わる。

 

アイドルだとしたら限られた時間かもしれないが、音楽を愛する人間としてなら一生分の時間が残っているのだから。

 

それに気がついた2人。

 

ユンギとジョングク。

 

2人が同じように清々しく今回の決断を受け入れているように感じるのは、先述した通り、防弾少年団としても個人としても揺らぐことのない同じアイデンティティを持っているからだと思う。

 

だからいつだって戻れるし、離れている間もその自己のアイデンティティをしっかり持ってしっかり磨いておくことは、間違いなく防弾少年団としてのアイデンティティをより強固にするものだから。

 

だから、あの2人はこの決断に対して不安が全くないように見えた。

自分がやりたいことが自分のためでもあり、その経験は防弾少年団に間違いなく還元出来るという確信。

そして彼らはまだ若い。余りある時間。

 

 

 

リーダーが「期待に応えられなくて申し訳ない」と言ったのに対して、マンネは「期待して欲しい」と全く逆の事を言ったこの事実は、防弾少年団にとって希望だったんじゃないか、って思う。

 

そんなに大きな意味を背負ってジョングクが発した言葉かどうかはわからないけれど、それまでのメンバーの発言から、「私たちの期待が彼らの苦しみの元凶だったのではないか?」と感じてしまった私にとっても、それは大きな希望と救いの言葉だった。

 

ややもすると悲壮感すら出てしまいそうな雰囲気を、ギリギリ希望へと持っていってくれたのは、それまでヒョン達の話をもぐもぐしながら頷いて大人しく聞いていたマンネだったのだ。

 

これがチームとしての希望じゃなかったらなんなんだろうか。

6人のヒョンが育てたジョングクがどんどん大人になって、ヒョン達の辛い時に希望になって。

あぁ、胸がいっぱいだなぁ。