IBANEZのMC924化作業は、構想がなかなかまとまらないまま塗装剥がしとバッテリースペースの追加加工で中断していましたが、先週フリースクールが夏休みに入ったことで一気に仕上げにかかっています
とはいえ、解決すべき問題も多々あって苦労が多いです
まず塗装ですが、オリジナルのMC924は言わずもがなのスルーネック構造ですが、今回のベースはデタッチャブルネックなので、スルーネック特有の縞模様を塗装で再現することになります。
塗装を剥したボディーを濃いウォルナット色のステインで生地着色をしますが、そうすると、たとえマスキングしても、メイプル部分を表現する肌色の部分との境界にもステインが染み込んで綺麗な縞模様にはなりません
なので白木の部分はラッカー塗料で表現することにします。
当然ながら、ヘッドもこれと同じに仕上げます
次は厄介な電装系の作業です
オリジナルのコントロールは(第一回の記事では勘違いしていましたが)、1マスターボリューム、1バランサーボリューム、トレブル&ベースの2バンドイコライザーです。
「バランサーボリューム」というのは、2基のピックアップを2つのボリュームやセレクタースイッチで選択するのではなく、1軸2連ポットを使って両方のピックアップの音を連続可変的に切り替える機構です。
今回のオーダーには、フロント・リアの2基のピックアップをシリーズ接続できるスイッチを追加してほしいという希望もあります。
この依頼主に5年ほど前に製作したジャズベース(マーカスモデル)に装備したのを気に入っていただいたようですが、このシリーズ⇔パラレル切り替えは、言うまでもなくバランサーボリュームとは両立できません
なので今回は、バランサーボリュームとマスターボリュームの両方を取り外し、各ピックアップに独立したボリュームを設けます。
さらには、元の回路には装備されていないトーンコントロールも追加しようと思います
理由は二つあって、昔記事にした覚えもありますが、ベースの場合、たとえイコライザーが装備してあったとしても「通常のトーンコントロールはあってしかるべき」だという私自身の考えと、もう一つは、外見をMC924に似せるのであれば、このGIBSON系のような菱形(平行四辺形)の4ノブ配置は、MC924とは印象が異なり過ぎる、という点です。
それで6弦側に2ボリューム・1トーンをジャズベースのように一列に並べ、下段にイコライザーの2個のノブを並べる5ノブのデザインにすることにします。
ミニスイッチは、できればMC924のようにノブの後方に設置できれば良かったのですが、もうキャビティー内にスペースが無いため、リアボリュームとトーンの中間やや上方に設置することにします
サーキットの仕様についてまとめておきます
【ボディーに組み込む前に、とりあえずジャズべのパネルに全てのパーツを仮留めして配線を繋げ、問題なく機能することを確認】
まずはピックアップから出た信号を、2回路2接点(6端子)のミニスイッチに送ってシリーズ⇔パラレルの切り替えを可能にした後、ジャズべ同様の2ボリューム・1トーンの回路を通し、最 後段にイコライザー回路を接続します。
2基のピックアップをシリーズ接続させるということは、2個で1つのピックアップになる訳ですが、その際は手元に近いフロントPU側のボリュームがマスターボリュームとして機能するようになっています。
【新設したバッテリースペース】
レオ・フェンダーはジャズベースの開発に際し、フロントPUとリアPUを互いに逆磁極にしてミックス時にはハムキャンセル機能が働くように設計していた訳ですが、今回はフロントPUが最初からハムキャンセル機能のあるPタイプで、これにさらにJタイプをシリーズ接続させる事になります。果してどんな結果になることやら…