過去に何度も紹介している修正作業なので、わざわざ記事にする価値もない内容なのですが、このブログはヤフオク出品時の商品説明で参照するように案内しているので(現在はリンクが貼れないため)、どのような作業を施したのか公開しておくために、くどいようですが重ねて記事にしておきます
安ストラトをリビルドする際には、ほぼ100%修正が必要になる「トレモロユニットの支点となる6本のネジの打ち直し」と「トレモロスプリングハンガーの打ち直し」です。
もっとも、ネックジョイントの4本のネジやペグの取り付けネジなど、およそネジというネジは斜めに打たれていることが多いので、ほぼ全て打ち直すことになるのですが…
まずはトレモロ用のネジですが、本来ここは6本のネジが等間隔で精確に打たれていなければならないところですが、安ストラトはフリーハンドで雑に打たれているため、ネジの角度も間隔もバラバラで、その結果ユニットがスムーズに動かない物がほとんどです。
さらには位置も不正確で、ピッチの不正確さやセンターずれの原因になっていることさえあります
私の場合はネックも交換するので、どのみち全てやり直すことになるのですが、まずは左右方向の位置に問題がないかチェックするため、両端の2つの穴はそのままに、間の4つの穴を先に埋めてしまいます。
次に2点支持でユニットを装着してから1弦と6弦のみを張ってセンターずれの有無を調べ、問題なければ両端の2つも埋めてしまいます。
その後、ピックガードも装着してユニットとの隙間を見ながら前後方向の位置も確定。それから垂直ドリルガイドを用いて正確に6個の穴を開けます。
トレモロユニットが何の抵抗もなくスムーズにカタカタと動けば作業完了です。
次はプリングハンガーの作業ですが、現状は悲惨な状態です。
ボディー側に開けられた穴の間隔が、ハンガーの穴の間隔とまったく合っておらず、ネジがハの字になって深くまでは締められないような状態です。いったいなぜこんな事になるのか
【左側の穴を基準にすると、右側はこんなにズレています】
同じ人間がやったのであればこんなことになるはずはないので、ボディーに穴を開ける担当者とスプリングハンガーを組み付ける担当者が違うのではないかと想像せざるを得ません。
とにかく元穴を4.2㎜のロングドリルでネジ山をさらってから木材で埋め、正確な位置に浅い角度で開け直して設置ます。
次の修正作業は、ネックポケットにのった塗料を落とすとともに、深さを彫り下げる作業です。
【削る前にポケット中央の大きな穴も埋めておきます】
オリジナルの60年代ストラトのように、ボディー表面からのフィンガーボードの突き出し量を減らすのが目的ですが、その量は22フレットのツバとピックガードの隙間にギリギリ名刺1枚が入るくらいを理想としています。
それまで何度も何度も仮組みを繰り返しながら削っていくので、かなりの作業時間になります。
【削り終えたら防湿のための塗装を施しておきます】
すでにレリック加工も終えて完成していますが、ボディーやネックのレリック加工の様子は繰り返し記事にしているので、最後にプラパーツのレリック加工のbefore-afterです。
FENDERジャパンの新品ノブですが、角がシャープ過ぎるのでペーパーで削ってステインで汚し加工します。
その際のポイントは、操作頻度が高いボリュームの頭をより丸く削ることです。
次回は完成品の紹介です