天使はね、

一度どうしても京都に帰らなきゃいけない。


理由はたぶん

猫と会いたいのと

お姉ちゃんに会いたいのと

学校に行く日があって

あと、荷物を取りに帰る。

そんな感じ。と思う。

天使が京都に帰って、数日たった頃。


母のところに、天使からメッセージが来た。


「お母さんの、こっちにある

持ってきて欲しい物のリストを送って」


母は、少し考えてから

ちゃんと送った。

生活に必要なもの。

うん、確かに送った


その頃のチョスはというと——

もう、説明はいらない。


来る日も

来る日も



玄関の前。見えてるん?


曇ったガラス越しに、耳だけが、少し動く。


いないよ!


風の音。



足音。




知らない人の気配

違う。


高いとこから探したり



また違う。



呼ばれるはずの名前は聞こえなくて、

それでもチョスは、そこを離れなかった。



天使がいない間のお世話は、母。

ご飯。

トイレ。

ハウスの掃除。


玄関に近いハウスは、すぐに汚れる。

何度も拭いて、乾かして、整える。


それでもチョスは、

ハウスより、窓を選んだ。




「いない、いうとるやろ!」

次回

帰ってくる音。

玄関の気配。

覚えている匂い。


これは、帰ってきた足音。


約束。

記憶。

リスト。


でも今は、

そんなことはどうでもいい。


名前を呼ぶ声。

目が合う距離。

埋まっていく空白。


帰ってきたものと、

置き去りにされたもの。

それは嘘か誠か

確信犯か


それでも日常は、

何事もなかったみたいに再開する。


次回、

第5話

「帰ってくるものと、帰ってこないもの」


失くしたのは、

物か。

それとも——。


(つづく)