新宿西口で情宣。
こんな話をした。
『新宿駅西口をご通行中の皆さま。こんにちは。お勤めお疲れ様です。お急ぎのところ大變恐縮ですが、しばらく私共の話をお聞きいただければ恐縮に存じます。
現在、御皇室のお世継ぎについて、テレビ等で盛んに論じられてゐます。皇太子ご夫妻には男のお子様がいらっしゃらない、皇太子様の次の天皇はどうするのか、ということです。
そこで、愛子様が天皇になったらいい、と多くの人が言います。
しかし、本當にそれでいいのでせうか。
天皇陛下となれば、男性であっても「激務」と言われるほど様々の御公務をお勤めになる他、宮中のお祭りをして頂く事となります。必ずご本人でお勤めいただかなければいけないお祭りだけでも、年間三〇以上にもなりますが、もしご懐妊されることがあっても、今のように冬には寒風に吹かれながら、身重のお体でお勤めしていただかなければいけないこととなります。
もし愛子樣が天皇陛下となれば、天皇としてのお姿が期待されるほか、女性であられますから、自然に国の母としてのお姿も求められます。
国の母であることがどれだけ重いことであるかは、ご結婚されてから、失礼ながらあんなにやせられてしまった今の皇后陛下や、また現在の雅子さまのお姿からも想像されるかと思いますが、女性天皇であれば、その上更に天皇としてのお役割を求められるわけです。
そのやうな過酷なお立場に愛子様に立っていただくことが、本当に私達の望みでせうか。
また、愛子様が天皇となられた場合、その御結婚相手はどのように選ばれるべきでせうか。
過去八人の女性天皇がおられましたが、その全員が未亡人か、天皇の位にある間は未婚であられました。つまり皇室は二千年以上の歴史の間、一般の男性を皇族として迎えることは、一度もなかったということです。現代にあって、愛子様に生涯独身で居ていただくことを求めることは出来ません。愛子樣が、天皇となられれば、一般男性からその御結婚相手を求めるしかありませんが、女性天皇の夫として、つまり新しい皇族として相応しいような、一般男性が果たしているのでせうか。
また、現在の宮様もその全てが女の子のお子様しかおられませんから、女性でも宮家を創設できるやうにしやうと言われています。それも認めれば、皇室に次々に一般男性が入る事となります。素直な感情として、私たちはそれを受け入れられるでせうか。私たちは一般女性であられた美智子様や、雅子様や、また紀子様がご皇室に入られることを大きな喜びとして、お祝いしました。しかし逆に一般男性が次々に皇室に入ることを、素直に受け入れられるでせうか。私たちはさういふ皇室を求めるでせうか。
愛子様や雅子様は、私たち一般の国民と違い、あらゆる自由が制限される御存在です。選挙権はない、職業選択の自由はない、住所選択の自由もない、ご結婚の自由もない。国民からのあらゆる訴えをお聞きにはなりますが、ご自分のご希望を訴えられることはできない。また、その御生活は決して贅沢などではなく、イギリス王室の予算などは御皇室の予算の千倍にもなります。さういふ御環境を全て受け入れられて、ただ、国民に尽くして下さる御存在が、皇室です。ですから、私たちがご皇室の存続を願うとすれば、せめて国民としては、安易に女性天皇という新しい制度を押し付けるのではなく、雅子様や、愛子様に今以上のご負担をお掛けしない為にはどうしたらよいか、真剣に考えることが道にかなったことではないでせうか。
さて、さうはいいましても、現実に皇太子様の次の世代の後継者は居られないのであります。紀子様がご懐妊されまして、もちろんお生まれになるのが親王様であれ内親王樣であれ、心から喜ばしいことですが、やはり内親王樣であられれば、後継者は居られないこととなる。
愛子様に天皇になって頂かないのであれば、どうしたらよいか。
皆様は旧宮家のことをご存知でせうか。先の大戦の後、日本が占領されました時、十四の宮家があつたのですが、占領軍はその十四の内、十一の宮家の財産を丸ごと没収しまた。資産が全くない状態では、宮家として存続することは不可能ですから、その十一の宮家は全て、やむなく皇室を離れざるを得ませんでした。
その旧宮家には、現在十数名の男系男子がおられます。
もしいよいよ本当に、後継者がをられない、という事態になれば、この旧宮家の御復活といふ手段があるのです。或いは、現在の皇室に養子としてお迎えするということも考へられます。
つまり、愛子様と同じ年代の方も三方おられるのですが、それらの方の中から、愛子様のご結婚相手となって頂き、皇太子樣の後を継いで頂くのです。その場合愛子様は、皇后陛下となられるわけです。
旧宮家といいましても、御皇室を離れる経緯が、このやうに占領軍による強制といふ経緯でありましたから、当時の宮内府次官は、皇室を離れられる宮家の方々に対し「皇位を継ぐべきときが来るかもしれないとの御自覚の下で身をお慎しみになっていただきたい」と申し上げてゐます。また現在も御皇室との関係は深く、先日の紀宮様の結婚式へも、旧宮家の方が多数出席なされました。
過去の歴史にも、一度皇族の身分を離れなれて、その後皇族に復活し天皇として即位された方は実際におられます。
現段階では、皇太子様もまた秋篠宮様もおられるわけですから、ことは急を要することではありません。これから長い時間をかけて、過去の二千年の皇室の歴史を振り返りつつ、歴代の天皇皇后両陛下が、国の父として母として果たされてきたお役割を改めて学びつつ、御皇室の存続の為の、最も理想的な手段を考えてゆくべきだと思います。
この急ぐべきことはないことに関して、大變急いでいる方々がをられます。この問題に関して話し合はせる為に「有識者会議」というものが、小泉総理の私的機関として創設されました。それはいいのですが、この重大な問題に関してこの會はたつた三十時間の審議で結論を出しました。一企業の一プロジェクトでさえ三十時間程度の話し合いで、どれほどのものが作られるでせうか。まして、一つの国の二千年の伝統をいかに守るかを話し合ふのに、これは足りるやうな時間でせうか。
案の定、出された結論は見るに耐えないものでありました。
女性天皇容認と言ふ。しかし、女性天皇が追わなければならない重圧については考慮された形跡がありません。
旧宮家復活は国民感情が受け入れないと言ふ。では歴史上一度もなかった一般男性の皇室入りは受け入れられるのでせうか。
「歴史や伝統については、考えませんでした」と言ひ、さらに「私たちが歴史を作る」と言いました。
小泉総理は、この報告書通りに法律を制定したいと言っています。私はそのことに反対です。どうすれば理想的な形で、雅子さまや愛子様に過酷な負担をお掛けしない形で、また国民が納得する形で、皇位の継承が成しえるのか、もっと時間をかけて、政府と国民で考えて行くべきであると思います。』
(情宣用に分かりやすくする為に、一部厳密な事実とは異なることを言つてゐます。)
心にあつたのは、真理を知つたとき辻に立たずにいられなかつた日蓮の姿である。
しかし、情宣は語る内容を用意することへ追い込まれるのがよいが、(日蓮ほど聴衆から反発されても困るが、)やはり反応がほとんどないのが正直空しい。愛子様のことを中心にして、なるべく平易な説明を心がけたが・・。ごく一部の関心層ではなく、全体の無関心無感動の新宿通行者に、真に届く言葉はあるのだらうか。
違ふ話。
占領軍は、沖縄戦、硫黄島戦、特攻隊を恐れた。それを生んだものを解体したいと考へた。それは天皇であると見ていた。しかし、天皇の廃止は国民感情に鑑みてあり得ないことを知り、逆に秩序ある占領の為に天皇を利用することを決めた。
だが、同時に、時間と共に皇室が消滅することを仕組んだ。それが11宮家の臣籍降下と華族廃止である。これによつて、皇室はその藩屏を失ひ、天皇陛下は、周りの木を刈られ直接雨風にさらされる一本の巨木となつたのである。
秋篠宮御一家の御写真が事務所に飾られた。真子様佳子様の立ち姿のなんとお美しいことだらう。14歳と9歳の姉妹は日本に何千何万組みもあらうが、そのどれも、かく姿にはなり得ない。この「文明の末期」と評される吾が国の世情において、まさに孤高である。御皇室は、国民の品格を代表してくださつてゐる。唯一御皇室において、日本は品格を完全喪失するのを免れてゐる。御写真を見て、その御皇室が負つてくださつてをられるご負担に對し、ありがたく申し訳なく思ふと共に、国民の品格を率先して体現する層としての華族が失はれたことを、つくづく寂しく感じ、国家の痛恨の痛手と感じた。