季節は夏日になったり冬の寒さが戻ったりと、体調の管理も難しい時期ですね
表題のオーダー品も、以前のIKUZOモデル同様、難しい作業が続いています。
スケールこそ同じであるものの、フレット数が1つ多かったためにネック長の違うジャズべ用ネックを装備することになった今回のモデルですが、無事にフィッティングとブリッジ位置の確定を終えました
しかしネック側の作業はこれで完了とはいかず、レリック加工のためにポリ塗装を剥す作業にさらに丸一日かかりました
ローズ指板であれば2時間もあれば終わる作業ですが、メイプル指板の場合は1フレットずつ塗装を落とすので、240番⇒320番⇒400番と3段階に分けて20フレット全てを研磨します
さらにレフティーを右で使用するため、塗装の前にはサイドポジションマークの埋め込み作業もあります。
あちこち平行しながら作業を進めていますが、電装系について複雑なやりとりもありました
元のピックアップはFENDERのようでFENDERにはないタイプが装備されていました。
8ポールピースはベースなので当然としても、楕円形のボビンはストラトタイプのようでもあり、しかしマウント方法はジャズべと同じ4本のネジでボディーに直付けするタイプ。
ただしカバーは無くボビンは剥き出しです。
角が丸く薄いので、親指をかけるには安定性に欠けます。
そこでフィンガーレストのアイデアを求められたのですが、私の第1の提案は、通常のジャスべ用ピックアップへの変更です。
しかしその案は、せっかくのカスタム品なのに奇抜性がなくあえなく却下
そこで第2の提案は、ジャズべ用ツインブレードハムバッカーへの換装。これだと角は四角になり、ハイパワーで見た目のインパクトも充分
高価なパーツでしたが、購入以来5年以上はストックしたまま出番のないパーツだったので、これを持ち出すことにしました
依頼人を悩ませたのはレイアウトで、フロント側はネックエンドと43㎜の間隔を開け、リア側はビックガードの端がその限度となるため、その間で2通りの案を検討してもらいました。
1つはロビーロバートソンのようにセンターとリアを隣接させる案
もう1つはストラトのようにリアのみをスラントさせる案
結果、後者を選択することになりました
そうと決まったら外周のみを切り出していたピックガードの切削を再開し、完成させます。
ちなみに大幅にレイアウトを変更したのは、3基のピックアップだけではなく、スイッチを載せたコントロールプレート一式もアレンジされています。
スラップの邪魔にならないよう、スイッチをかなり小型の物に変更し、プレートも(アルミパネルで)小型化。その位置もブリッジ側に10㎜ほど移動させます。
全てが変更されているので、元のピックガードと一致するのはアウトラインだけです。
ブリッジの位置も後退するので、ピックガード下部にある凹みもなくなっています
ここまででおよそ40時間ほど費やしましたが、まだPOT類を搭載するコントロールパネル製作や配線、塗装、セットアップで20時間ほどはかかる予定です