最近「終活」ではありませんが、もう長いことバンド活動もやってないし、楽器は「弾く」より「造る」方にシフトしているので、少し物を減らそうとクローゼットクラシック状態の楽器を引っ張り出して手入れしています
国産コピーモデルの隆盛時代、ラージヘッドストラトのコピーとして大変評判の良かった東海楽器のSS(Silver Star)シリーズは、当時から私のお気に入りで、現在でも2本所有しています
ほぼ同時期のFERNADESのラージヘッドストラトFST-50も作りが良く似ているな~と思っていたら、2005年シンコーミュージック発行の「JAPAN VINTAGE vol.6」で、なんとFST-50は東海楽器の製造、という記事に接し、「そうだったか~!!!」と大納得した次第です。
今日、ヤフオクに出そうと全バラしてメンテナンスをしたのですが、興味深い点についていくつかご紹介しようと思います
確か90年代初頭に中古で入手したものですが、ホワイトが激しく色焼けし、イングヴェイのDUCKのような外観になっています。
いや、それ以上にピックアップカバーやノブは、材質の違いからフェンダー製より激しく変色しています
「JAPAN VINTAGE vol.6」の解説にある通りの仕様で、アッシュに似た木目の軽量なセン材が用いられ、重量は3230gと大変軽量です。この少し前のフェルナンデスには「メイプルボディー」という、鉄で出来ているのか!?と思われるくらいクソ重い物があったことを考えると、格段に扱い易くなりました。
ピックアップのボビンはTokaiと同じ造りですが、ポールピースはフェル特有の「アーチドポールピース」という、指板のアールに沿った高さのポールピースです。
チューナーは、ほぼ同価格帯となるトーカイのSS-48と同じ六角形のケースを持つロトマチックタイプです。
それからもう一つ、トーカイSSと共通のパーツとして、トーカイのカタログでは「3点5ポジションスイッチ」と呼ばれたピックアップセレクターがあります。これは、今日普及している通常の5ポジションスイッチとは異なり、ハーフトーンの位置には軽いクリックポイントが設けられているだけで、素早く動かす場合には3ポジションのように機能するスイッチです。ハーフトーンの位置にするには、少し慎重な操作が必要になります。
こうしてトーカイとほぼ共通の仕様を持つFST-50ですが、唯一ネック角度の調整機構である「マイクロティルト」には大きな違いがあります
トーカイSSの3点留めネックは、3本とも同じ長さの木ネジが使われていて、下側の1本も直接ネック材にネジが打たれています。
これに対しフェルナンデスは、マイクロティルトのイモネジを受ける部分の金具にネジ山が切ってあり、ここに通常のネジを入れる造りになっています。そしてこれは、オリジナルFENDERのマイクロティルト機構と全く同じです。
私はトーカイが木ネジ式にしていたのは、FENDER社がパテントを持つ機構をそのままコピーするわけにはいかなかったせいだと勝手に思っていましたが、なんとフェルはこれをドンズバで採用しており、同じ東海楽器製造なのに不思議でなりませんでした
オリジナルFENDERがマイクロティルト機構を初めてストラトに搭載したのは1971年だったと思いますが、このFSTは1978年製だと思うので、7年ほどしか経っていません。
これはフェルナンデス社がFENDER社に対してパテント料を支払ったということなのか。今となっては詳しいことは分りません
FST-50の製造期間はわずか2年ほどと思われ、間もなく22フレットネックやダブルワイヤリングピックアップなどの新機構を満載してフェンダー越えを狙ったFunctionシリーズへ移行するものの、時代のニーズはリアルヴィンテージレプリカへとシフトしつつあり、これも長続きすることなくREVIVALシリーズへと再移行しました。そういう意味でもこのFST-50は貴重な70'sレプリカだと思うので、欲しい方はヤフオクへ
私自身は70'sであればロトマチックタイプのチューナーは嫌なので、トーカイSSシリーズの36や40といった「Fキー風ペグ」を搭載したモデルをキープしてあります。いずれ詳しく紹介しましょう。
あ、それからオーダー品の2本ですが、偶然どちらも遠い九州の方でしたが無事に完成品をお届けし、とても喜んでいただけました。
気になっている方も多いと思うのでいただいた費用ですが…
テレはオールラッカーリフ、レリック加工、牛骨リナット、ネックの反りのアイロン矯正、フレットの擦り合わせ等、全て含めて40000円です。
ステレの方は、素材の購入から製作全てに関わる作業全て込みで59800円です。材料費+時給1000円×作業時間を目安としていますが、本物の価格を598000円と想像し、その10分の1であれば許されるかな?という設定です