父の認知症を疑ったのは去年の1月。
いつもの散歩コースを歩いていたのに帰る道を間違えて、朝、出かけたままお昼の時間を過ぎても戻らなかった。
冷たい雨が降る中、ずっと家に戻ろうと歩き続け、夕方6時過ぎにやっと会社の受付でタクシーを呼んでもらったのだ。
あまりに遅いので、警察に連絡して捜索願をだして探してもらっていた中での帰宅でした。
寒い中、傘も折れて身体をぬらしながら、何も食べずにいたから身体が動かなくなって、前のめりになって額に怪我をしてしまっていた。
人気の少ない場所だったから、帰ってこれたのが奇跡に近い感じだった。
次の日、病院に行き、脳外科で見てもらって、CTを撮ってもらった。
その時から、脳外科の先生にお世話になっています。
話しやすく安心できる優しい先生。
3か月ごとに薬をもらっていたのですが、今回の誤嚥性肺炎の話を母がすると。。。。
嚥下が難しくなっている状態は、病気が進んでいるということだから、病院に入院させることを考えておきなさい。
この病院なら認知症の患者さんも最後まで見てくれると、病院を紹介されました。
母が覚えられないでいると、紙に病院の名前を書いてくれました。
先の話だが、そのうち嚥下も出来なくなる。。。と。
それを聴いた母は、ショックで買い物もできずに帰ってきて、わたしに話をしました。
パパと一緒にいられる時間は、有限ではないのだ。
わかってはいたけど、実際に先生から、そんな話を聞くと、わたしもショックだった。
認知症は、脳の病気で筋肉の衰えは関係ないのだと思っていました。
でも、それにしては最近、よだれが出るのは何故だろう?
食べこぼしも増えたし、、
食事の時間が長くなった、、、
そういえば、血糖値の値や天気を記していた日記の文字が震えてきて、力がこもらなくなっていた、、
せき込みも増えたよなぁ、、、
足が弱って、寝ている時間が多くなっていたし、、
話をする時は、いつも明るく元気だと思っていたのに、病気は、着実に悪くなっていたんですね。。
今日も、ピアノを置いてある部屋で寝ているので、生徒が来る日は、二階にあがってもらうのだが、階段を上がるのも手すりにかじりついて一歩ずつ上がっていく。
「今日はピアノの生徒さんがくる日か?上がるときは言ってよ」
「うん。」
「パパ、ごめんね。迷惑かけるね。。」
「えぇよ~。そんな遠慮せんでも」
いつも笑って協力してくれているパパ。
自分は、ピアノを教えるのは、当たり前だと思っていたけれど、そうじゃなかったんだよね。
家族に協力してもらって、教えさせてもらっていたんだよね(涙)
そのことに気づけて良かった。
その日は、夜中に目が覚めて眠れなかったけど、今日は時々、涙をぬぐいながらも、残された時間、ものすごく大切にしようと思った。
おかずを細かく砕き、飲み物にとろみをつけながら、顔を覗き込んで
「ご飯、おいしい?」と聞くと
「うん。おいしい」
笑うと最高にチャーミングなパパ。
「そっかぁ~、よかったなぁ~~~」
これから、点滴でうっ血した、細い細い手足や、動けなくなった父を見るのかと思うだけで、胸がつぶれそうで涙が出るけど、それは、まだ先のこと。
今じゃないよね。
今を大事に、笑って過ごそうって決めました。
人間って、いろいろ乗り越えないとアカンことがあるねんな。。。