築20年の木製のドアが揺れている。
リビングへ続くドアだ。
いつもはキッチリと閉じられているのに、今日は開いたままになっている。

白いワンピースを着た長身の女性がドアにもたれている。



準備は整った。
全て完璧だ。

もう思い残す事は無い。

やっと自由になれる。
やっと楽になる。
やっと。


最後に目に留まったもの。
それはにこやかに微笑む3人の似顔絵だった。


これで解放される。
これで終わったのだ。


りりこは安堵の微笑みを浮かべた。





_______

どうして?
何故だ??

俺が悪いのか?
まさか。こんな事で??

嘘だろ。良いって言ったじゃないか。

なんでだよ。
なんでだよ。

『なんでだよ』

思わず声に出してしまった。
余りにも大きな声に自分で驚く。

涙が止めどなく溢れる。
訳がわからない。

さっきまで優しく微笑んでくれていた りぃはもう笑っていない。
それどころか目を閉じたまま、だらりと力無く倒れている。

まだ温かい。助かるかもしれない。

急いで携帯で救急車を呼ぼうとする。

110だったか?119か??
りぃ、どっちだった??

はたと手が止まる。

りぃ。
りぃ。

帰ってきてくれ。
なんでもする。
どんなことでも。

そばにいてくれ。

新人は嗚咽を漏らしながら、119をタップしていた。