あらためて聴いてみて、感じたこと。
この曲は「期待に100%応えた」曲だと思う。
今BTSにはこんな姿が求められている、と考えた結果だと思う。
もちろん、こうでありたい、と考えた結果でもあるかもしれない。
ハッピーでピースフルでキュートで、明るい王道ポップスに乗せて歌い踊るその姿には様々なメッセージが込められていて。
Butterの発表プレス会見でユンギが「求められている音楽をすることは当たり前」と言っていたのはまさにこのことなんだと思った。
ここからは私が勝手に感じていること。
全然違う気持ちの方もいると思うし、これから書こうとしていることを不快に思うかもしれない。
でも、正直に言いたい。
BTSは変わった、と思う。
わかっている、元々ウリバンタンなんかじゃないってことは。
勝手に好きになって勝手にイメージをつけて勝手に応援しているだけだと。
でも、この、私たちのBTSではなくなってしまったような、遠くへ行ってしまったようなちょっと寂しい感じを持ってしまうのは本当だ。
だってあのMVを見たらわかってしまう。
あの曲を聴いたらわかってしまう。
彼らは、もうアミだけに向かっては歌っていない。
全世界の人たちに向かって歌っている。
BTSを知らない人にも届くように、そして世界中に届くように。
それに気がついてしまったから寂しい。
それは否定しない。でも、これだけは言える。
「変わってしまった」のではなくて、自ら目的を持ってプライドを持って、「変わった」のだ。
元々、メッセージ性を持って変わり続けて大きくなってきたグループだ。
今までも散々書いてきている通り、それがBTSの使命だと思う。
BTSにとってこのコロナ禍は予想していなかった転機になった。
コロナがなくても遅かれ早かれこうなっていたと思うけれど、このことで加速したと思う。
先の記事で、「こんなこと今のBTSじゃなきゃできない」と書いたのはそういうことだ。
人種も性別も言語も宗教も、何だったら様々な業界の凝り固まった古い考えや、国家間の社会的な問題さえも超えて平和のメッセージを送ることが出来るのは今やBTSだけではないか。
いや、発信するだけなら誰でもできる。
でも、決して押しつけではなく、声高に叫ぶのではなく、ピースフルに、ハートフルに、わかりやすく、それこそバターのように滑らかに大人から子供まで届けることが出来るのはBTSだけなんじゃないか、って思うのだ。
それをわかっている、と思う。
自分たちがそういう存在になったことの自覚はあると思う。
でもそれに実感はないかもしれない。
メンバー全員の思いの強さが揃っているかどうかもわからない。
事務所の大人たちの意向があることも間違いなくて、無我夢中でやってきたらここにいたのかもしれない。
ただ、もう降りられないところまで来ている。
「落ちても着地の仕方はわかっている」という歌詞がある。
今回の曲の制作にメンバーの名前はないが、ここに覚悟が現れているように感じる。
最近のインタビューなどで、彼らが「たくさん話し合いをした」と言っていた。
これからのこと、どの方向性で行くか、話し合ったのだろうと思う。
そして出した答えが、Butterであり、Permission to Danceなのだ。
だからこれからもこの方向で飛び続けるのだと思うし、私はいつか来る落ちる時も一緒に着地したいと思う。
きっとこの寂しい気持ちを持ち続けてしまうけれど、でもそれと同時に彼らの覚悟を受け止めたいと思うから。
この曲は聴けば聴くほど難しい曲だなぁ、と思う。
この軽快なポップス、安っぽくならず上手く歌うのは本当に難しい。
この振り付けを、上手く見せるのも難しいと思う。
この曲調でこの内容の歌詞を上滑りすることなく、受け入れてもらうことも難しいことだと思う。
でも、想像が出来る。
世界中の人たちがこの曲を受け入れ、好きになってくれ、世界中の街のあちこちで歌い踊る姿を。
そうしてまたたくさんの人たちの心を明るくして、たくさんの苦しんでいる人たちを救うのだろう。
彼らはそれを望まれているし、それが出来る人たちだから。
何よりそれをする、と決めた人たちだから。