飛行機が駐機場に入り、そのうるさかったエンジンを切ると、機内は静けさを取り戻し、手荷物を持って出口の方に向かおうと歩き始めると、CAに席に座っているように促されました。
窓外に目をやると、軍服を着たいかめしい顔つきの人間たちが、タラップの周りに7~8名集まってきています。
横で森田氏が、「何度来てもこれからが一番緊張する時なんですよ」とつぶやいた。
その森田氏の言葉と、機外の物々しい出迎えを見ると、なにか息の詰まるような緊張感がこみ上げてきました。
間もなくすると、CAが出ろという仕草をしたので、出口に向かうと、CAとは明らかに違う軍服姿の鋭い目つきの男が機内に乗り込んできて、乗客一人ひとりのパスポートの提示を求め、チェックが済むとようやく機外に出ることが許されました。
タラップを降りていくと、下にはやはり数名の軍服姿の人間たちが、鋭い目つきで一人ひとりをチェックしているように見えます。
まるで、映画で見る、囚人の護送をされているような雰囲気です。
地上に降りると、空港の建物までは徒歩で向かわなければなりません、途中写真を撮ろうとした乗客が、撮影するなと大きな声で制止され、あわててカメラを仕舞い込んでいました。
乗客は7名だけと少ないので、入港審査カウンターには一番後ろに並びましたが、あっという間に順番が回ってきて、森田氏に言われたようにパスポートと入国管理カードを差し出しました。
入国審査官は20代後半~30代の女性で、なかなかの美人だなと見ていると、鋭い目つきで私の顔とパスポートを見比べ、パソコンに何やらデータを打ち込み、パスポートにスタンプを押すと、無愛想にパスポートを戻してくれました。
入国審査が済むと、次は機内に預けた手荷物を受け取るのですが、これがまたなかなか出てきません。
手荷物を載せるターンテーブルはあるのですが、荷物が出てくるトンネルがなく、どこから荷物が出てくるのだろうと、森田氏に聞くと、トラックで機内から荷物を運んでくると、窓が開けられ、その窓からローラーを伝って、ターンテーブルの上に投げてくるんですよと聞かされ、これは国際空港なんだよねと、森田氏に笑いながら確認をとると、森田氏は「これがロシアなんですよ」と手を広げ、ようこそロシアへという仕草をしてくれた。




