言葉にすることで初めて自分の気持ちに気がつくことってとても多い。

このブログもまさにそう。

コロナ禍によりリモート勤務になって時間ができたことで始めたこのブログ。

始める前は書くことなんてあるかしら?と思っていたけれど、いざやってみると全然ある。

そして、書き始めると自分でも意識していなかった想いが出てくる。

着地点が全然違うところになってしまうこともしばしばあって、自分自身でも驚く。

 

この、敢えて言葉にすることってとても意味がある気がする。

「話す」と「書く」

同じ言葉にする作業でも、これがまたちょっと違って。

どちらも必要。

 

私がブログを始めなかったらこんな風に想いを言葉にすることはなかったと思う。

その結果、他の人から言葉をもらえるという嬉しいプレゼントまでついてきた。

 

これをずっとやっている人たちがいる。

そう、BTSだ。

 

BTSのさまざまなコンテンツの中でいつも私の印象に残っているのは、手紙やお互いのことを紹介したり、自分のこと話したりするシーン。

言葉選びやその話し方にその人の性格や想いが見えるから。

 

今の心境や苦悩、今まで聞いたことのなかったエピソードや、あの時あんな風に思っていたんだ〜みたいな新しい発見や、意外なメンバー同士の繋がりや、想いが聞けて、ファンとしては本当にありがたい。

魅せ方としてとても良いコンテンツで、ファンを喜ばせる営業としてもよく出来ていると思う。

 

でも、もうひとつ大きな意味があって、実はそちらがメインではないかい?と思う。

というより一石二鳥だよね、って。

 

言葉にすることで気がつく自分の気持ちがある。

そしてその気持ちって自分でもびっくりするようなことだったりもする。

 

とさっき書いたけれど、これをメンバーに経験させているのだと思う。

「経験させている」とか書くときつい表現と思われるかもしれないけれど、BTSのこの成功の物語ってパンシヒョクの人(子)育てとイコールと思っていいと思っている。

BTSの物語は、メンバーの心理的成長と紐付いているからこそリアルで、だから世界中の若者が同調し共感したのだと思っている。

 

パンシヒョクがBTSの成功の理由を聞かれたインタビューでこう答えている。

「防弾少年団の音楽は防弾少年団の内面の話をしなければならない。それ以外は自由」

 

BTSの使命はメッセージの発信者になること、のような気がしていて、そのためには発信し続けなければいけない。

それをコンテンツを利用し、ファンを喜ばせながら、実はメンバーにその経験をさせていると思う。

 

デビュー当時のアミへの手紙なんて、本当に文章も拙くて、そしてそれを読むのをとても恥ずかしがっている。

 

そこからこの8年、ことあるごとに節目節目でお互いの気持ちを手紙にしたり、記念日では必ずローリングペーパーを作ったり、気持ちをアミへ向けて綴ったり、自分へ向けたこともありましたね。

 

そして今、どうですか?

当然のようにインタビューに答え、当然のようにメンバーへの気持ち、アミへの気持ちを堂々と話す彼らの姿。

自分たちの中にある苦悩もさらっと話すシーンが増えてきているとも思う。

 

先述したパンシヒョクの発言には続きがある。練習生の時から言い続けていたこと。

それは

「全てチームで考える」

「喧嘩を恐れるな。ただし喧嘩を2人でしても解決は7人ですること」

だそうだ。

 

これをメンバーが実践している姿、私たちでもわずかながらビハインドやmovieなどでも見ることができますよね。

喧嘩をしても解決は7人で。

チーム内の喧嘩の原因って、1人だけが思っていることじゃないことが多くて。

たまたま言った人と言われた人が喧嘩になるだけで、実際は他の人も言わないだけで思っていることだったりもする。

だから、必ず解決は全員で、っていうのは、起きた問題を全員で共有することで、言わなかっただけの人の心の整理もさせる素晴らしい方法だと思う。

 

それと同様に、ことあるごとにコンテンツとしてある意味仕事としてはっきりと言葉で表現させることをしてきた。

それを個別ではなく、全員で共有していることにとても意味があって。

全員の前で読ませたり、全員の前で言わせたりする。

このことで、さっきの喧嘩のような問題ではなく、何気なく心にあることも吐き出して、それを全員で共有することも「すべてチームで考える」ための大きな助けになると思う。

 

またこの言葉にする作業とプラスそれを読む作業が合わさっているところも本当に良い。

この作業に慣れて上手になった今でも、読んでいて泣いてしまうこともあったり、聞いている方も感動していることもあるし、その他のメンバーがそれをどんな風に見ているかなど、とにかくこの作業をすると感情が絡み合うことにどうしてもなる。

書いてる時は平気でも実際に声に出して読むと感情が湧き上がってきてしまうことって多い。

その湧き上がってくる感情を見せ合うこと。その感情に対して他の人がどう思っているのかを知ることは仲間としての安心感に繋がっていると思う。

 

大抵の人は他人が自分と同じ気持ちでいることにとても安心感を持つ。私はそうだ。

同じものを見た時、同じ経験をした時、その受け止め方が似ていたり、何か障害が起きた時、自分だけがそう思っていたわけじゃなかったんだと思えることが孤独にならずに済む手取り早い方法だと思う。

現在これだけSNSが普及して発展しているのはそのせいだと思っている。

顔も知らない誰かさんの言っていることが自分と同じなだけで救われるんだから、これが生活を人生を共にするメンバーだったらどれだけ救われるんだろう。

直接聞くことはできなくても、こうやって節目節目にメンバーの心の内を聞ける機会があることは本当に素晴らしいと思う。


幸せなことを共有することは簡単かもしれないが、苦悩を共有することはとても難しい。

メンバーならうっすらと感じることはできても、本当のところはわからないし、基本的には人に言いふらすようなことでもない。

だから、こうして強制的にある程度吐き出す機会を持っている彼らは強い。

 

BTSの大きな魅力のひとつが7人の仲の良さ。

でも最初から今のような良好な関係だったわけではない。

今見ていても全員が違う性格だし、個性が強い。

だから出会った頃お互いを認められず衝突を繰り返していた、とことあるごとに話をしていますよね。

その7人がどうやって今の関係になれたのか?の答えはこれに尽きるんだと思う。

 

「Speak My Self」

まずは自分たちの音楽に織り込んで、次は身近な人へ、そしてその周りの大人たちへ、そして世界へ。

そうやって少しずつ外へ向けて表現を拡げていった結果が今のBTSの立ち位置なんだと思う。
 

ユンギが「嘘はつけない」と言ったことがあったが、彼らが生きている世界は虚像にまみれた芸能界であり、その中でそうあり続けることはとても難しい。

だから、全員で守り、全員で支え合わねばならない。

その時に必要なのは信頼関係。お互いが嘘をついていないと信じ合えてこそ、チームとして戦える。

その信頼関係が私たちにも見えるからBTSはBTSなんだって思う。

 

私は素晴らしい人たちに出会えたなぁ、と思っている。

彼らの成長と時間を共に出来ているこの奇跡に感謝したい。