≪こちらはバイク中継です、現在14位集団の3校を捉えています。平定国際大学、留学生のムトク、現在最速の学生ランナー。前橋工科大、4年生の藤沢。大和大学の芦原。1㎞の入りが2分50秒と速いペースで入りました。その少し後方、黒いユニフォームの寛政大学が、はやくも近づいてきているように見えます≫

<バイクありがとうございます。さぁいよいよ舞台は花の2区、後方での争いも楽しみです。先頭は六道大学、約30秒遅れて東体大、エースの榊が追います。そのあとさらに30秒遅れで6チームの3位集団が続きます。いまバイクからありました優勝候補の寛政は1区出遅れ、エースの蔵原走に襷が繋がりましたが、17位というこの位置。さぁこのあと日本人最速の、この蔵原の走りにも注目です。>

 

最初のイメージ通り、走は最初の1㎞を2分35秒と110%の力で入った。

(わかってたことだけどキツい!先ずは1㎞!乗り越えろー)

先ずは限界領域の厳しいペースで入り、身体を酷環境に置くことで、そのあとのペースを楽に感じさせるよう自分の脳を騙す作戦だ。鼓動も息遣いもラストスパートのように激しいのに、全身の血液が止まってしまったみたいに体中が酸素を求め悲鳴を上げている。

左手に1㎞地点の鶴見区役所を認めると、ほっとして走は少しペースを緩めた。先ずは一つの目標地点クリアだ。危険水域を脱した走に身体の感覚が戻ってくる。厳しい寒さを、もろともせず皮膚のすぐ下が熱くなる。血液は遅滞なく酸素を隅々まで行きわたらせ全身に躍動感が生まれる。

このペースでも1㎞2分50秒を切るハイペースであることに変わりはないのだが、やっと一息ついた走は一気に詰め寄った14位集団にやっと意識を向けることができた。その距離を80mと見積もる。

(ムトク、待っていやがるな)

すらりとした黒い脚がオレンジと白を基調にした平定国際大学のユニフォームから流れるように繰り出されている。アヴドヴィ・ムトク、予選会で敵わなかった留学生だ。

 

今年の1区は、かつて王子が出場した時のように牽制しあうスローペースにはならなかった。15㎞を過ぎると六道大、東体大のランナーが飛び出し、先頭争いを繰り広げた。そのまま列は長く伸びランナーの実力通りの順位となった。須崎は申し訳なさそうな顔だったが走は予想通りの順位だと思った、ゴボウ抜き記録に挑戦するには少し半端な順位だなと不謹慎に思ったりもした。清瀬の指導で行っていたウォーミングアップはその展開をラジオで聞きながらしていた。

アップが良かったかな、とっても軽い感じだ、さすがハイジさん。他を圧倒するスピードの中、走は余裕をもって考えていた。