本来の仕事が急速に忙しくなりつつあり、楽器製作作業にかける時間がなかなか取れないでいます
さらに、温暖化の影響か、本来は一年でも晴天が多いとされる10月に入ってからも、週末ごとに天気が崩れるというのも塗装作業には致命的です
いい訳は置いといて…
今回のベースは色焼けしたオリンピックホワイトで塗装するのですが、凝ったデザインになっているヘッドについては、周囲に彫られた溝だけをブラックで塗装するというオーダーのため、複雑なマスキングを施した上で塗装しています。
水研ぎの段階で塗装がのりにくい境界の部分では木地が露出することになるので、少し厚めに塗りました。
多少露出しても、ハードレリック仕様が希望なので、あまり神経質になる必要もないとは思います
水研ぎを終えたらクリアラッカーでトップコートを吹き、研磨の前にレリック加工を施します。
元からあった打痕を生かしながら、カッターの刃とヤスリで塗装を落としていきます。
今回はネック裏全体の塗装を落とすのではなく、多くのヴィンテージがそうなっているように、掌で擦る1弦側の側面(指板との境界)のみ、塗装を剥してみました。
また、およそ2~15フレットの間だけ、トップコートも省略し、経年感が出るような仕上げを試みます。
ネックの方は、この後アイロン加熱矯正を実施し、今もクランプで固定したままです
ボディーの方もハードレリックが希望ですが、ここにはジレンマがあります
ヴィンテージの風合を再現するための極薄ラッカーリフィニッシュですが、あまりに薄く仕上げると、今回の楽器の特徴である材を接いでのボディー拡張の痕跡が目立ってしまいます。
材が接いである部分では木目のパターンも異なるので、これを目立たなく仕上げるには、吹き付け⇒乾燥⇒研磨を何度も繰り返す必要があるのですが、それでも何か月後かには「塗膜の痩せ」で段差が目立ってくることになるでしょう。
かといって厚塗りをすると、見た目的にも音響的にも好ましくないので、ある程度は妥協も必要です
この状態からレリック加工を進め
一度これらの画像を依頼主に送り、さらにレリックを進めるか判断を仰ごうと思います
ボディーはエンド方向に20%ほど拡大されていますが、思ったほど違和感は感じません
バランスを考えたら妥当なカスタムのように思えてきました