映画『花まんま』を観た。



正直に言うと、

泣くつもりはまったくなかった。


設定はどこか現実離れしていて、

お笑い要素もあって、

「ちょっと不思議で、あたたかい話なんだろうな」

そのくらいの気持ちだった。


それが、結婚式のシーンで完全に崩壊した。

ボロ泣き。

多分、友達の結婚式で泣いた回数より泣いた。


理由のひとつは、鈴木亮平の演技。

あれはもう「演技」じゃなくて、

その人の人生を横で見ている感覚だった。


観ながら、ふと思った。


人って、生物的に生きているかどうかとか、

存在を信じるかどうかとか、

そういうことは実はあまり関係ないのかもしれない。


誰かの中に、

思い出として残っているなら。


頭の中に浮かぶ情景、

ふとした時に思い出す声、

なぜか忘れられない匂い。


それがあるなら、

その人はもう「生きてる」んじゃないかと思った。


たとえその場所がなくなっても、

形がなくなっても。


映画の中で描かれるのは、

特別な出来事だけじゃない。


誰かの幸せを願ったり、

一緒に喜んだり、

一緒に泣いたり。


知らない人の人生なのに、

なぜか心が動いてしまう。


そういう感情を

「それでいいんだよ」と

そっと肯定してくれる作品だった。


観終わったあと、

胸の奥がじんわりあたたかくなっていて、

泣けるこの時間が、とんでもなく幸せだと思わせてくれた。


泣くと思ってなかった映画で、

こんなにも大切なことを思い出すとは。


『花まんま』は、

とてもやさしい映画だった。