《 夜の部 》

世話物の名作。八幡の里に住むお幸には、先妻の子の与兵衛と、幼い頃養子に出した実子で相撲取りの濡髪長五郎という二人の子がいます。その長五郎が思いがけず訪ねてきた後に、代官所に召された与兵衛が郷代官に取り立てられ意気揚々として帰ってきます。その初仕事は殺人犯の長五郎を捕まえることでした。長五郎を助けたいと思う義母の言動から、手柄を諦めて長五郎を見逃す決心をします。待宵の夜、明かり取りの引窓を使った展開に趣向があり、義理と人情、親子の恩愛の狭間で苦しむそれぞれの人物の心情が細やかに表現されています。

襲名公演に欠かせない一幕。五代目雀右衛門の襲名が披露され、一座の幹部俳優が襲名を祝うご挨拶を申し上げます。時代を超えて俳優の名跡と芸が継承されることを示す行事です。

『本朝廿四孝』の中の一幕で、八重垣姫は「三姫」と呼ばれる姫の大役の一つ。雀右衛門の襲名披露狂言です。長尾家の八重垣姫は許嫁の武田勝頼が死んだと聞かされ、絵像の前で十種香を焚き面影を偲んでいました。ところが、座敷を見ると絵像の勝頼に瓜二つの男がいます。姫は思わずすがりつきますが、男は自分は簑作という新参者で人違いだと突っぱねます。しかし姫は諦めず、腰元濡衣に頼んでなおも迫り、遂に彼が本物の勝頼だと知ることになります。姫の一途な恋心を、歌舞伎の様式美豊かに描いていく一幕です。竹本の語りに乗ったクドキと呼ばれる女方の演技が見どころで、優雅な動きで姫の激しい恋心を表現します。二枚目の勝頼、﨟長けた腰元濡衣、剛毅な武将の謙信、二人の対照的な討手と典型的な役柄が揃い歌舞伎美を盛り上げます。

江戸の吉原を舞台に、江戸の女侠客が上方の男侠客を相手に颯爽とした姿を見せる舞踊。すっきりとした姿、小粋な振舞い、所作立てと呼ばれる立廻りと見どころ一杯の華やかな舞台です。



