1本ごとに順番に仕上げるのではなく、毎日日替わりで違う楽器の作業をしています
フォトジェニの安レスポールではありますが、膨大なマンアワーを費やしています
前回記事では、ビグスビータイプのビブラートユニットを搭載するに際し、ローラー式ブリッジを組み合わせる過程を記事にしました。
本物のレスポールにもビグスビーユニット搭載モデルがありますが、レスポールの尖った形のサドルや、ナット部分で横方向の力が加わるヘッドデザインは、本来ビブラートユニットを装備することなど想定していなかったと思われます。
私自身はこれまでの人生、FENDER系の楽器しか愛用してこなかったので、弄ることが趣味になった現在では、この後付けのビグスビーユニットの扱いには毎回苦労しています
私の中では九割方結論が出ていて、これはきっと実用的な装備ではなく、見た目のゴージャスさを売りにしている装備に違いないと…
しかしまぁ、取り付けるからにはなんとか試行錯誤しながら使える物にしたいと悪戦苦闘しています
・・・で、今回はさらに、ナットにもローラー式の物を装備することにしました
これも中国製のパーツだと思いますが、ローラーに入れられた溝を見てください。
弦の太さに合わせたサイズの溝が切られていたはずですが、組み立て担当の作業員はその趣旨を理解していなかったようで、5・6弦用と思われるローラーが中央に配置されています
右側2つは入れ替えないとダメですね。
実際にはこの溝のサイズは、弦の太さには全くマッチしておらず、このまま使うと弦の高さが指板アールとも一致しません。
しかも思った通り、中央のローラーは固着して回転しません。
中国製の安パーツは、あくまで「素材」であって、使える物にするためには自分で加工が必要になります。
まずは横ピンを抜いて分解
爪楊枝の先端を軽く当てただけでスムーズに回転するように擦り合わせを実施します。
次に各ローラーをドリルビットの代わりに先端に装着し、ナットファイリング用のヤスリを当てて溝を切っていきます。
画像は作業途中の5・6弦用ローラーですが、元の溝とはこれくらい幅も深さも違うものになります。
またこの作業は、ナット部分での弦高調整も兼ねているので、何度も脱着を繰り返して調整を加えます。
解説が前後しますが、このローラーナットは、FENDER系用に作られたものらしく、ヘッドにアングルのあるレスポールにそのまま装備しようとすると、ナット上方部分に弦が当たってローラーが機能しません。
そこで土台部分に楔型のスペーサーを製作して装着します。
まずは指板面に合わせてローズ部分を切り取り、この上に楔型の土台を設置します。
また、さらに気を付けなければならない重要なポイントがあります
本来のナットの先端は、このローラーナットではローラーの頂点になります。なのでローラーの頂点が0フレット位置にくるように、指板を3㎜切り詰める必要があります。
これがその際の画像で、指板を3㎜切り落とすためにノコを入れたところです。
元が抜け殻だったので、他全ての装備を再建する必要があります
コントロールのPOTは、ミニサイズではありますが信頼の国産ALPHAのパーツで作り直します。実測してみると、米国製よりも直流抵抗値の誤差は小さいです。
トグルスイッチも、中国製のチープなBOXタイプではなく、一般的なデザインの物を使います。
フレットの減りはそれほどではありませんが、長期間放置された楽器なので軽く擦り合わせをし、コンパウンドで研磨しておきます。
この土日で完成できるかな