<彼女・18>




恋をすると人は臆病になる・・・・




好きな人に愛されたいと願い、それをなくしたくないとも思う。




自分のことを大事にしてくれていると感じていても、それが愛情からなのか友情からなのか判らなくなり、




相手に好きだと言われても失くしたくない気持ちの方が勝ってしまって手に入れるのを恐れてしまう。




自分の気持ちを偽って、逢うのをやめても募る気持ちは止められない。




このまま友人でいるためには・・・・私は私の気持ちに蓋をしよう・・・そう思って涙を流したこともあった。




唇からすべり出てしまう前に、心が破裂して想いが溢れでてしまう前に・・・・




一番なくしたくない人なのに、一番遠くにやってしまったのは私だった。




違う人を好きになればこの想いから解放される・・・そう思って彼に会わなくなったのも事実。




苦しくて苦しくて自分で自分の首を絞めているようで毎日が違う自分だったのを今でも思い出せる。




好きな人に好きだと伝えられないもどかしさ・・・




友人なのだと境界線を引いたのは自分のほうなのに、その線を軽々と飛び越えてしまいそうになる。




私はどうしようもない大バカだ・・・・




どれだけ後悔しても遅いのだし、自分の小指に繋がっていない人の糸を手繰り寄せても近づいてくるわけがないことも知っている。




でも、自分で招いた運命は容易く私を引き込み、逃げられなくなっていた・・・・




結婚という二文字が私を雁字搦めにして、自由にはなれなくなった。




彼を想うことも、愛していると叫ぶことも、




彼の視線の先に自分がいることが喜びだと感じることさえもできなくなったのだ。




ただ、彼への想いだけが私の中に雪のように積もって




一生溶けることのない根雪のようになっていって、今度はその思いを抱いているうしろめたさに焼かれていくのだ。




旦那に嘘をついて生きる日々。




私の想いはあなたにはないのだと、その想いを肌で感じた旦那は女を作り、




それでようやく私は心に一息つくことができた。




愛していないのなら別れたらいい・・・・




そう彼は言ったけれど・・・




それが解決策にならないことを知っている・・・・




私が欲しいのはあなた・・・そのあなたを手にいれられないのであれば誰といても一緒なのだから・・・・




そう、こんな邪まな思いを抱く私があなたに似合う筈がないのだ・・・・